

2026全日本スーパーモト選手権第7戦HSR九州大会レポート
2026年10月4日(日)
HSR九州(熊本県)
初のHSR九州逆走コースは、降雨で午後はフルターマックに
2026年は全8戦で競われる全日本スーパーモト選手権シリーズは、シーズン終盤に入り、第7戦HSR九州大会が10月4日(日)に熊本県のHSR九州で実施された。今大会は、前戦から2週間後の開催で、終了後に1ヵ月強のインターバルを挟み、最終戦を迎える。今季第4戦でも使用されたHSR九州は、ホンダの二輪車国内生産を担う熊本製作所に隣接した、モータースポーツおよび安全運転に関する施設。全日本スーパーモト選手権では、全長2350mのサーキットコースが使用される。
ターマックの高速セクションを一部ショートカットし、ビッグジャンプや複数のタイトターンなどで構成された長めのダートセクションが設けられているのはこれまで同様ながら、今大会は逆回りの特別なレイアウトを採用。これにより、本来ならスタート直後にあるダートが最終セクションとなる。基本的にはこれまでのレイアウトを踏襲しながらの逆走だが、ターマックにはシケインが1ヵ所追加された。
厚めの雲が空を覆う状況ながら、朝の路面はドライコンディション。しかし決勝レース1の途中から小雨が降りはじめ、昼前から雨量がやや多くなった。これによりウェットコンディションになったことから、午後の決勝レース2はフルターマックコースで実施された。
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沖勇也がパーフェクトウィン、小原堅斗がランク首位を堅守!
全日本最高峰となるS1プロクラスは、予選が10分間のタイムアタック方式、決勝は2レース制で実施された。エントリーは8台と今季最少。とはいえ、35点リードのポイントリーダーとして今大会を迎えたディフェンディングチャンピオンの小原堅斗(#1)、チームの地元大会に燃えるランキング2番手の沖勇也(#3)、さらに五十住洋佑(#06)や鈴木優那(#01)や金子和之(#4)といったランキングトップ5圏内のライダーは、全員が今大会に出場している。タイムアタック予選では、序盤に沖が1分23秒台でトップに立った。
しかし予選時間中盤、小原が1分23秒144を経て1分22秒681までベストラップタイムを縮めてトップに。そして終盤は、沖と小原が接近して走りながらのタイムアタック合戦になった。そして沖が、1分21秒949で再びトップに。最終ラップには小原が、沖を従えながら渾身のアタックをしたものの、1分22秒010で0.061秒届かず、沖が予選トップ、小原が予選2番手で決勝レース1に臨むことになった。予選3番手は1分24秒548の五十住。予選4~6番手は1分25秒台で、伊藤諒(#04)、鈴木、金子の順となった
午前中最後の決勝となったレース1は10周の設定で、少し前に降りはじめた雨が大粒に変わりつつある状況でスタート。ホールショットの沖に小原や五十住が続くと、ダートセクションで小原が先行した。4番手以下は金子、伊藤、鈴木のオーダー。2周目、ターマックで沖が先頭に立ったが、ダートで再び小原がトップを奪い返した。5番手を争う伊藤と鈴木は、上位勢から2~3秒のビハインドに。3周目、五十住もトップ2から2秒ほど、4番手の金子も同じく五十住から2秒ほど遅れた。3番手以下がやや縦長に変化する一方、小原と沖は接近戦を継続。5周目にはターマックで沖が一瞬先行したが、すぐに小原が抜き返した。
五十住はトップ2から3~4秒遅れ、4番手の金子は前後に6秒ほどの間隔がある単独走行に。5番手争いでは、5周目のダートで鈴木が伊藤をパスした。6周目、トップ争いでは再び沖が逆転に成功。翌周以降、小原が1秒圏内で沖のマークを続けた。レース終盤、雨が強まり路面はよりウェットに。最終ラップの10周目、序盤のターマックで小原が転び、沖も直後に転倒した。それでも、両者ともにすぐ再スタート。沖が優勝、小原が2位となった。9周目には五十住も転倒で遅れ、これで金子、鈴木、伊藤が接近。最後は4台の接戦となり、順位を守った五十住が3位、金子が4位、伊藤が5位、終盤のダートでミスした鈴木が6位となった。
決勝レース2は、降雨に対応するため逆走のままフルターマックコースに変更され、3周プラスの13周で競われた。ポールポジションスタートの沖がホールショットを奪い、これに小原と五十住と金子が続いてレースがスタート。2周目には小原がトップに立ち、ホームストレートでは沖が並ぶも、3周目は小原、沖、五十住、金子のオーダーになった。5番手は伊藤がキープ。接近戦を繰り広げる後方の鈴木と田淵智之(#19)を、3周目までに7秒ほど離したが、上位勢からは遅れはじめ、伊藤は次第に単独走行となっていった。
4周目以降、トップ集団からは金子がじわじわと遅れ、これで小原と沖と五十住による先頭争いに。僅差のバトルを続ける中、6周目には五十住が沖を抜いたが、9周目には沖が五十住を抜き返した。すると11周目に入ったところで、沖が小原を逆転。しかし依然として3台のギャップはごくわずかで、最終の13周目まで三つ巴の争いが続いた。そして最後は沖が、0.193秒差で逃げ切って勝利。小原が2位、五十住が小原と0.310秒差の3位となった。途中から単独走行となった金子が4位、伊藤が5位。今大会の結果、小原が25点リードのポイントリーダーとして今季最終戦に臨むことになった。
■沖勇也(レース1・優勝/レース2・優勝)
「チームの地元、九州という意味では自分にとってもホームの大会ですが、同じ場所で開催された今季第4戦では2レース制覇も総合優勝も逃していたので、今度こそ完璧な内容にしたいと思っていました。とはいえ、事前に逆走のコースは走れたけどダートはなくシケインの配置も異なっていたので、それほど取り組めたわけでもなかったのですが……。レース1の最後はだいぶ雨が強くなり、自分としてはペースを落としていたつもりですが、それでもスリックタイヤにカットが入った状態ではグリップしませんでした。表彰台に上がった3人がみんな転倒しているという、なかなか激しいレースでした。レース2は、フルターマックかつレインコンディションで、ストレートが長くなったけどファイナルギアのデータすらない状態。ロングにしすぎて、うまく走らせるのがなかなか大変でした」
■小原堅斗(レース1・2位/レース2・2位)
「今大会に向けて、ターマックでのブレーキングなど自分に足りない部分を強化して臨み、ドライコンディションではいい感じでしたが、決勝は雨になってしまい、走りのバランスが崩れました。とくにレース2は、いきなりフルターマックに変更され、ストレートも長くなり、正直なところスーパーモトらしさを味わうこともできず……。予選では、このコースでいつも速い沖勇也選手にかなり迫ることができ、これは勝てるかもと思いましたが、そんなに甘くありませんでした。レース1は、自分が想定していたパッシングポイントが、雨で路面が濡れた影響で使えなくなり、最終ラップはダートまでついていければ逆転できると思っていましたが、その前に転倒で終わりました。最終戦は両方勝って、うっぷんを晴らします!」

↑ ドライコンディションの予選、雨が降りだしたレース1、フルターマックのウェットコンディションとなったレース2ともに制し、地元大会で完全制覇達成の沖勇也(#3)

↑ 小原堅斗(#1)は2レースともに沖勇也(#3)と激しい優勝争いを繰り広げ、レース中には先行するシーンも多くあったが、惜しくも逆転負けを喫している

↑ レース1ではレース中盤にトップ2から遅れたが、レース2ではゴールまで沖勇也(#3)と小原堅斗(#1)を追い続け、2レースとも3位を獲得した五十住洋佑(#06)

↑ レース1、レース2ともに表彰台のメンバーと立ち位置は同じに。写真中央が今大会完全制覇の沖勇也(#3)、同左が2位の小原堅斗(#1)、同右が3位の五十住洋佑(#06)
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路面とコースの変化に適応した唐澤哲也が完全制覇!
S1オープンクラスは、10分間のタイムアタック予選と、決勝2レースを実施した。このクラスは前戦終了時点で、真木來人(#36)が236点でランキングトップをキープし、これをS2クラスとのダブルエントリーを続けている森田直樹(#37)が178点、前戦で森田とのギャップを15点詰めた唐澤哲也(#54)が158点で追う状況だった。ところが真木は、大会前日の練習走行でクラッシュして負傷。これにより大会出場を見合わせることになった。またランキング4~12番手は、いずれも今大会を欠場している。
8台で競われた予選では、唐澤が積極的にアタックを続け、まずは1分26秒台に。さらに、森田が1分27秒台に入れてきた。そしてラスト2周のアタックで、森田も1分26秒台に。しかし最終アタックで唐澤が1分25秒958をマークし、同じく最終ラップに1分26秒921まで詰めた森田を約1秒離して、唐澤が決勝レース1のポールポジションを獲得した。森田が予選2番手で、予選3番手には久々のスポット参戦となった1分27秒858の佐野新世(#49)。予選4番手はこちらもスポット参戦の平翔太(#48)、予選5番手は菅野景介(#29)で、いずれも1分28秒台だった。
8周で競われた決勝レース1は、ポツポツと小雨が降りはじめる中でのスタートに。ポールポジションスタートの唐澤が順当にホールショットを奪い、これに予選2番手の森田が続いたが、予選3番手の佐野は出遅れ、代わりに菅野が3番手となった。1周目、この菅野をパスして平が3番手、予選は6番手だった大坪正之(#22)が5番手。さらに佐野が大坪に続いた。2周目、上位6台は2秒前後に続く縦に長い集団を形成。3周目、4番手の大坪は前を走る平との距離を詰め、佐野は菅野を抜いて5番手に浮上した。
6番手に後退した菅野は翌周以降に遅れ、佐野は僅差の3番手争いを続ける平と大坪に、少しずつ接近。一方、トップを快走する唐澤に対し、2番手の森田もほぼ互角のラップタイムを刻み、レースが終盤を迎えても両者のギャップは3秒程度にとどまっていた。平はレース中盤から森田にやや離されたが、終盤まで3番手をキープ。その後ろには、大坪と佐野がそれぞれ1~2秒間隔で続いた。しかしいずれも順位変動がないままレースは8周で終了。唐澤が優勝、森田が2位、平が3位、大坪が4位、佐野が5位となった。
午後の決勝レース2は、降雨によるコースコンディション悪化を受け、フルターマックで競われた。周回数はダートセクションがあったレース1よりも3周プラスの11周。レース1のゴール順位でスターティンググリッドにつくと、1列目の唐澤と平がホールショットを争い、一瞬は平が先行したものの、ポールポジションの唐澤がすぐにトップをキープした。そして唐澤、平、森田、2~3秒遅れて佐野、大坪、菅野の順で1周目をクリア。2周目、先頭の唐澤は2秒ほどのリードを奪い、2番手の平には森田が迫った。
3周目以降も、トップの唐澤はアドバンテージを拡大。6周目の段階で約10秒のリードを奪うと、その後もトップを独走した。一方、平と森田の2番手争いは、4周目あたりから森田が微妙に遅れ、レース終盤には平が4秒程度のリードを確保。そしてレースは11周で終了となり、唐澤がパーフェクトウィンを達成し、平が2位、森田が3位となった。レース後半は前から10秒ほど離されながら続いた4番手争いは、7周目に菅野が脱落し、佐野と大坪の一騎打ちに。最後まで僅差で順位を守った佐野が4位、大坪が5位、菅野が6位でゴールした。

↑ ドライコンディションの予選、小雨が降る決勝レース1、ウェットコンディションでフルターマックのレース2ともに制して、パーフェクトウィンを達成した唐澤哲也(#54)

↑ レース1は追いすがる2台を抑えて3位、レース2は後半に森田直樹(#37)をやや離して2位を獲得し、スポット参戦ながら総合成績2位を獲得した平翔太(#48)

↑ レース1では唐澤哲也(#54)に一歩届かず2位、ウェットコンディションのレース2では3位となった森田直樹(#37)。ランク首位の真木來人(#36)と22点差で最終戦に臨む

↑ 今大会の2レース制覇で、依然としてランキング3番手ながら2番手の森田直樹(#37)とは6点差、トップの真木來人(#36)とは28点差まで近づいた唐澤哲也(#54)
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レース1で2位、レース2で優勝の高津戸義彦が総合優勝!
S2クラスもS1オープンクラスと同じく、予選は10分間のタイムアタック形式、決勝は2レースで競われた。エントリー台数は10台で、全員が予選に出走。このクラスは寺平悠成(#4)と森田直樹(#23)がし烈なチャンピオン争いを続けてきたが、前戦で森田がノーポイントレースを演じてしまい、これで寺平のリードが39点に拡大した。予選では、今大会での逆襲に燃える森田が、早々に1分31秒台を叩き出し、まずは主導権を握った。
森田は、その翌周に1分30秒102をマーク。この後、1分30秒台を3周続け、決勝レース1のポールポジションを獲得した。予選2番手につけたのは、今季限りでの全日本引退を表明した高津戸義彦(#16)で、ベストラップタイムは1分30秒758。予選3~5番手は1分33秒台の争いで、那須愛斗(#21)が3番手、納冨桂(#12)が4番手、宮田輝(#25)が5番手。一方、ランキングトップの寺平は苦戦し、1分35秒915で予選6番手に沈んだ。
8周で競われた決勝レース1は、ポールスタートの森田が順当にホールショット。これに納冨、高津戸、宮田が続いた。1周目、トップの森田は約2秒のリードを確保。納冨と高津戸と宮田、さらに4秒ほど間隔を開けて那須、加藤健(#19)、寺平、杉谷宏(#8)が追った。2周目、高津戸が納冨をパス。3番手に後退した納冨は高津戸から4秒ほど遅れ、背後には宮田が迫った。3周目、2番手に浮上した高津戸は、トップの森田を約3秒差で追った。
しかしレース中盤、森田と高津戸のギャップは徐々に拡大。レース終盤には5秒近くになった。高津戸も後続との差を広げ、これでトップ2がほぼ単独走行となった一方、3番手争いは接近戦に。5周目には宮田が納冨を先行すると、今度は納冨が宮田のマークを続けた。そしてレースはそのまま8周で終了。森田が優勝、高津戸が2位、最後まで順位を守った宮田が3位、納冨が4位となった。序盤からほぼ単独走行だった那須が5位、中盤以降は加藤の猛追に耐えた寺平が6位となった。
S2クラスも、決勝レース2はフルターマックの11周で競われることに。2番グリッドの高津戸がホールショットを奪い、2列目から納冨が再び好スタートを決めて2番手を確保した。高津戸、納冨、森田、那須、宮田、加藤は、レース序盤から7番手の寺平を数秒離してトップグループを形成。3周目から加藤も遅れはじめ、先頭集団は5台になった。5周目、集団の中で宮田が森田をパス。翌周、宮田は納冨の攻略にも成功して2番手に順位を上げると、トップの高津戸に迫った。
7周目、宮田は高津戸を抜いて先頭に。その約1.5秒後方では3台によるバトルが続き、森田が納冨をパスして3番手に浮上した。8周目、高津戸が再びトップを奪取。那須の先行を許した納冨は、翌周に先頭集団から遅れた。10周目には那須が森田を抜き、最終ラップは高津戸と宮田と那須と森田による僅差の優勝争い。しかしコース終盤で那須と森田は転倒を喫し、逃げ切った高津戸が勝利し、宮田が2位、納冨が3位、加藤が4位となった。那須は8位、森田は最下位の9位に終わった。今大会の結果、ランキングトップを守る寺平のリードは26点に縮まった。

↑ ドライコンディションかつダートセクションのあった予選と決勝レース1では、森田直樹(#23)が強さを発揮。しかし雨のレース2は、トップに迫るも転倒に泣き最下位

↑ レース2は、4台による激しい優勝争いが最終ラップとなった11周目の後半まで続き、これを制した高津戸義彦(#16)が総合成績でもトップに輝いた

↑ レース1、レース2ともに接近戦でしぶとさを発揮し、レース1では3位、レース2では2位となった宮田輝(#25)。総合成績でも2位を獲得している

↑ レース1で2位、レース2で勝利を収めた写真右の高津戸義彦(#16)が総合成績トップ。レース1で3位、レース2で2位となった同左の宮田輝(#25)が総合2位
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