2025全日本スーパーモト選手権第2戦レポート
2025年6月15日(日)
美浜サーキット(愛知県)
3カテゴリー・総勢44名が出走し、好バトルが展開された第2戦!
2025シーズンの全日本スーパーモト選手権が5月111日(日)に千葉県の茂原ツインサーキットで開幕。それから約1カ月後の6月15日(日)、愛知県の美浜サーキットにて2025全日本スーパーモト選手権第2戦が開催された。
ツーリングに訪れるライダーも多い愛知県南部の知多半島。美浜サーキットはその先端にほど近い場所に位置している。今大会ではバックストレートエンドの先にダートセクションを設定。大きな下りジャンプの先に90度の右ターン、そこからもう一度右に90度曲がり、大きな上りジャンプを経て定常円付近のターマックに戻ってくる特設コースを使い、公式予選と決勝レースが開催された。
前日14日(土)の特別スポーツ走行時は1コーナーのクリッピングにつくと水しぶきが上がるような激しい雨が降る時間帯もあったが、明けて決勝日15日(日)の天気は雨のち晴れ。予選が行われる時間には雨がやんでいたが、濡れたダートセクションから引っ張って来られた土がターマックを汚し、非常に滑りやすいコンディションだった。そのため転倒シーンもあったが、それだけに抜きつ抜かれつのバトルが見られる白熱の展開になった。
小原堅斗が公式予選、決勝レース1・レース2を制して完勝!
全日本選手権の最高峰となるこのカテゴリーは、ハスクバーナTC250の1台のみが2スト250ccで、それ以外の14台は4スト450ccのレーサーマシンという合計15台がしのぎを削る公式予選と決勝レースになった。
10分間のタイムアタック形式による予選では、同ポイントで今回の美浜大会を迎えた小原堅斗(#1)と日浦大治朗(#2)がゆっくりコースイン。佐藤瑞城(#4)が1分15秒522をマークしてタイミングボードのトップに躍り出たが、その佐藤がフェニックスコーナーで転倒し、すぐに再スタートする。日浦が佐藤に続く2番手に浮上。小原が1分14秒007のベストをマークすると、佐藤がその直後に小原と日浦の間に割って入る。しかし、すぐに日浦が佐藤を上回って再び2番手に。小原が1分12秒548をマークする。日浦はその後、小原とコンマ057差の1分12秒605までタイムアップしたが、小原を上回ることは叶わなかった。これにより、小原がポールポジションを獲得。それに日浦、佐藤、呉本朝也(#12)と続き、そこまでの4台がフロントロー。金子和之(#5)、新沼伸介(#6)、佐々木啓之(#7)がセカンドローからスタートすることとなった。
10周による決勝レース1は予選で各ライダーがマークしたベストタイム順にスターディンググリッドに並んで行われた。このレースではポールポジションスタートの小原のグリッドのみが若干濡れており、それ以外のフロントロー3台はドライ路面でのスタートとなった。クラッチミート時に小原のマシンのリアが空転。日浦がロケットスタートを決めてホールショットを奪った。3番グリッドスタートの佐藤がそれに続くが1コーナーで行き場をなくして転倒。日浦、小原、新沼、金子、呉本、馬場悠介(#23)のオーダーでオープニングラップを帰ってきたが、3周目のダートセクションで金子が転倒して12番手までポジションダウン。その間も小原はファステストラップをマークしながら日浦のテールを狙う。その小原が8周目のダートセクション上りジャンプで日浦をパス。小原はそのまま日浦を若干引き離すと、小原、日浦のオーダーでファイナルラップに突入。スパートをかけた日浦が小原の背後に迫るが、その日浦が最終コーナーで転倒し、小原がトップチェッカーを受けた。すぐに再スタートした日浦が2位。呉本が3位チェッカーを受けた。
レース1の正式結果順にグリッドに並んでスタートした決勝レース2では小原が良いスタートを切り、ホールショットをゲット。それに2番グリッドスタートの日浦が続く。バックストレートエンドで4番グリッドスタートの新沼が3番グリッドスタートの呉本のインに。小原、日浦、新沼、呉本のオーダーでオープニングラップを終了。呉本の後方では小鹿翼(#15)と馬場が5番手争いを展開する。小原は3周目になると日浦を若干引き離し、独走状態に。単独3番手となった新沼の背後では呉本と小鹿が4番手争いを繰り広げる。日浦は4周目に小原よりコンマ5秒ほど、翌5周目には小原よりコンマ3秒ほど速いペースでラップを刻み、ジリジリと小原に接近していく。トップの小原が8周目のヘアピンでミス。これにより、日浦はさらに小原に接近する。小原、日浦のバトルはファイナルラップの最終コーナー立ち上がりまで続いたが、順位が入れ替わることはなく、小原、日浦のオーダーでチェッカー。呉本、新沼に競り勝った小鹿が3位入賞を果たした。
▶小原堅斗(レース1・優勝/レース2・優勝)
「予選時はダートセクションもターマックもコースコンディションが良くありませんでしたが、個人的には乗れており、行ける!という手応えを感じていました。他のライダーのことは意識せず、自分の走りをした結果、ポールポジションを獲得することができました。レース1では濡れた路面からのスタートでホールショットを奪うことができませんでしたが、1コーナーの立ち上がりでは日浦大治朗選手の背後につくことができました。得意なダートセクションで日浦選手をパスした後はペースを緩めることなく、トップでチェッカーを受けることができました。レース2も逃げきってトップチェッカーを受けることを目標にしていました。ミスして転倒しかける瞬間もありましたが、目標通り日浦選手に勝つことができ、今回は上出来なぐらいです。これからの5戦も今回のようにレース1・レース2ともに優勝することを目標に戦っていきます。」
▶日浦大治朗(レース1・2位/レース2・2位)
「ダートが雨でぬかるんでいて、土を引っ張ってくる状況だったので、予選ではまずはコースコンディションを見極めようと考えていました。トップタイムまでは狙っていませんでしたが、蓋を開けてみれば2番手で、悪くないタイムが出ていました。決勝では引っ張って来られた土がコースにあり、滑りやすく、レース1もレース2も難しいコンディションでした。コントロールし切れずに肝心なところで転倒するなど、今回は噛み合わないケースが多くあり、消化不良ですが、次戦に向けて改善していきたいです。次戦HSR九州大会の後には鈴鹿8耐もあります。3人のライダーで力を合わせて頑張りますので鈴鹿8耐の応援もよろしくお願いします!」
▶小鹿翼(レース1・6位/レース2・3位)
「予選ではアタック4周目にバックストレートで転び、ハンドルを曲げてしまいました。それでアタックできなくなり、11位と奮いませんでした。その悔しさをバネにレース1では少しでも前に行こうと頑張った結果、6位でチェッカーを受けることができました。また、レース2では前を走るライダーを抜くことだけに集中して走りました。最後までコンセントレーションを高めて走ることができ、3位というさらに良いリザルトを残すことができました。次戦の舞台は地元のHSR九州です。正直に言うとあまり得意なコースではありませんが、この美浜大会の勢いをそのままに、今回並みかそれ以上の成績を狙いたいです。」

↑ 小原堅斗(#1)は決勝レース1のスタートで出遅れるが、オープニングラップの3コーナー進入時には2番手に。得意のダートセクションでトップに立つと、そのまま優勝を決めた

↑ レース1ではファイナルラップの最終コーナーで転倒した日浦大治朗(#2)。「噛み合わないレースでした」と話すが、決勝レース1・レース2ともに2位を獲得

↑ 公式予選のタイムは11番手ながら、決勝レース1を6位、決勝レース2を3位で終えた小鹿翼(#15)。地元のHSR九州大会をどう戦うかに注目!

↑ 2レース総合成績による表彰式。写真左から2人目が2レースをともに制し、総合ウィナーとなった小原堅斗(#1)。同左が2レースともに2位の日浦大治朗(#2)、同右が総合3位の小鹿翼(#15)
鈴木優那が決勝レース1・レース2ともにポールtoウィン!
全日本カテゴリーのひとつで、「オープン」の名の通り、250cc以上の排気量無制限クラス。国内外の主に4スト450ccおよび2スト250ccのレーサーマシンを使って争われるこのカテゴリーは1台のみが排気量510cc(ハスクバーナFE501)で、それ以外は450ccという4ストロークレーサーばかりの布陣で公式予選と決勝レースが行われた。
全日本格式クラスでは最初に行われたこのカテゴリーの予選は10分間のタイムアタック形式。合計18台が出走したこの予選ではポイントリーダーの岡田駿介(#10)、ランキング2位の鈴木優那(#12)の順にコースイン。その2台が前後ポジションを入れ替えながらアタックを続ける。鈴木と岡田の2台が3番手以降を約5秒引き離す1分15秒台をマーク。さらにタイムアップを狙っていた岡田が1コーナーで転倒する。アタック中盤では鈴木、岡田、山口誠(#30)、田邉貴裕(#38)のタイム順に。田邉が1分20秒758をマークして山口を上回る。それまでは18番手タイムだった梅田祥太朗(#7)がアタックの最後に1分20秒328をマークして一気に3番手に浮上。1分15秒729の鈴木が開幕戦に続いてポールポジションを獲得した。それに岡田、梅田、田邉と続き、ここまでの4台がフロントロースタートに。山口、三井正勝(#42)、田村賢治(#37)の3台がその後ろセカンドローからスタートすることとなった。
決勝は8周ずつのレースが2ヒートに渡って行われた。予選のベストタイム順にグリッドに並んでスタートした決勝レース1ではポールポジションスタートの鈴木が絶妙なクラッチミートを披露してホールショットをゲット。2番グリッドスタートの岡田がそれに続く。鈴木がトップのままオープニングラップを終了。その鈴木と岡田がテールtoノーズのバトルを展開し、序盤から3番手以降を引き離しにかかる。鈴木は次第に岡田との間にも若干のマージンを築く。4番グリッドスタートの田邉が3番手に浮上。3番グリッドからスタートした梅田が大きく順位を落としたが、その後は周回ごとに順位を回復する。鈴木は終始安定した走りを披露し、岡田以降に9秒549ものアドバンテージを築いて今シーズン初優勝を飾った。2位は岡田。田邉が3位でチェッカーを受けた。
続いて決勝レース1のチェッカー順にグリッドに並んでスタートした決勝レース2では、再びポールポジションスタートの鈴木が良いクラッチミートを披露。1コーナー進入ではその背後に岡田が迫るが、ダートセクションを得意とする鈴木はオープニングラップのダートセクションで岡田を若干引き離すことに成功。鈴木は自身がマークしたファステストラップを更新しながらも安定した走りを披露する。鈴木は岡田より1秒以上速いタイムで3周目をラップ。鈴木、岡田の後方では田邉が単独3番手に。山口、川崎雄大(#16)も単独4番手、単独5番手になる。上位陣のオーダーはファイナルラップの最終コーナー立ち上がりまで変わることはなく、鈴木、岡田、田邉の3台がその順に表彰台に立つことに。S2の決勝レース2をキャンセルし、万全の体制でこのカテゴリーの決勝レース2に臨んだ鈴木が2位の岡田以降に7秒197のアドバンテージを築いてポールtoウィンを飾る結果となった。

↑ 鈴木優那(#12)が決勝レース1・レース2ともにポールtoウィン。どちらのレースでも後続を大きく引き離し、独走でチェッカーを受けた

↑ 開幕戦の決勝レース1・レース2で2連勝を決めた岡田駿介(#10)。今回の美浜大会はともに2位だったため、鈴木と同ポイントで第3戦のHSR九州大会に臨むこととなった

↑ 開幕戦では2レースともに下位に沈んだ田邉貴裕(#38)。今大会では決勝レース1・レース2ともに力走を披露し、どちらのレースでも3位入賞を果たした

↑ 表彰式は決勝レース1・レース2の総合成績によって行われた。写真中央が圧倒的な強さを披露した鈴木優那(#12)。同左が今回は2レースとも2位の岡田駿介(#10)で、同右が総合3位の田邉貴裕(#38)
新井誠が公式予選、決勝レース1・レース2を完全制圧!
主に4スト250ccおよび2スト125ccのレーサーマシンを使って争われる全日本格式のカテゴリーのひとつ。今回は9台の4スト250ccレーサーと2台の2スト125ccレーサーの合計11台が参戦。15日(日)の午前中に10分間によるタイムアタック形式の公式予選と決勝レース1が行われ、午後に決勝レース2が開催された。
予選では開幕戦の決勝レース1ポールシッター新井誠(#20)がまず1分15秒302をマーク。それにコンマ2秒差まで詰めた鈴木優那(#3)が続き、さらに伊藤諒(#19)が3番手で迫る。新井がアタック最終周で自己ベストを更新し、唯一の1分14秒台となる1分14秒110をマーク。それに1分15秒507をマークした伊藤が続いた。鈴木が最後のアタックに入ったものの、タイムアップはならず、3番手で予選を終了。新井、伊藤、鈴木、寺平悠成(#14)までがフロントローを獲得。五十住洋佑(#23)、真木來人(#21)、水野彰久(#22)の3台がその後ろセカンドローからスタートすることとなった。
予選でマークされたベストタイム順にグリッドに並んでスタートした8周による決勝レース1では、2番グリッドスタートの伊藤がホールショットをゲット。それにポールポジションスタートの新井。3番グリッドスタートの鈴木と続く。伊藤、新井、鈴木、五十住、寺平、真木のオーダーでオープニングラップを終了。新井が2周目に伊藤をパスする。
トップに立った新井は徐々に伊藤以降を引き離すことに成功。伊藤の若干後方では鈴木が伊藤のインを狙う。五十住が4周目の1コーナーでその鈴木をパスすると、五十住は伊藤にも迫っていく。その間も伊藤以降を引き離し続けた新井が独走優勝。五十住がファイナルラップの1コーナーやフェニックスコーナーで伊藤に迫ったが、順位は変わらず、2位伊藤、3位五十住、4位鈴木のオーダーでチェッカーを受けた。鈴木はS1 OPENクラスのレース2に集中するため、このカテゴリーのレース2をキャンセルこととなった。
続いて決勝レース1の正式結果順にグリッドに並んでスタートした決勝レース2も8周によって争われた。このレースでは、新井と伊藤が横並び状態で1コーナーへ。ポールポジションスタートの新井がホールショットを奪う。新井、伊藤、五十住、寺平、水野、真木のオーダーでオープニングラップを帰ってくると、伊藤と五十住が激しい2番手争いを展開。3周目のダートセクションで五十住が転倒する。これにより、伊藤が単独2番手に。すぐに再スタートを切った五十住が単独3番手となる。それぞれ単独走行となった新井、伊藤、五十住はそのままトップ1、2、3でチェッカー。開幕戦終了時点でポイントリーダーだった原島剛が今大会を欠場したため、ランキング2位だった新井がランキングボードのトップに立った。

↑ 公式予選で唯一の1分14秒台をマークし、ポールポジションを獲得した新井誠(#20)が決勝レース1で優勝。決勝レース2では一度もトップの座を明け渡すことなく、ポールtoウィンを飾った

↑ 伊藤諒(#19)は決勝レース1・レース2ともに2位。今回の美浜大会で40ポイントを加算し、ランキング2位に浮上した

↑ 決勝レース1・レース2ともに3位でチェッカーを受けた五十住洋佑(#23)。開幕戦を欠場したため、開幕戦終了時点ではノーポイントだったが、今回32ポイントを獲得し、ランキング5位となった

↑ 写真中央が決勝レース1・レース2ともに優勝し、25ポイントずつを加算してランキングリーダーとなった新井誠(#20)。同左が総合2位の伊藤諒(#19)。同右が総合3位の五十住洋佑(#23)
▶正式リザルトはこちらにアップいたします。