

2026全日本スーパーモト選手権第3戦レポート
2026年5月17日(日)
名阪スポーツランド(奈良県)
モトクロス方式のスタートが熱戦を演出!
今シーズンの全日本スーパーモト選手権シリーズは、昨年より1戦増えて全8戦のスケジュール。その第3戦は、前戦から約1ヵ月間のインターバルを挟み、5月17日(日)に奈良県・名阪スポーツランドで実施された。
今季第6戦での使用も予定されている名阪スポーツランドは、複数のオンロードコースに加え、全日本モトクロス選手権も開催されるオフロードコースも有する複合モータースポーツ施設。今大会は、ミニバイクなどの走行を前提としたABコースのほぼ全区間と、サンド質を特徴とするモトクロスコースのスタート&ゴール付近を未舗装の斜面でつないだ、特設コースで競われた。
決勝のスタートには、昨年第6戦で久々に復活されたモトクロス方式を採用。予選順位に基づき各ライダーがゲートを選択し、ゲートバーダウンと同時に横一列でスタートする。なお、スタートしてからターマック区間のコントロールラインを通過するまでは周回数にカウントされない。
今大会は天候に恵まれ、朝から快晴で路面はドライコンディション。夏を思わせる強い日差しにより、最高気温は28℃まで上昇した。
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ダートでライバルを圧倒して小原堅斗が2レース制覇
全日本最高峰となるS1プロクラスは、予選が10分間のタイムアタック方式、決勝は9周の2レース制で競われた。14台が出走した予選では、序盤2戦を終えてランキング2番手につける五十住洋佑(#06)が真っ先にタイムアタックを開始。これをランキングトップの小原堅斗(#1)、ランキング3番手の沖勇也(#3)が僅差で追いつつ、タイムアップを目指した。予選時間の前半、3台は1分12秒台に入れ、さらにその少し後方を走る鈴木優那(#01)も1分12秒台に。ここから4台の隊列が少し崩れると、沖と小原が1分11秒台に入れた。
そして終了直前のアタックで、沖が1分10秒822をマーク。このままレース1のポールポジション獲得と思われたが、直後に小原が1分10秒677に最速タイムを塗り替え、予選トップは小原、2番手は沖、3番手は1分12秒281の五十住となった。予選4番手は1分12秒811の鈴木、同5番手は1分12秒964の岡田駿介(#02)。予選6~8番手はいずれも1分13秒台で、新井誠(#05)、呉本朝也(#7)、金子和之(#4)の順となった。
予選結果に基づきスターティンググリッドを選んで臨んだ決勝レース1では、スタート直後にクラッシュが発生。新沼伸介(#5)がリタイアとなり、五十住や金子が大きく遅れた。ホールショットを獲得したのは小原。これに鈴木、沖、梅田祥太朗(#03)が続いて最初のコントロールラインを通過し、そこから4秒ほど遅れて5番手以下は8台が僅差で連なる混戦となった。1周目、4番手の梅田はトップ3から離され、前後に4~5秒のギャップがある単独走行に。トップの小原は2周目までに約3秒のリードを奪い、鈴木と沖は僅差の2番手争いを演じた。また5番手争いの集団では、2周目に新井がその先頭に立った。
3~4周目にかけ、沖は鈴木からやや離されたが、5周目に再び2番手争いが接戦に。この2台から10秒以上離されながらも梅田は4番手をキープし、これを2~3秒差で新井、さらに4周目に6番手まで順位を上げた五十住が追った。6周目、梅田は転倒で6手後退。五十住は新井との距離を詰め、これが4番手争いとなった。7周目の1コーナーでは、沖が鈴木のインを突いて2番手浮上。同じ周、五十住は新井の攻略に成功した。ラスト2周、沖は鈴木を離しつつ約3秒先行する小原を追ったが、8周目には小原もペースを上げて応戦。逃げ切った小原が優勝、沖が2位、鈴木が3位、新井を振り切った五十住が4位、新井が5位、梅田が6位となった。
決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドを選択。スタート直後に鈴木や岡田が転倒し、鈴木の背後にいた沖も大きく出遅れた。好スタートを切ったのは再び小原。これに金子、レース1のクラッシュで負傷した新沼、五十住や新井が続いた。沖は最初のコントロールラインを10番手でクリア。1周目、小原と金子がトップ2を形成し、3秒ほど遅れた新沼の背後には五十住と新井が激しく迫った。2周目、トップの小原はリードを約3秒まで拡大。五十住が新沼を抜いて3番手に順位を上げ、2.5秒ほど先行する金子の追撃を開始すると、翌周には金子と五十住が接近戦となった。同じ周、新沼は新井と沖の先行を許して6番手に後退した。
4周目、五十住が金子を抜いて2番手に浮上。この段階で、トップの小原は約5秒のリードを築いており、翌周以降も両者のギャップにはほとんど変化がなかった。一方、3番手に後退した金子は徐々に五十住から遅れながらも、後続に対しては4~5秒のリードを確保。しかし6周目に、沖が新井を抜いて4番手に順位を上げると、一気に金子との距離を縮めた。そしてラスト2周となった8周目に、沖が金子をパス。最後は沖が少し引き離した。小原は、最後まで危なげなくトップを快走。前戦に続いて2レース制覇を達成した。五十住が2位、沖が3位、金子が4位、新井が5位を獲得。8周目に新沼を抜いた呉本が6位、最終ラップに新沼を逆転した鈴木が7位となった。
●小原堅斗(レース1・優勝/レース2・優勝)
「名阪スポーツランドは、自分が得意とするダートが長いコース。しかしそれが逆に、プレッシャーを感じさせることにもつながっていました。そういう状況で予選と決勝ですべてトップになれたので、パーフェクトな1戦になったと思います。一方で自分はレインタイヤを選択しましたが、スリックタイヤをチョイスしていた五十住洋佑選手がかなり追い上げてきていたので、同じコースで開催される第6戦ではスリックを検討してみてもいいかな……とも感じました。レインで優勝できているだけに難しいところですね。次戦はハイスピードコースのHSR九州。はっきり言って苦手です。でも、自分もそれを克服するための練習はしているし、仮に勝てなかったとしても、あのコースで速さを発揮し続けている沖勇也選手のスキルを少しでも盗めるように戦いたいです」
●沖勇也(レース1・2位/レース2・3位)
「ダートが長い名阪スポーツランドは、これまでの成績を考えても勝てる大会ではないと思って臨みました。しかし前日のスポーツ走行では、これまでやってきたダート練習の成果から戦える位置にいることが確認でき、予選では僅差でトップを逃しましたが、さらなる自信につながりました。決勝では、あまり経験がないモトクロス式スタートに戸惑い、小原堅斗選手だけでなく鈴木優那選手まで先行させてしまいましたが、最後まで落ち着いて走り2位を獲得できたので、ポジティブな内容だったと思います。レース2は、スタートの反応で少し出遅れたところ、直前で鈴木選手が転倒。これで完全にストップしてほぼ最後尾から追い上げることになり、正直なところ絶望的でした。それでも、諦めることなく追い上げを続けたところ3位にはなれたので、最低限の部分はクリアできたと思います。次戦は自信のあるHSR九州。2レースとも優勝します!」

↑ モトクロス出身の小原堅斗(#1)が、ダートセクションが長い名阪スポーツランドで躍動。レース1、レース2ともにスタート直後からトップを快走し、前戦に続いて2レース制覇!

↑ レース1では、鈴木優那(#01)と沖勇也(#3)が激しい2番手争いを展開。ダートを得意とするモトクロス出身の鈴木が抑えていたが、ターマックで沖が逆転して2位

↑ レース1は出遅れて4位に終わったが、レース2では中盤に2番手まで浮上すると、トップの小原堅斗(#1)と互角のタイムを刻んで2位になった五十住洋佑(#06)

↑ 総合成績による表彰式。写真中央が2レース制覇の小原堅斗(#1)、同左が総合2位の沖勇也(#3)、同右が総合3位の五十住洋佑(#06)。小原がランキングトップをキープ
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オフロードスキルに勝る馬場亮太が完全勝利!
S1オープンクラスは、10分間のタイムアタック予選と、7周の決勝2レースを実施した。予選には17台が出走。全日本モトクロス選手権を経て近年はエンデューロで活躍する馬場亮太(#39)が、今季開幕戦以来となる2度目の全日本スーパーモト選手権スポット参戦を果たして注目を集めた。予選では、その馬場が後半に入ってから1分11秒台を連発。1分11秒633で予選トップとなった。なおこのタイムは、S1プロクラスの予選3番手に相当する。
予選2番手タイムをマークしたのは、ここまで2戦を終えてランキングトップに立つ真木來人(#36)。ベストラップタイムは1分12秒889で、予選3番手を2秒近く離した。予選3番手はS2クラスとダブルエントリーする森田直樹(#37)で、ベストタイムは1分14秒576。予選4番手は1分14秒636の藤本賢人(#15)、同5番手は1分15秒446の唐澤哲也(#54)、同6番手は1分17秒772の田井祐一郎(#40)となり、予選7番手の福地康祐(#5)と8番手の勝谷仁(#4)も1分17秒台だった。
迎えた決勝レース1は、スタート直後に予選上位の森田と田井がクラッシュ。最後尾からの追い上げを強いられた。一方、ホールショットはモトクロス経験豊富な馬場が獲得。これに福地と真木、3秒ほど遅れて河野頌二郎(#14)や戸田道夫(#6)らが続いて最初のコントロールラインを通過した。1周目、真木が福地をパス。トップの馬場と2番手の真木と3番手の福地はそれぞれ約4秒間隔となり、福地には河野と戸田が続いた。2周目には唐澤が6番手浮上。徐々に前との距離を詰め、3周目には福地と河野と戸田と唐澤までがワンパックとなった。
この段階で、トップを快走する馬場のリードは約7秒。2番手の真木も、後続を約12秒離しており、それぞれ単独走行となっていた。注目の3番手争いでは、4周目に唐澤が戸田をパス。5周目には河野がミスして集団の最後尾となる6番手まで後退し、6周目には福地と唐澤の3番手争い、3秒ほど離れて戸田と河野の5番手争いとなった。迎えた最終ラップの7周目、逆転を狙った唐澤がダートで転倒して5番手に後退。最後尾から追い上げを続けてきた森田が、最終コーナーで河野を抜いた。これによりレースは、馬場が優勝、真木が2位、福地が3位、戸田が4位、唐澤が5位、森田が6位、河野が7位となった。
決勝レース1のゴール順でスターティングゲートを選択したレース2は、福地がトップを奪取してターマック区間に進入し、最初のコントロールラインを先頭でクリア。これに馬場と唐澤が続き、4秒ほど離れて河野を先頭とする集団が追った。1周目、馬場は早くもトップ浮上を果たすと、この周だけで約5秒ものアドバンテージを得た。福地と唐澤は僅差の2番手争いを展開。4番手をキープする河野の後方では、ダートセクションで藤木が順位を下げ、真木も混乱の中で転倒して15番手まで順位を下げた。2周目以降、トップの馬場は1周につき5~6秒もリードを拡大。そのままトップを独走して3勝目を挙げた。
一方、馬場から大きく遅れた2番手争いは、レースが中盤に入っても接近戦となっていたが、4周目に唐澤がついに福地をパス。翌周には福地を3秒ほど離した。この福地を約5秒差で追っていた河野の背後には、1周目に一度は10番手まで順位を下げた森田が接近。さらに森田の後方には、真木も順位を上げてきた。そして5周目には森田、6周目には真木が河野をパス。さらに両者は福地との距離も詰め、6周目には森田、最終ラップとなった7周目には真木が、福地を抜いた。これによりレース2は、2位に唐澤、3位に森田、4位に真木、5位に福地、6位に河野となった。

↑ 日本エンデューロ選手権の最高峰クラス4年連続王者でもある馬場亮太(#39)が、再び全日本スーパーモトにスポット参戦。ダートが長めのコースで予選・決勝完全制覇!

↑ 2ストマシンを駆る真木來人(#36)。レース1では、馬場亮太(#39)に離されたものの2位を獲得。レース2は序盤の転倒が響いて4位に終わったが、ランク首位を守った

↑ レース1、レース2ともに福地康祐(#5)と唐澤哲也(#54)が接近戦を展開。レース1は福地が競り勝って3位を獲得したが、レース2は唐澤が逆転に成功して2位獲得

↑ 2レース総合成績による表彰式。写真中央が完全優勝の馬場亮太(#39)、同左がフル参戦組ではトップとなった総合2位の真木來人(#36)、同右が総合3位の唐澤哲也(#54)
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レース1で全日本初勝利の宮岡貴之が総合優勝も獲得
S2クラスもS1オープンクラスと同様に、予選は10分間のタイムアタック形式、決勝は7周の2レースで競われた。エントリー台数は、今季最多となる16台。その全員がタイムアタック予選に臨み、今季これまでの4レースでいずれも3位以内を獲得している寺平悠成(#4)が、早々に1分17秒台のトップタイムをマークした。予選時間が後半に入ると、こちらも今季4レースすべて3位以内の森田直樹(#23)が1分17秒台に入れ、寺平に迫った。
しかし予選時間終盤に、寺平が1分16秒757をマーク。これで森田を突き放した寺平が予選トップとなった。森田は、1分17秒661からタイムアップすることができず予選2番手。予選時間中盤に1分18秒807をマークした石田貴大(#29)が、予選3番手となった。予選4~9番手の6台は、いずれも1分19秒台という大接戦。最終的には那須南斗(#21)、野田浩平(#28)、藤木一真(#26)、水野彰久(#7)、宮田輝(#25)、藤原臣之助(#27)の順となった。
決勝レース1では、横一線のスタートから藤木がホールショット。これに予選10番手だった宮岡貴之(#31)が続いてターマック区間に進み、最初のコントロールラインを藤木、野田、宮岡、石田、藤原、那須、寺平の順でクリアした。1周目、野田が4番手まで後退。代わって宮岡が再びトップの藤木を追うと、2周目には逆転に成功した。藤木は宮岡から2秒ほど遅れ、石田と野田が僅差で追走。この3台から5秒ほど遅れて、藤原と寺平と那須と森田が、やや縦に長い5番手争いのグループを形成した。
3周目、トップの宮岡がリードを拡大する一方、藤木と石田と野田の2番手争いは激しさを増し、翌周の1コーナーでは石田が藤木をパス。これで藤木が失速し、さらに野田が石田を抜いた。4番手に後退した藤木は前の2台から遅れ、背後には5番手集団から抜け出してきた森田が接近。5周目には森田が逆転に成功した。レース終盤、2番手の野田は石田を引き連れたまま、トップの宮岡を上回るペースで周回したが、最大約5秒のリードを活かした宮岡が逃げ切って全日本初優勝。野田が2位、石田が3位、森田が4位、最終ラップに藤木を捉えた寺平が5位、藤木が6位となった。
決勝レース2は、寺平が真っ先にターマックセクションに飛び込み、これを約3秒差で藤木、宮岡、野田、石田、森田が追った。1周目、寺平がミスして2番手に後退。これで一度は藤木が先頭に立ったが、翌周には寺平が先頭を奪い返した。2番手以下は藤木、石田、森田、宮岡、野田が僅差で続く大混戦。3周目に入ったところで、藤木のパスを試みた石田がクラッシュし、石田はそのままリタイアとなった。この混乱で藤木は4番手後退。森田が2番手に浮上した。トップの寺平は、この段階で3秒近いリードを確保。しかし2番手の森田がすぐに距離を詰め、4周目には接近戦となった。
3番手の宮岡は森田についていけず、一方で後続に対してはリードを拡大して単独走行に。宮岡から遅れながら、藤木と宮田と野田が僅差の4番手争いを繰り広げた。レース終盤、森田はトップの寺平に肉迫したが、寺平がチャンスを与えずポジションを死守。最後は両者がほぼ並んでコントロールラインを通過したが、0.075秒差で寺平が優勝、森田が2位となった。最後は完全に単独走行となった宮岡が3位。最後は水野も加わった4番手争いも順位変動はなく、藤木が4位、宮田が5位、野田が6位、水野が7位となった。

↑ レース1では、前半に獲得したリードを活かして勝利を収めた宮岡貴之(#31)。レース2はトップ2に離されたが3位となり、2レース総合成績でトップに輝いた

↑ レース2の終盤には、寺平悠成(#4)と森田直樹(#23)が僅差のトップ争いを繰り広げた。森田がプレッシャーをかけ続けたが、最後まで寺平が順位を死守して優勝!

↑ 予選タイム2番手だった森田直樹(#23)は、スタートに失敗してレース1は4位。レース2もやや出遅れたが、それでも終盤にはトップのライダーに肉迫して2位となった

↑ 2レース総合成績による表彰式。写真中央がレース1勝者でもある宮岡貴之(#31)、同左がレース2で勝利して総合2位となった寺平悠成(#4)、同右が総合3位の森田直樹(#23)
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