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INFORMATION S1PROで小原堅斗、S1OPENでは田所隼がチャンピオン決定!
全日本スーパーモト選手権第5戦レースレポート

今季の全日本スーパーモト選手権は、全6戦のシリーズ。その第5戦が、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中止された奈良県の名阪スポーツランドで開催された。

複数のオンロードコースに加えて、前週には全日本選手権が開催されたモトクロスコースも有する名阪スポーツランド。ABコースと呼ばれるミニバイクなどの走行用にレイアウトされたオンロードコースと、サンド質を特徴とするモトクロスコースのスターティングエリア付近をつなげた、ダートセクションがかなり長めな特設コースで競われた。

日本列島に台風が接近したことにより荒天が予想されたが、大会当日は朝から曇天。昼すぎに小雨が降ったが、コースコンディションに大きな影響は与えなかった。ただし、当日朝までに降った雨の影響でダートセクションはかなりぬかるみ、ターマックにも大量の土砂を引っ張った、全周にわたりスリッピーな路面状況。また、全レース終了後には激しい雨となり、表彰式は雨天で実施された。

 

小原堅斗が総合優勝で初のシリーズタイトル獲得を決定!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は10周の2レース制で競われた。15台が出走した予選では、ディフェンディングチャンピオンで前戦を2レースとも制覇した日浦大治朗(#1)が、1分25秒644のトップタイムをマーク。2番手に1分27秒065でランキング4番手の吉田雄一(#7)、3番手に1分27秒131で金子和之(#4)が入り、ここまでがレース1のフロントロースタートとなった。また、4番手には1分27秒521でポイントリーダーの小原堅斗(#6)、5番手には1分29秒549でランキング2番手の長谷川修大(#2)、6番手には1分30秒555で川留健一(#15)が入り、ここまでがレース1の2列目スタートとなった。

レース1でホールショットを奪ったのは日浦。これに吉田と2列目からジャンプアップした小原、金子と川留が続いた。1周目、長谷川がダートでの転倒後に他車の追突を受けて大きく後退。川留は加藤将貢(#22)と森田直樹(#5)の先行を許し、日浦、吉田、小原、金子、加藤、森田、川留のオーダーでオープニングラップをクリアした。2周目、日浦が約4秒のリードを奪う一方で、吉田と小原と金子が僅差の2番手争いを展開。3周目には小原が先行した。加藤はこの3台から8秒ほど遅れ、すぐ後ろでは森田と川留が6番手争いを繰り広げた。4周目、日浦はリードを約6秒に拡大。小原は後続を3秒ほど引き離して必死に日浦を追い、吉田と金子は4番手争いを継続した。

5周目以降、小原は日浦よりもわずかに速いラップタイムをマークし、3番手を守る吉田をさらに引き離しつつ、徐々に日浦へと接近。4番手の金子は吉田のマークを続けていたが、7周目になるとその距離が広がりはじめた。また金子からは15秒以上遅れながら、加藤と森田と川留は僅差の5番手争いを継続した。9周目、それまで約4秒あった日浦と小原のギャップがダート区間で一気になくなり、トップ争いが接近戦に。そしてラストラップとなった10周目、ダート区間後の左ヘアピンカーブで日浦がややアウトにはらみ、その隙に小原がパスした。しかし切り返しとなる直後の右ヘアピンでは、日浦が小原のインにマシンをねじ込み、両者が接触しながらも日浦が逆転。そのまま逃げ切った日浦が今季5勝目を挙げ、小原が2位、レース中盤以降にトップ争いからは大きく遅れた吉田が3位、金子が4位となった。最終ラップまで続いた5位争いは加藤が最後までポジションを守り、加藤が5位、森田が6位、川留が7位となった。長谷川は10位でゴールしている。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。ホールショットは日浦が奪い、小原と吉田が激しく2番手を争ったが、ここは小原が守った。オープニングラップは日浦、小原、吉田、加藤までがそれぞれ約2秒差で続き、金子は加藤に肉迫。そこから3秒ほど離れて川留と森田が6番手争いとなった。2周目、ダート区間で小原がトップの日浦に接近。そして3周目のダート区間で、小原がトップを奪取した。さらに、ターマック区間で日浦が転倒して、これで両者の差が約6秒に拡大。日浦の後方には吉田が迫った。吉田の4秒ほど後方では、加藤と金子と川留と森田が接近して4番手争い。4周目、この集団で金子が先頭に立った。同じ周、日浦は吉田を4秒ほど離しつつ小原を追ったが、小原はさらにペースが速く、9秒近くまでアドバンテージを拡大した。

5周目は小原と日浦がほぼ同タイムだったが、6周目には再び両者のギャップが拡大し、その差は約12秒。この段階で3番手の吉田は日浦から11秒ほど遅れ、4秒後ろには金子が近づいてきた。レース終盤、トップの小原は安定したペースで周回を重ねてトップを独走。最後までその座を脅かされることなく、今季2勝目を挙げた。日浦は単独走行となって2位でフィニッシュ。8周目あたりから最終ラップの10周目にかけ、吉田と金子が僅差の3番手争いを繰り広げたが、これは吉田が守って3位、金子が4位となった。また、この2台から大きく遅れた5番手争いも、川留と森田が最後まで接近戦を繰り広げたが、川留が最後にやや引き離して5位、森田が6位となった。なお長谷川は、レース1で左手を負傷してレース2を欠場。長谷川がノーポイントに終わったこともあり、最終戦を待たずに小原のシリーズタイトル獲得が決まった。

■ 小原堅斗(レース1・2位/レース2・優勝)

「レース1は日浦選手の後ろでレースをスタート。近づくことはムリだろうと思っていたのですが、予想以上に自分のペースがよく、接近することができました。背中が見えてくると、やはり抜きたいという気持ちが強くなり、最後に勝負を仕掛けたのですが負けました。左コーナーでパスした直後の右コーナーで、インを締めきれなかったのが敗因。ちょっと自分が甘かったと反省しています。レース2は、ダートで日浦選手を抜いた後、絶対にまた勝負に来るという恐怖心があったので、とにかく自分の走りをして逃げようと思いました。結果的に日浦選手を引き離すことができて、本当にうれしく思っています。チャンピオンが決まったと知ってとてもうれしいですが、まるで実感がありません。まだ最終戦が残っていますが、ターマックオンリーのスポーツランドSUGOでも日浦選手に勝ちたいです」

■ 日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・2位)

「レース1のラストラップは、やや外側のラインを選択したら小原選手に抜かれてしまいました。すぐになんとか抜けたのでよかったのですが、レース2は完全に負けました。ダート区間で普通に抜かれて、ついていこうと思ったところでリヤからスリップダウン。そこから追いつこうと頑張ったのですが、小原選手のほうが速く、逆に自分はミス連発でした。転倒でややマシンに不具合もあったのですが、それを抜きにしても小原選手がさすがの走りをしていたので、小原選手のチャンピオン獲得を祝福したいと思います。でも本人には、『次は鈴鹿サーキットで勝負しましょう、あそこなら絶対負けないので!』と言っておきましたけどね。チームメイトの長谷川選手と7点差のランキング2位争いになっているので、最終戦は両方勝って、長谷川選手には負けないようにしたいと思います」

レース1の最終ラップでは、日浦大治朗(#1)と小原堅斗(#6)が最後に白熱の優勝争い

 

今季2度目の総合優勝を獲得した小原堅斗が、シリーズタイトル獲得を決定

 

ロードレース出身ながら、ダートが長い今回のコースでも速さをみせた日浦大治朗

 

2レース総合成績による表彰式。写真中央が優勝の小原堅斗(#6)、同左が2位の日浦大治朗(#1)、同右が3位の吉田雄一(#7)

 

田所隼が4大会連続2レース制覇でチャンピオンに!

S1オープンクラスのタイムアタック予選には22名が出走し、菅野景介(#17)が1分32秒040のトップタイムをマーク。佐々木徹(#25)が1分33秒062で予選2番手、ポイントリーダーの田所隼(#35)は1分33秒517で同3番手となり、ここまでが決勝レース1のフロントローに並んだ。ランキング2番手の佐々木啓之(#8)は1分34秒403で同4番手、ランキング3番手の馬場悠介(#6)が1分34秒886で同5番手。予選6番手の小川芳徳(#28)は1分37秒台で、5番手の馬場とは2秒以上の差となった。

決勝は、レース1とレース2とも8周の設定。2台が出走をキャンセルしたレース1では、予選3番手の田所がアウト側からまくってホールショットを奪い、菅野と佐々木徹が続いた。しかし直後の短いダート区間で菅野は激しく転倒し、そのままリタイヤ。佐々木徹も1周目でリタイヤとなった。また、予選は9番手だったランキング4番手の呉本朝也(#11)も、ミスにより遅れた。オープニングラップは田所が制し、これに続いたのは佐々木啓之。その後方には早くも約5秒の間隔が開き、大坪正之(#12)が3番手、さらに4秒ほど遅れて小川と高部充陽(#5)と田淵智之(#20)の4番手争いとなった。馬場は大きく遅れ、11番手からの追い上げを強いられた。

レース序盤、トップの田所は2秒ほどのリードを守ってトップを走行。ところが3周目に転倒を喫し、これで佐々木啓之が先頭に立った。4周目の段階で、3番手の大坪は2番手の田所から10秒ほど遅れ、後方にも5秒ほどの間隔がある単独走行状態。4番手争いではこの4周目に高部が先行し、小川と田淵が僅差で追った。しかし5周目に、高部はミスにより7番手まで後退。その背後には馬場が迫った。6周目、2番手の田所が佐々木啓之との距離を詰め、トップ争いが接近戦に。3番手の大坪は完全に単独走行となった一方で、4番手争いは小川、田淵、中石昭(#23)、馬場、高部による接近戦となった。7周目、佐々木啓之と田所のトップ争いはさらに激化。最終ラップとなった8周目、ダート区間直後に田所がトップを奪った。そして逃げ切った田所が、7連続となる今季7勝目をマーク。佐々木啓之が2位、大坪が3位となった。白熱の4位争いは小川が最後まで逃げ切り、5位に田淵、6位に馬場が入賞した。

午後のレース2は、レース1のゴール順でスターティンググリッドに整列。ポールポジションスタートの田所が順当にホールショットを奪い、佐々木啓之と大坪が続いた。1周目のダートセクションを終え、4番手には7番手スタートの高部が浮上していたが、その高部はターマックで転倒。8番手スタートの久谷哲郎(#19)が4番手、馬場が5番手、高部が6番手で続いた。2周目、田所と佐々木啓之と大坪が縦に長いトップグループを形成し、久谷をパスした馬場が4秒ほど遅れて4番手。さらに3秒離れて、久谷と高部が5番手争いを展開した。3周目になると、トップグループの間隔はより開き、やや遅れた大坪の背後に馬場が少しずつ接近。4周目には馬場が先行した。

レースが早くも後半に入った5周目、田所の約1秒後方まで佐々木啓之が近づき、馬場は前後に約4秒ずつ間隔がある単独走行の3番手に。大坪は4番手で、その後ろは15秒以上離れて久谷、高部、呉本、水野彰久(#32)の接近戦となった。6周目も佐々木啓之はトップの田所を僅差でマークしたが、7周目になると大量のバックマーカーが出現し、これで両者の差がやや拡大。そのまま逃げ切った田所が4大会連続2レース制覇となる8勝目を挙げ、シリーズタイトル獲得を決めた。佐々木啓之が2位、最後は佐々木啓之に近づいた馬場が3位。大坪は上位勢から大きく遅れた4位でフィニッシュし、注目の5位争いは高部が7周目に脱落して呉本が5位、久谷が6位を獲得した。

レース1では、転倒を喫するも最後に逆転して勝利を収めた田所隼

 

決勝レース1では、最終ラップまでトップを走りながら今季初優勝を逃した佐々木啓之

 

レース1は3位、レース2は4位の大坪正之が、2レース総合成績では3位を獲得

 

レースは田所隼(#35)が2レースを制覇し、佐々木啓之(#8)が僅差で迫る2位

 

レース1は鈴木優那、レース2は川島颯太が勝利!

計10名のライダーが4スト250ccマシンまたは2スト125ccマシンでエントリーしたS2クラスは、タイムアタック方式の予選を経て、決勝は8周の2レースが実施された。タイムアタック予選では、ロングダートコースかつ雨の影響によるスリッピーなコンディションとあってモトクロス出身ライダーが速さをみせ、今大会唯一の女性全日本スーパーモトライダーとなる鈴木優那(#12)が1分28秒181で前戦に続いてトップタイムをマーク。同じくモトクロス出身の川島颯太(#2)が1分30秒160を記録して2番手となった。今季5勝を挙げているポイントリーダーの原島剛(#26)は、1分32秒387で3番手。ここまでがレース1のフロントローに並んだ。

そのレース1は、鈴木と川島がスタート直後の1コーナーでホールショットを争い、ここは鈴木が抑えてダートセクションに。予選タイムが速かった鈴木と川島がオープニングラップからマッチレースを展開し、1周目は鈴木、川島、3秒ほど遅れて原島、さらに3秒ほど間隔を開けて予選4番手の大金歩夢(#25)、同5番手の藤田友貴(#6)、予選8番手から上がってきた佐藤省吾(#7)の順でクリアした。レース序盤、鈴木と川島は3番手以下をどんどん引き離しながら僅差のトップ争いを展開。3番手の原島は単独走行となり、原島から5秒ほど遅れて大金と藤田が4番手争いを繰り広げた。

レースが後半に入った5周目、鈴木と川島のギャップは1~2秒にやや拡大。4番手の大金も、藤田を引き離しはじめた。6周目、一度は離れかけた鈴木と川島の距離が再び詰まり、再び接近戦に。両者のバトルは、8周目の最終ラップまで続いた。最後まで諦めることなくパッシングのチャンスを探る川島だったが、鈴木も要所を締めて周回。そのまま逃げ切った鈴木が今季2勝目を挙げ、川島が2位でチェッカーを受けた。序盤から単独走行が続いた原島が3位、途中から後続を引き離した大金が4位、終盤には佐藤にやや迫られながらも藤田が5位となった。

レース2は、再び鈴木と川島がホールショットを争い、今度は川島が鈴木をパス。オープニングラップは川島と鈴木が僅差で続き、4秒ほど離れて原島が3番手、さらに3秒ほど間隔を開けて大金が4番手。さらに、レース1は最後尾だった勝谷仁(#5)、佐藤、藤田の順で続いた。2周目、鈴木はトップの川島に肉迫していたが、最終コーナーでミス。これで両者のギャップは約4秒に広がった。原島は、前後に4秒ずつ間隔がある3番手。大金が同じく前後にそれぞれ4秒ほどギャップがある4番手となった。3周目、原島は2番手の鈴木からさらに遅れて約9秒差。鈴木は川島を4秒ほど後方で追っていたが、4周目に入ったホームストレートで、エンジンブローによりリタイヤとなった。

これにより原島が2番手に浮上したが、トップを快走する川島との差はすでに約15秒。その後も川島がどんどんアドバンテージを拡大し、そのまま独走して今季3勝目を挙げ、原島が2位となった。鈴木のリタイヤにより3番手争いに昇格した4台によるバトルでは、4周目に大金がミスにより後退し、勝谷と佐藤が接近戦。これを制して後半にリードを拡大した勝谷が3番手、佐藤が4番手となった。また、レース終盤には藤田と大金がこちらもデッドヒートの5番手争いを展開。最後まで粘った藤田が5番手、大金が6番手となった。しかしレース後、勝谷にコースショートカットのペナルティ。これで勝谷のゴールタイムに30秒が加算され、3位佐藤、4位藤田、5位大金の順位となった。

レース1は鈴木優那(#12)と川島颯太(#2)が手に汗握る接戦を繰り広げ、鈴木が勝利

 

鈴木優那と同じくダートで速さを誇った川島颯太は、レース2を独走で勝利した

 

モトクロス組に勝利は譲ったが、鈴木優那とのポイント差を46点に拡大したランキングトップの原島剛

 

レース1は惜しくも勝利を逃した川島颯太(#2)は、レース2で勝利して総合優勝

 

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今季最終戦となる第6戦は10月16日 宮城県スポーツランドSUGOで開催されます。