

2026全日本スーパーモト選手権第2戦レポート
2026年4月19日(日)
茂原ツインサーキット(千葉県)
初夏を思わせる暑さの中、茂原でスーパーモトが躍動
2026全日本スーパーモト選手権シリーズ第2戦、戦いの舞台となったのは茂原ツインサーキット。今シーズン、唯一の東日本エリアでの開催ということもあり、東日本を本拠地に置くライダーが多くスポット参戦。賑やかなライダーのラインナップがレースを盛り上げた。
茂原ツインサーキットは、本来はオンロードサーキット。そこに特設ダートセクションを加え、スーパーモト用の特設コースとして開催。また、コースレイアウトにアレンジが加えられたことで、注目を集めた。昨シーズンまでは3箇所だったダートセクションが1箇所増設され、全4箇所となったのだ。元々、一周1,170mと長めのコースでトップスピードが高い、かつ四輪も走行するサーキットのためコース幅も広め。オンロードセクションでの速さが重要視されるコースと目されてきたのだが、ダートセクションの増加がレース展開に如何なる影響をもたらすかにも注目だった。
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ディフェンディングチャンピオンが、圧巻のパーフェクトウィン
10分間の予選で最初に好タイムを記録したのは、第1戦でダブルウィンを達成したオージーライダーのジョシュア・マクリーン(#20)。序盤から59秒台を叩き出し好調ぶりをアピール。そのマクリーンを、チャンピオン小原堅斗(#1)、沖 勇也(#3)、長谷川修大(#13)が1分00秒台のタイムで追撃。沖は茂原での走行は初めてとのことだが、順応性の高さを見せつけ3周目にはトップタイムを記録。
中盤に入ると、小原、五十住洋佑(#06)、新井誠(#05)も59秒台までタイムを上げてきて、かなりの混戦模様。だが終盤7周目、小原が満を持して59秒085のスーパーラップを記録、見事にポールポジションを射止めた。予選2番手は僅か0.161秒差で沖、3番手は五十住、4番手はマクリーン、以上4者がフロントローを獲得。5番手の新井までが59秒台の予選タイム。6番手の長谷川、7番手の金子和之(#4)も1分00秒台と大きく遅れているわけではないので、このあたりまでにつけているライダー達で、優勝争いが行われそうだ。
迎えた、決勝レース1。気温は22度まで上昇し、路面温度も39度と絶好のコンディション。グリッドに並んだのは、エントリーと同じ18台のスーパーモトマシン。レッドシグナルオフで12周のレースがスタート、そこで飛び出したのはポールシッターの小原、見事にホールショットを決める。予選二番手の沖はやや出遅れ、3番手の五十住に先行を許す。オープニングラップのコントロールラインは小原、五十住、沖、新井、長谷川、金子の順で通過。7番手には鈴木優那(#01)が予選12番手からジャンプアップ。ここで場内がどよめいた、マクリーンがコース外にマシンを止めていたのだ。スタートで少々出遅れた感があったが、マシントラブル発生の模様。第1戦の覇者は、1周も走り切ることなくリタイアとなった。
3周目から、小原と五十住が抜け出し、沖は少々遅れ始める。小原と五十住は、0.1秒ほどのギャップを保ったままま、一騎打ちの激しいバトルを終盤まで続けることになる。また、この周には新設された第3ダートセクションで、中位グループで争っていた新沼伸介(#5)、内山瑛須(#14)梅田祥太郎(#03)の3台が絡んだ転倒が発生したが、3台ともすぐにリスタートに成功していた。小原と五十住は59秒台を維持したまま、テール・ツゥ・ノーズのバトルを展開。コース幅の狭いシケインでは、マシンをぶつけ合う姿も見られたが、互いに譲ることはない。レースが折り返すあたりでは、3位以降に5秒もの差をつける。5周目には岡田駿介(#02)がリタイア、7周目に広瀬彰(#22)が転倒。あちこちでマシンが暴れる姿が続出。一瞬も目が離せない展開。
9周目の第5コーナーで五十住が大きくラインを変え、立ち上がった先のシケインで小原にしかける。互いのマシンが交錯するが、弾かれた五十住は手痛いタイムロス。小原がリードを広げる。10周にはバックマーカーが出没、その処理が勝負を左右することも多い。だがそこは最高峰カテゴリー、バックマーカーも心得たもので、トップ争いを邪魔することなくスムーズにパッシングさせる。五十住は最後まで攻め続けるが、小原は堅実に走り切りスタートからトップを守ったままチェッカーフラッグを受けた。3位には沖、4位は新井、5位は鈴木、6位は金子という結果。
決勝レース2。スターティンググリッドは、レース1の結果順となる。ウォームアップラップで、レース1で3位入賞を果たした沖が転倒。エンジンの再始動に手間取るが、無事グリッドに着くことができた。レース1でマシントラブルによるリタイアを喫したマクリーン、クラッチ周りに異常があったとのことだがインターバルに修復を終え、17番グリッドにマシンを並べた。後方からの追い上げに期待だ。ホールショットを決めたのは、レース1優勝の小原、その背後にはレース1でファステストラップを記録しながら2位に終わった五十住がつけている。オープニングラップは、小原、五十住、沖、新井、金子、伊藤諒(#04)の順。未だ、集団がばらけていない2周目、第5コーナー手前でマクリーンがスローダウン。トラブルが再発し、2レース共にリタイアとなった。
2周目を終えた時点で、トップの小原と後を追う五十住が抜け出すという、レース1を再現するかのような展開。レースの序盤を終えようとする4周目、7位を争う中位グループのバトルが激化。鈴木、岡田、伊藤の3台が、ほとんど横一線で各所で互いの隙を突くように激しく争う。また、後方グループでは5台のマシンがダンゴ状態で、11位を争っている。コース上のあらゆる場所で、同時多発的にバトルが発生する状態で、一瞬たりとも目が離せない。12周のレースが折り返す頃には、トップ争いをする小原と五十住は3位以降に5秒以上の大差をつけ、完全なマッチレース状態。一方で、7位争いのグループ、11位争いのグループは度々順位を入れ替える目まぐるしいレース。
大詰めの10周目、3位を走行中だった沖が第4ダートで転倒。すぐにリスタートするも、順位は6位まで落ちてしまう。そしてトップ争い、11周目を終えた時点で、小原と五十住のタイム差は0.228秒。ワンミスで順位が入れ替わるギャップでしかないが、小原の走りは強くトップを守ったままゴール。終わってみれば”ポール・トゥ・ウィン・トゥ・ウィン”ともいうべき小原劇場。第1戦の雪辱を晴らし、ポイントランキングもトップを奪還した。2位は終始激しく攻め続けた五十住、レース1、2共にファステストラップを記録しているように速さは一級品。これからのレースに期待したい。3位はコンスタントに速さを見せた新井、4位は金子、5位は長谷川、6位は沖。このレース2で、大きな見どころとなった7位争いは伊藤が制し、8位は鈴木、9位は岡田。小原が強さを見せつけた大会ではあったが、五十住のスピードは大注目。また、他のライダーも虎視眈々と上位を狙っている。第3戦 名阪スポーツランド大会でも、きっと素晴らしいレースを見せてくれるに違いない。
●小原堅斗(レース1・優勝/レース2・優勝)
「第1戦では思ったような結果を残せなかったので、今大会はレース1・レース2共に優勝できたので嬉しいです。今年から、地元である岩手に拠点を移し、新しい体制でのレース参戦を開始しました。その新体制で、しっかりと成績が残せたことも嬉しいですね。#1を背負っているプレッシャーは小さくありません。ですが、焦るとレース上手くいきませんから、プレッシャーを感じる中でも自分をコントロールするように心がけました。この大会は、上手く自分をコントロールできたように思えます。第1戦でマクリーン選手との差を痛感しましたが、第2戦に向けて準備をして、戦える自信もありました。彼が、ああいう形でリタイアしてしまい残念ですが、今後も全日本スーパーモトに参戦してくれるそうなので、お互いベストな状態でぶつかり合ってみたいですね」
●五十住洋佑(レース1・2位/レース2・2位)
「小原選手が速いのは分かってます。彼が前を走っている時に抜くのは簡単ではありません。予選で前のグリッドを確保し、決勝は逃げ切る作戦を考えていました。ですが、予選でトラブルがあり、まともにタイムアタック出来ませんでした。そこは悔しいです。レース1・レース2共に、ファステストラップは自分が記録しているので、一発の速さはあると思うのですが、レースに勝つのは難しいですね。今シーズンからS1 PROクラスに復帰したところ、フル参戦する予定です。なんとか小原選手を捕まえたい。一緒に飲みに行くくらい仲が良いのですが、レースはフェアでガチンコで戦いたいです」
●新井誠(レース1・4位/レース2・3位)
「S1 PROに復帰したルーキーイヤーなので、まだマシンを扱いきれていません。450ccマシンは5年ぶりですから。上位を狙うというより、1レース1レースをしっかりと走り切ることが現在のテーマです。茂原を走るのも久しぶり、以前走った時はダートセクションは1箇所しかありませんでした。それが4箇所まで増えていたので、慣れるのに時間がかかりました。自分はスーパーモト育ちなので、ターマックもダートも得手不得手はありませんが、茂原のコースに関して言えば、以前のアベレージスピードの高いレイアウトの方が面白かったと感じました」

↑ 予選でのポールポジション獲得に始まり、レース1、レース2を通し、一度もトップの座を譲ることなく、完全優勝を果たした小原堅斗(#1)。第1戦の借りを、完璧に返した形になった

↑ レース1、レース2共にファステストラップを記録しながら、チャンプ小原の牙城を崩すには至らなかった五十住洋佑(#06)。スピードでは決して負けてはいないため、今後の逆襲に期待大

↑ レース1は4位、レース2は3位と、着実にポイントを積み上げてきている新井誠(#05)。久々のS1 PRO参戦となる今シーズン、マシンとのマッチングが急速に進歩している様子だ

↑ 表彰はレース1、レース2のポイントを合算した順位で行われる。中央は総合1位の小原堅斗(#1)。左はレース1、2共に2位を獲得した五十住洋佑(#06)。右は総合3位の新井誠(#05)
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スーパー中学生ライダー真木來人が初優勝を飾る
全日本スーパーモト選手権シリーズでは、最もエントリー数が多いカテゴリーがS1 OPEN。今大会では19台が出走。参加車両はS1 PROに準じるが、より排気量の大きなアンリミテッド区分の車両も参加可能であることから、バラエティーに富んだマシンが見られることでも人気が高い。とはいえ、主流となっているのは4ストローク450ccマシン。今大会では唯一2ストローク250ccマシンで参戦する真木來人(#36)が、予選で一人1分00秒台のタイムを記録しポールポジションを獲得。2番手はベテラン高山直人(#20)、予選開始直後から1分01秒台を記録し流れをリード。スターティンググリッドのフロントローは、1番手真木、2番手は高山、3番手は森田直樹(#37)、4番手に唐澤哲也(#54)の配置。若さと勢いのある真木が逃げ切るか? ベテラン勢の老獪なテクニックが若さを押さえつけるか? マシンのバリエーションだけでなく、ライダーの世代間闘争ににも興味が尽きないのがS1 OPENなのだ。
レース1決勝、ウォームアップラップでポールシッターの真木にエアバッグが開いてしまうというトラブルが発生、赤旗が提示されスタートディレイ。真木は最後尾スタートとなってしまった。スタートで飛び出したのは予選2番手の高山。最初の山場であるオープニングラップの第1ダートの入り口で、中位を走る4台のマシンが絡んで転倒。さらに2周目にも同じ場所で2台が絡んで転倒。第1ダートは、ヘアピン状の第2コーナーのイン側をショートカットする形で設けられているが、エントリーはほぼ直角で難しいポイント。低速ポイントであるため、大きなダメージは受けにくく、全車がリスタートに成功した。
序盤から高山が快走を見せ、2位以下をどんどんと突き放す。だが、その背後では猛烈な追い上げをみせているライダーがいた。最後尾スタートの真木だ。真木は、4周目終了時には5位、5周目には4位に浮上。マシンが暴れても、構わずワイドオープン。怖いもの知らずの走りに、観客が大きく沸いた。ただ、S1 OPENの決勝レース周回数は10周。さすがにトップにまでは届かず、優勝は高山、2位に唐澤、3位に真木でレース1は終了。
レース2のオープニングラップは高山、森田、真木、唐澤の順で通過。ここで高山が先行逃げ切りを図るが、2周目で森田をパスした真木が猛追。そして3周目、第1ダートで差を詰めた真木は、狙い済ませたように続く3コーナー立ち上がりで高山を抜き去りトップに立つ。そうはさせじと高山も喰らいつくのだが、真木のスピードは本物で、じりじりとギャップが広がっていく。5周目を終えた時点で真木と高山は2.306秒差、高山と3位の森田は2.525秒差。トップ3は接近しているが、この時点で4位以降には14秒もの大差がついていた。4位を走る佐々木徹(#9)と、5位の勝谷仁(#4)、6位の福地康祐(#16)は、ほぼ単独走行。7位争いのグループ、吉田隆幸(#11)、岡田武蔵(#42)、唐澤の三台のタイム差は1秒に満たない三つ巴の戦い。
終盤8周を走り切って、トップの真木のアドバンテージは5秒以上。ファイナルラップには真木の前に5台ものバックマーカーが現れたが、大きなリードを活かして無理をせずにトップを守ってゴール。まだあどけなさの残る中学生ながら、レース運びは冷静で大人びている。末恐ろしいライダーだ。2位には高山、3位は森田、4位に佐々木、5位は集団から抜け出した唐澤が入った。

↑ 国内モタードレースの黎明期から参戦し、スーパーモト発展に大きな役割を果たしたレジェンドライダーである高山直人(#20)。その走りは衰えを知らず、今大会では総合1位に輝いた

↑ レース1は、アクシデントを乗り越えて3位を獲得。レース2では、全日本初優勝を飾った真木來人(#36)。中学生ながら、スピードは既にトップクラス。恐れ知らずの走りは、見る人を惹きつける

↑ 昨シーズンにレースデビューし、今年から全日本参戦を開始した唐澤哲也(#54)。第1戦でも好成績をおさめ、今大会ではとうとう表彰台に上がった。ポイントランキングでも3位に躍進

↑ 表彰台中央は総合1位の高山直人(#20)。その左に総合2位の真木來人(#36)。右は総合3位の唐澤哲也(#54)
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S2スペシャリスト原島 剛が貫禄のダブルウィン
4ストロークは250cc、2ストロークは125ccのモトクロッサーをベースにしたマシンで争われるS2は、小排気量クラスならではの接近戦が見どころ。10分間の予選でも、トップタイムを狙った僅差のタイムアタックが展開された。序盤から、トップクラスのライダー達は1分4秒台で鎬を削る。その集団から、いち早く抜け出したのが原島剛(#11)、1分03秒台のタイムでリード。続いて1分03秒台に乗せてきたのが寺平悠成(#4)と、S1 OPENとダブルエントリーを敢行している森田直樹(#23)。1分03秒台を記録できたのは、この3名のみ。ポールポジションは原島、2番手は森田、3番手は寺平。4番手の佐藤省吾(#24)以降のライダーは1分05秒台のタイムだった。
決勝レースの出走台数は12台。レース1のスタートでは、ポールシッターの原島が着実にホールショットを決めると、そのまま後続を引き離しにかかり、オープニングラップで3秒近いアドバンテージを得る。2位を走るのは予選2番手の寺田、その背後には森田がピッタリと追走。森田が激しくプッシュし、寺平が必死に押さえ込む。4周目の第1コーナーで、ラインをクロスさせた森田がインを突き寺平をパス。森田は追撃を開始するも、この時点でトップの原島とのタイム差は5秒以上。森田が1分03秒台のタイムを叩き出せば、原島も同じく1分03秒台を記録。2台のギャップは、なかなか縮まらない。そしてレースの終わりも近い8周目、原島は1分02秒台にタイムを上げ森田を突き放す。原島はそのままポール・トゥ・ウィンを達成。2位には健闘及ばず森田、3位は寺平と、ここまで予選順位通りの結果。4位は予選からポジションを一つ上げた石田貴大(#29)、5位は佐藤、6位は那須南斗(#21)の順でゴールした。
レース2でも原島は強く、ポールポジションからホールショットを決める。オープニングラップは、原島、寺平、森田の順でコントロールラインを通過。原島が先行し、寺平と森田はテール・トゥ・ノーズという、まるでレース1を再現するようなレース展開。原島は、ぐいぐい後続を引き離し、3周を終え2位とのギャップは4秒以上を確保。その後も、1周ごとに1秒近くのアドバンテージをプラスする快走をみせる。その後方では寺平と森田の2位争いは、さらに激化。森田は、あらゆるコーナーで寺平に襲いかかるが、寺平も隙をみせず戦況は膠着。そしてファイナルラップ、直後に第2ダートが控える勝負所の第5コーナーで、森田が寺平のインにマシンを捩じ込んで2位に浮上。勝負あったかと思われた直後の第3ダートで森田が転倒、その森田のマシンに乗り上げる形で寺平も転倒してしまう。そこで素早いリスタートに成功したのは寺平で、2位を守ってゴール。3位は森田が入った。優勝は、はるか先を走っていた原島。12秒近くの大差をつけての完勝だった。原島はポールポジションからのダブル優勝で、パーフェクトウィンを達成。4位は石田、5位は佐藤、6位は宮田輝(#25)が入った。

↑ 大ベテラン原島剛(#11)は、今大会がシーズン初参戦。ポールポジションを獲得し、レース1、レース2共に独走で完全優勝。上手さが光る、小排気量クラスのスペシャリストの活躍に要注目

↑ 第1戦で優勝と2位を獲得、乗りに乗っている高校生ライダー寺平悠成(#4)。今大会でもレース1は3位、レース2は2位と好成績をおさめ2戦連続で表彰台に上がりポイントランキング1位に躍り出た

↑ これまでの2戦4レースを、全てトップ3でゴールしている森田直樹(#23)。ポイントランキングは現在2位、S1 OPENにもダブルエントリーしており、そちらでもポイントランキング4位につけている

↑ 表彰台中央は原島剛(#11)。その左に総合2位の寺平悠成(#4)。右は総合3位の森田直樹(#23)
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