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INFORMATION 小原堅斗、馬場悠介、鈴木優那が2レースとも勝利
全日本スーパーモト選手権第6戦レースレポート

今季の全日本スーパーモト選手権は、全6戦のシリーズ。その最終戦が、10月16日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。

全日本ロードレース選手権も実施されている国際格式のロードコースや翌月に全日本最終戦開催を控えているモトクロスコースなども有する、複合モータースポーツ施設のスポーツランドSUGO。今大会はその中で、レーシングカートやミニバイクなどの走行を前提に設計された全長984mの西コースが使用された。昨年はウェットコンディションによりフルターマックでのレースとなったが、今大会は朝から路面はドライコンディションで、ダートセクションも使用。4コーナー立ち上がりから7コーナーにかけ、本来のコース内側となるグリーンエリアを走るようにダート区間が設けられた。この区間の路面は粘土質で硬め。コース幅は狭くてパッシングポイントとしては使いづらいが、ギャップや深いワダチの処理などでタイム差が表れやすいセクションとなった。

天候は曇り時々晴れ。朝の最低気温は12℃で肌寒かったが、日中の最高気温は21℃まで上昇した。

 

新チャンピオンの小原堅斗が2レース制覇!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は15周の2レース制で競われた。16台が出走した予選では、昨年度王者の日浦大治朗(#1)が52秒491のトップタイムをマーク。前戦でシリーズタイトル獲得を決めた小原堅斗(#6)が52秒635で2番手、ランキング4番手の吉田雄一(#7)が53秒112で3番手となり、ここまでが決勝レース1のフロントロースタートとなった。2列目4番手には53秒867で日浦とランキング2位を争う長谷川修大(#2)、5番手には54秒535で金子和之(#4)、6番手には54秒715で西村泰樹(#9)が入った。

レース1でホールショットを奪ったのは、2番手グリッドから好スタートを決めた小原。これに日浦と吉田、長谷川、金子、松本、西村が続いた。2周目、トップの小原は約1秒のリードを奪い、2番手の日浦には吉田が肉迫。ここから2秒ほど遅れて長谷川、さらに約2秒離れて金子と松本が続いた。3周目、小原のリードは約1.5秒に。3番手の吉田は、2番手の日浦から1秒ほど遅れた。5番手の金子をマークしていた松本は、エンストにより3秒ほどタイムロス。4周目、小原と日浦と吉田のトップ3はそれぞれ約2秒間隔となり、4番手の長谷川は吉田から4秒ほど遅れた。5周目、ダートセクションのコーナー進入で日浦が転倒。これで日浦は、トップの小原から12秒ほど遅れた4番手に後退した。

日浦の転倒により、トップを快走する小原のアドバンテージは約5秒に。この段階で、2番手の吉田は3番手の長谷川に対して約5秒のリード。長谷川の2秒ほど後ろに日浦、さらに2秒離れて金子、5秒ほどのギャップがあって松本が6番手となった。6周目、日浦は長谷川に追いつき、接近戦がスタート。しかしなかなか攻略には至らず、9周目にようやく長谷川をパスした。この段階で、3番手の吉田は約5秒先行。それでも、日浦は諦めることなく追い上げを続けた。レース終盤、トップの小原は完全に単独走行。2番手の吉田には、長谷川を引き離しながら日浦がじわじわと迫った。そしてラスト2周となった14周目に、日浦が吉田をパス。レースは完璧な走りで小原が制して今季3勝目を挙げ、日浦が2位、吉田が3位、長谷川が4位、いずれもレース中盤以降は単独走行となった金子が5位、松本が6位となった。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。ホールショットは小原が奪い、これに日浦と吉田が続くと、ターマックの4コーナーで日浦が鋭くインを突いてトップに立った。松本は転倒、吉田はダートセクションでエンストして後退。1周目は日浦、小原、長谷川、金子、中島俊介(#10)、吉田、小鹿翼(#19)となった。2周目、日浦が約1秒のリードを奪う一方で、2番手の小原には長谷川、4番手の金子には吉田が肉迫。3周目、吉田は金子を抜いて4番手に順位を上げた。4周目になると、吉田は3番手の長谷川に接近。金子は吉田から4秒ほど遅れる一方で、中島と小鹿の5番手争いを5秒ほど離した。5周目、小原が日浦との距離を詰め、トップ争いが接近戦に。2~3秒後方の長谷川と吉田も接戦となり、5番手の金子は単独走行化した。

トップの日浦は、小原に迫られても巧みにトップを守っていたが、9周目のダートでバックマーカーを処理する際にやや失速し、これを見逃さず小原が先行。翌周の4コーナーで再び日浦が前に出たが、直後のダートセクションですぐに小原が再逆転した。トップ2台がバトルをしていたこともあり、3番手の長谷川は日浦から約3秒遅れの状態をキープ。吉田は長谷川から2秒ほど遅れた。レースが終盤に入ると、前戦で左手を負傷した影響が残る長谷川が遅れはじめ、一度は3秒ほど離れていた4番手の吉田が再び接近。またトップの小原は、バックマーカーを利用しつつリードを約2秒まで拡大した。そして、そのまま逃げ切った小原が、初の2レース制覇を達成。日浦が2位、最後は僅差で吉田を抑えた長谷川が3位、吉田が4位となった。単独走行を続けた金子が5位。一度は離れた中島と小鹿は、最後に再び接戦となったが、中島が逃げ切って6位を獲得した。

 

■ 小原堅斗(レース1・優勝/レース2・優勝)

「前戦でシリーズタイトル獲得を決め、新チャンピオンとして臨む大会だったこともあり、レース1はスタート前からかなり緊張していて、カラダが思うように動かなかったのですが、それでもなんとかトップでゴールできて、地元となる東北地方で開催された大会でみんなに優勝する姿を見せられたことが何よりうれしいです。とはいえこのコースは、自分が苦手としていて、なおかつロードレース経験者に有利な傾向にあるので、レース2は日浦選手が絶対に勝負してくるだろうと思っていました。そうしたら1周目から抜いてきたので、やっぱりな……と。でも今回はダートセクションがあり、ここである程度まで追いつくことはできたのですが、なかなかパッシングのチャンスがなく、周回遅れが絡んだタイミングで先行できてよかったです。その後、再び4コーナーで抜かれ、ここはなんとか抜き返しましたが、その後はインを締めてもアウトから来るだろう……と、ずっと恐れながら走っていました。シーズン最後に2レース制覇できて、本当にうれしいです。来年は2連覇を狙います!」

■ 日浦大治朗(レース1・2位/レース2・2位)

「今日は、2レースとも小原選手が速かったですね。レース1は、序盤に先行されても後ろにつけておいて、終盤に逆転すればいいかな……と思いながら走っていたのですが、途中でまさかの大転倒。それほどムリしていたわけでもないし、路面の硬いギャップのことなども考慮しながら走っていたので、ちょっと腑に落ちない転倒という感じでした。レース2は、午前中のレースを教訓に、いつも以上に集中してミスのないよう臨みました。スタート直後にトップとなるも、あまりペースが上がらず、それなら抜かれるまでこのペースで走り、抜かれてもついていって終盤にスパートをかける作戦。ところが、最後は差を詰めることができませんでした。周回遅れが多数発生した段階で、もう少し距離を詰めておくべきでした。なんというか、普通に負けたという状態なので、とても悔しいです。全日本スーパーモト選手権は今季最終戦ですが、自分自身は11月上旬に開催される全日本ロードレース選手権の第54回MFJグランプリ スーパーバイクレースin鈴鹿に参戦します。こちらも応援してください。」

 

地元東北での大会となった今季最終戦で、レース1、レース2ともに勝利を収めた新チャンピオンの小原堅斗

 

ダートでもかなりの速さをみせたが、小原堅斗には一歩及ばなかったロードレース出身の日浦大治朗

 

レース2の3位争いは長谷川修大(#2)と吉田雄一(#7)の接戦となり、長谷川が最後まで順位を守った

 

前戦でシリーズタイトル獲得を決めた小原堅斗(写真右)が、前年度王者の日浦大治朗(同右)に2レースとも競り勝った

 

馬場悠介が2レース制覇により有終の美を飾る

前戦でシリーズタイトル獲得を決めた田所隼(#35)は今大会を欠場。タイムアタック予選には16台が出走し、ランキング2番手の佐々木啓之(#8)が、2番手以下を1秒以上引き離す54秒846で決勝レース1のポールポジションを獲得した。予選2番手は55秒925でランキング2番手の馬場悠介(#6)。同3番手には、馬場から約1.3秒遅れとなる57秒237で佐々木徹(#25)が入り、ここまでが決勝レース1のフロントローに並んだ。予選4番手は57秒391で錦織慎一郎(#38)、同5番手は57秒864で鹿野涼(#39)、同6番手は58秒113で川崎雄大(#16)となった。

決勝は、レース1とレース2とも12周の設定。そのレース1では、ポールポジションスタートの佐々木啓之がやや出遅れ、2番手スタートの馬場がホールショット。佐々木啓之、佐々木徹、錦織、予選7番手から浮上した久谷哲郎(#19)、鹿野、予選9番手の染谷廣則(#30)が続いた。2周目、上位勢は順位をキープしつつやや縦に長い展開に。3周目になると、馬場と佐々木啓之と佐々木徹と錦織までのトップ4はそれぞれ2~3秒間隔となり、5番手の久谷は6秒ほど遅れた。さらに4周目には、3番手の佐々木徹も2番手の佐々木啓之から6秒ほど離され、これで馬場と佐々木啓之がトップグループ、佐々木徹と錦織がセカンドグループ、久谷以下4台がサードグループとなった。

レース中盤、馬場と佐々木啓之のトップ争いは2秒程度の間隔をキープ。佐々木徹と錦織の3番手争いも、同じく2秒程度のギャップを保った。大きく遅れた5番手争いは、久谷と鹿野と染谷と京極邦彦(#34)が接戦。さらに、後方からはスタート直後のミスで遅れていた川崎もこの集団に迫ってきた。レースが終盤を迎えた9周目あたりからバックマーカーの数が増えると、トップ集団の馬場と佐々木啓之はやや間隔が拡大。京極は転倒で5番手争いから脱落した。10周目には、佐々木徹に錦織が迫り、3番手争いが接戦に。また、そこから大きく離れた5番手争いは久谷、川崎、染谷の3台による接近戦となった。そして12周のレースは、馬場がそのまま逃げ切って勝利。佐々木啓之が2位、最後まで錦織を抑えた佐々木が3位、錦織が4位となった。最終ラップに逆転した川崎が5位、久谷が6位でゴールしている。

午後のレース2は、レース1のゴール順でスターティンググリッドに整列。ポールポジションスタートの馬場が、順当にホールショットを奪った。2番手スタートの佐々木啓之はやや出遅れ、佐々木徹が先行。しかし佐々木徹は直後にミスし、1周目は馬場、佐々木啓之、佐々木徹、川崎、久谷のオーダーとなった。2周目、上位勢は早くも間隔が開きはじめ、トップの馬場が約3秒リード。3番手の佐々木徹は2番手の佐々木啓之から約2秒、4番手の川崎は佐々木徹から約3秒遅れた。3周目、5番手の久谷が4番手の川崎から4秒ほど遅れ、その背後には千葉智(#14)や鹿野ら7台が数珠つなぎに。しかし久谷は、川崎からさらに遅れつつも、翌周以降もポジションを守り続けた。

レース前半が終わる6周目の段階で、トップの馬場は6秒ほどのアドバンテージを築き、2番手の佐々木啓之、ここから5秒ほど遅れた3番手の佐々木徹、前後に5~6秒の間隔がある4番手の川崎とともに、トップ4台が単独走行状態。一方で久谷を先頭とした5番手争いはなおも続いた。8周目以降、川崎が前を走る佐々木徹との距離を詰め、11周目の段階で約2秒まで接近。この周、混戦の5番手争いでは錦織が久谷を抜いた。そしてレースは、独走の馬場が勝利して2レース制覇を達成。佐々木啓之が2位、最後は川崎に詰め寄らせなかった佐々木徹が3位、川崎が4位となった。大混戦に競り勝った錦織が5位、久谷が6位でゴールしている。

レース2ではレース序盤から独走して、2レース制覇を達成した馬場悠介

 

レース1では馬場悠介(#6)に数秒差で迫った佐々木啓之は、2レースとも2位

 

2レースとも最後は接戦になったが、順位を守り抜いて3位となった佐々木徹

 

2レースとも表彰台は同じメンバー。写真中央が優勝の馬場悠介(#6)、同左が2位の佐々木啓之(#8)、同右が3位の佐々木徹(#25)

 

鈴木優那が2レース制覇。原島剛がチャンピオンに!

9名のライダーが4スト250ccマシンでエントリーしたS2クラスは、ランキング3番手の川島颯太(#2)がモトクロスの関東選手権に出場するために欠場。タイムアタック方式の予選を経て、決勝は12周の2レースが実施された。タイムアタック予選では、ランキングトップでシリーズタイトルをほぼ手中に収めた状態で今大会に臨んだ原島剛(#26)が、54秒625のトップタイムをマーク。2番手には、今大会唯一の女性全日本スーパーモトライダーとなるランキング2番手の鈴木優那(#12)が54秒929でつけた。予選3番手には55秒669で大金歩夢(#25)が入り、ここまでがレース1のフロントロースタート。2列目には土橋亮一(#4)、勝谷仁(#5)、佐藤省吾(#7)が並んだ。

決勝レース1は原島がホールショット。2番手スタートの鈴木が続くもミスでやや遅れ、この間に大金が先行した。しかしすぐに鈴木が抜き返し、1周目は原島がトップ、原島から2秒ほど間隔を開けて鈴木と大金、さらに1秒離れて勝谷と土橋のオーダー。2周目、再び大金が2番手に浮上するもすぐに鈴木が抜き返し、原島と鈴木と大金と勝谷がそれぞれ約2秒間隔となった。勝谷の背後には土橋が肉迫。3周目以降、3番手の大金は1周につき2秒ほど鈴木から遅れ、トップ争いは原島と鈴木のマッチレースとなっていった。4周目、ダートセクションで鈴木が原島に肉迫。トップグループから約6秒遅れた大金のすぐ後ろには、なおも僅差の争いを続ける勝谷と土橋が迫った。

5~7周目にかけ、原島と鈴木はターマックでやや原島が離してダートで鈴木が近づく展開で、コントロールライン通過時は1秒程度のギャップ。大金は後続を3~4秒離して、単独走行に近い状態となった。8周目、鈴木がダートセクションエンドでパッシングを試みたタイミングで、原島がエンスト。これにより鈴木がトップに立ち、原島が約2秒遅れの2番手となった。大金は3番手をキープ。勝谷と土橋の接近戦はなおも続いた。レース終盤、トップの鈴木は2~3秒のアドバンテージをキープ。そのままトップチェッカーを受け、今季3勝目を挙げた。原島は2位フィニッシュながら、シリーズタイトル獲得を決定。大金が3位に入賞して、全日本初表彰台に登壇した。勝谷と土橋のバトルは最後まで続き、勝谷が僅差で逃げ切り4位、土橋が5位となった。

レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、原島がホールショット。鈴木と大金が続いた。4番グリッドスタートの勝谷は1周目のダートで転倒して最後尾。再スタート直後にもダートで転び、完全に戦列から離脱した。1周目は原島、鈴木、大金、土屋、佐藤、西村智人(#3)、高津戸義彦(#20)までが縦に長い隊列を形成。2周目になると原島と鈴木と大金がそれぞれ約2秒間隔となり、4番手に浮上した土橋は大金から3秒ほど遅れた。3周目、鈴木が原島との距離を詰め、3番手の大金は前後に約4秒のギャップがある状態に。4周目、ダートセクションで鈴木が原島を抜いてトップに浮上したが、ターマックに戻って5周目に入ったところで原島が再び前に出た。

しかし鈴木は、ダートで再び先行。5周目終了時点では、鈴木と原島が僅差のトップ争いを繰り広げ、約5秒離れて大金が単独走行の3番手、大金から8秒ほど遅れて、土橋と佐藤と西村が僅差の4番手争いを展開した。翌周、トップの鈴木は僅か1秒ながらリードを奪い、4番手争いでは佐藤が先行。8周目になると、鈴木のリードは約2秒に拡大し、集団だった4番手争いも少し間隔が開いた。レース終盤、鈴木のリードは最大で3秒ほどになったが、ラスト2周で原島が追い上げ、12周目の最終ラップに入ったところでは再び接近戦に。しかし最後はダートで鈴木が突き放し、鈴木が初の2レース制覇となる優勝、原島が2位、最後まで単独走行となった大金が3位となった。レース後半に後続を離した佐藤が4位。5位争いは最後まで接戦となったが、土橋が西村を僅差で抑えて5位となった。

レース1では、原島剛(#26)がダートでエンストしたことで、鈴木優那(#12)が難なくトップ浮上

 

レース1、レース2ともに原島剛(#26)とのマッチレースを制して勝利を収めた鈴木優那

 

レースでの勝利は鈴木優那(#12)に譲ったが、2レースとも2位となってシリーズタイトルを獲得した原島剛

 

トップ2には離されてしまったが、2レースとも3位に入賞して表彰台に登壇した大金歩夢

 

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今シーズンも全日本スーパーモト選手権シリーズにたくさんのご来場ならびに応援ありがとうございました。

また来シーズンのライダーの活躍にご期待ください!