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INFORMATION 大会公式レポート – 2025年MFJモトクロス全国大会(HSR九州)

日本一をかけた戦い、粘り強さが逆転勝利につながる。MFJモトクロス全国大会(HSR九州)

各地方選手権シリーズで開催されている公認クラス、ナショナル(国内A級)/ノービス(国内B級)/ジュニアクロスを対象とした「MFJモトクロス全国大会」がいくつかの併催クラスとともに、10月26日、熊本県にあるHSR九州にて開催された。

同大会には「全国大会」という名前の通り、各地方選手権シリーズで実績を積んできたライダーが集まる。各クラスの日本一を決めるだけでなく、総合優勝者はライセンス2階級特進の特典を得ることができ、これから全日本の舞台で活躍するライダーを輩出する登竜門としても機能している。

2023年までは年に1回の開催であったが、2024年から東と西の2つの会場で行う形式となった。今大会は今季1回目の全国大会であり、先述した公認クラス3つと、承認クラスとしてキッズ65(K65)とチャイルドクロス(CX)、エンジョイクラスの3つが行われた。

MFJモトクロス全国大会(HSR九州)
日時:2024年10月26日(日)
会場:HSR九州(熊本県)
天気:曇り時々晴れ

 

ナショナル(NA)

地元・今岡が接戦のトップ争いを制す

 

ナショナルクラスには九州選手権チャンピオンの#06今岡陸駆斗(TEAM SKR/カワサキ KX250)をはじめ、九州選手権ランキング5位までのライダーがエントリー。さらに中部・近畿地方選手権を制した#80水野零埜(YSP名古屋北/天白/ヤマハ YZ250F)や中国地方選手権チャンピオンの#34高野欧祐(WANEE’S Racing/ヤマハ YZ250F)など、各地の強豪が揃った。

 

#06今岡陸駆斗(TEAM SKR/カワサキ KX250)

ヒート1では、水野が好スタートを決めトップに立つが、その後ろにつけた今岡がすぐにパス。1周目をトップで通過し、2番手に水野、3番手には九州選手権ランキング2位の#64溝口來也(with T-facter/カワサキ KX250)が後に続く。HSR九州が地元である今岡が序盤からハイペースで走行する一方、水野も負けじと食らいつき、一時今岡を上回るタイムを記録する勢いで追い上げる。しかし今岡はその後もペースを落とすことなく徐々に差を広げ、水野を約13秒引き離してゴール。3位には溝口が入り、結果的に序盤から順位が変わらぬままチェッカーとなった。

 

#92齋藤朝陽(ホンダ CRF250R)

なお、4番手争いは4台による白熱のバトルが繰り広げられた。#92齋藤朝陽(ホンダ CRF250R)がラスト1周まで4番手を守ろうと奮闘するも、最後に#27松下光(ホンダ CRF250R)が抜け出して4位に浮上しゴール。5位は齋藤と#94寺原雅人(アリーレーシング/ホンダ CRF250R)がほぼ同着となったが、僅か0.1秒差で寺原がバトルを制した。

 

#80水野零埜(YSP名古屋北/天白/ヤマハ YZ250F)

ヒート2も水野が好スタートを決めてレースをリード。今岡が1周目に水野を抑えてトップに立つが、その直後にエンストしてしまい、水野が1周目をトップで通過した。2階級特進を狙う水野はなんとしてでも勝ちたいレース。勝利への思いが感じ取れる勢いのある走りで後方を引き離しにかかるが、同じく優勝を狙う今岡が迫る。トップ争いは2人の接戦となるが、レース時間が5分を過ぎたころに今岡が水野の隙をついてパス。水野も再び追い上げるが転倒を喫してしまい、3番手に後退する。トップの今岡はその後単独走行へと持ち込み、安定した速さで優勝を獲得。2ヒートともに1位でレースを終え、見事総合優勝を果たした。なお、2位には転倒から追い上げ溝口に競り勝った水野が、3位には最後まで粘りの走りを見せた溝口が入賞した。

 

#06今岡陸駆斗
「地元のコースで乗り慣れている分、他のライダーには負けないという自信はありました。朝から調子良くて、ヒート1優勝することができたのですが、ヒート2を迎える時に、総合優勝がかかっているというプレッシャーを感じてすごく緊張してしまいました。ヒート2は序盤でエンストしてなかなかエンジンがかからなくて、すごく焦ったのですが、再始動してからは全力で追い上げました。前が見えてきた時には、いけるなと気持ち的にも余裕を持って走れました。優勝できて嬉しいです」

 

ノービス(NB)

北海道から参戦、寺島が125ccマシンで完全優勝

ノービスクラスは出場した7名中5人が九州地方のライダーであり、あとの2人は北海道と近畿地方からの参戦。HSR九州は九州選手権の会場でもあることから、同コースに乗る機会の多い5人のライダーたちに有利な状況かと思われた。そんな中、タイムアタック予選で他のライダーより2秒以上速いラップタイムを記録し存在感を示したのが、北海道から参戦した#555寺島絆(TeamNFS&55デザイン/GASGAS MC125)だ。

#555寺島絆(TeamNFS&55デザイン/GASGAS MC125)

ヒート1では#21古川尚孝(グリーンシャドウ/カワサキ KX250)が好スタートを決め前に出るが、2周目に寺島がトップに浮上。決勝でもその速さは光り、後方との距離を拡大する。トップ2台は間隔が開いた状態でレースは進行。一方、3位争いは#64滿木琢磨(ヤマハ YZ250F)に#23川路蒼馬(チームKWG/KTM 125SX)が迫り接戦を繰り広げる。最後まで白熱したバトルだったが、最終ラップで#26松永朋子(tm&mm/ヤマハ YZ250F)が2台をかわす怒涛の展開に。結果、1位寺島、2位古川、3位松永という順位でレースを終えた。

 

#555寺島絆(TeamNFS&55デザイン/GASGAS MC125)

ヒート2は寺島がスタートから前に出てレースをリード。古川が追いかけるが、徐々にその差は開いていく。その後方には川路がつき、トップ3台は単独走行となりそのままの順位でゴール。寺島が最後までトップを譲らない速さで完全勝利を収め、総合優勝を獲得した。

 

#555寺島絆
「自分は北海道から参戦しました。チームのみんなが寝ずに運転してコースに連れてきてくれて、良い結果を残して帰りたいと思っていたので、総合優勝を獲ることができて嬉しいです。次戦のスポーツランドSUGO大会も出場する予定なので、優勝できるように頑張ります」

 

ジュニアクロス(JX)

江藤が粘りの走りで逆転勝利を飾る

ジュニアクロスでは、中部モトクロス選手権シリーズチャンピオンの#25伊良皆龍翔(GASGAS MC85)をはじめ、九州選手権チャンピオンの#83江藤彪之介(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ85)、関東選手権でランキング1位の#8外間匠(T. E. SPORT Jr./ホンダCRF150II)がエントリーし、予選でトップ3位を占めた。

#25伊良皆龍翔(GASGAS MC85)

ヒート1、1周目をトップで通過したのは伊良皆。その後ろに江藤と外間が続く展開となった。2人が追い上げる中、伊良皆は他のライダーよりも1秒ほど速いラップタイムで周回し、徐々にその差を拡大する。終盤には外間が江藤との距離を一気に詰めて迫るも、江藤が逃げ切りそのままの順位でフィニッシュ。1位伊良皆、2位江藤、3位外間という順位でレースを終えた。

#83江藤彪之介(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ85LW)

 

#83江藤彪之介(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ85LW)

ヒート2は#50後當優斗(★MOTION RACING★/ホンダ CRF150RII)がスタートで良い反応を見せトップに浮上。後続には江藤や伊良皆、外間がつき1周目からトップ争いは混戦となる。伊良皆が後當をパスし先頭に立つと、江藤と外間も後當をかわして順位を上げ、伊良皆を追いかける。2番手の江藤は伊良皆との差が1秒を切る僅差にまで迫りプレッシャーを与える。攻める江藤、守る伊良皆。両者の接戦が白熱する中、ラスト2周というところで伊良皆が転倒してしまう。その隙に江藤がトップを奪取。伊良皆はすぐに復帰するが追い上げきれず、結果1位江藤、2位外間、3位伊良皆という順位でチェッカーフラッグを受けた。

 

なお、レース後、上位3名は黄旗無視により1順位降格というペナルティを受けたが、総合優勝は変わらず江藤が獲得。チーム員と抱き合い喜びをあらわにした。

 

#83江藤彪之介
「今回で85ccに乗るのが最後で、全日本モトクロス選手権にも何度か出場していますが表彰台に登れたことはなかったので、今回こそは結果を残したいと思ってかなり乗り込んできました。ヒート1は後半でタレてしまい2位で終えたのですが、タレなければトップに立てるなと思って、ヒート2を迎えました。最初は接戦だったのですが、後半離されてしまって、正直焦りました。ただ、伊良皆選手の転倒があって、そこでトップに立ってそのまま優勝できました。色んな思いを持って挑んだレースだったので、結果を残せて嬉しいですし、優勝できてほっとしています」

※上記コメントは順位降格が決定した正式結果の発表前のものです。

キッズ65(K65)

接戦を抜け出した後當が総合優勝を獲得

#51後當優真(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ65)

キッズ65クラスは#33野口創司(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ65)がスタートで飛び出し、続いて#51後當優真(★MOTION RACING★/ヤマハ YZ65)、#26渡辺京介(これぞ〜&治治屋+Moty’s/ヤマハ YZ65)らが後を追いかける。しかし野口は序盤で後退。後當がポジションを上げてトップに立ち、渡辺、野口という順位でレースが進む。レース終盤にかけて2番手争いは接戦に。最終ラップではラインを交差させながらお互いがアタックし、最終コーナーで野口が渡辺をパス。結果、後當が優勝を獲得し、2位野口、3位渡辺となった。

 

#28亀山蒼(Tortoise Racing/ヤマハ YZ65)

ヒート2は後當が1周目で先頭に立ち、渡辺と#28亀山蒼(Tortoise Racing/ヤマハ YZ65)が続く。後當は序盤で抜け出すと、スムーズな走りで最後までトップを譲ることなくゴール。2ヒートとも勝利を収め、見事総合優勝を獲得した。2位以降も差が開いた状態ではあったが、レース時間3分が経ったころに渡辺が転倒し亀山との距離が縮まる。さらに、終盤には#283大森翔(SP忠男広島RT/ヤマハ YZ65)がクラス内トップのベストラップタイムを記録するハイペースで3番手の亀山に迫るが、惜しくも届かず。2位には渡辺、3位に亀山が入賞した。

 

チャイルドクロス(CX)

細野が3秒以上速いラップタイムで他を圧倒

チャイルドクロスは排気量50cc以下の国産4ストロークエンジンバイクで競うAクラスと、外国メーカーの2ストロークエンジン車両に加えていくつかの許可された電動モトクロッサーで走るBクラスに分かれている。今大会ではAクラスへのエントリーはなく、Bクラスのみの開催となった。

#35細野楓(GASGAS MC-E5)

中でも群を抜いたスピードと乗りこなしを見せたのが#35細野楓(GASGAS MC-E5)だ。ヒート1とヒート2ともに序盤で他のライダーを抑えてトップに立つと、徐々に差を拡大。ベストラップタイムを見ると、他のライダーを3秒以上上回るタイムを記録しており、レース中盤には単独走行へと持ち込む余裕を見せた。最後までミスのない安定した走りでトップを守り切りフィニッシュ。見事2ヒート優勝を飾った。

 

#15伊良皆真結香(GASGAS MC-E5)

 

#4平木李奈(TSK RACING/Husqvarna EE5)

一方、両ヒートともに2位入賞を果たしたのは#15伊良皆真結香(GASGAS MC-E5)。特にヒート2では好スタートを決め、細野を抑えて一時トップを走行する実力を示した。さらに#4平木李奈(TSK RACING/Husqvarna EE5)はヒート1のスタートでミスをし出遅れてしまうアクシデントもあったが、最後まで走り切る粘り強さを発揮し、総合3位入賞を果たした。

 

エンジョイクラス

全員異なる排気量、各々がレースを楽しむ

#51友枝正千(蜻蛉Racing/ホンダCRF250R)

エンジョイライセンスを持っていれば参戦できる「エンジョイクラス」。ヒート1では#18川路颯葵(チームKWG/KTM 85SX)がスタートで前に飛び出すも、すぐに#51友枝正千(蜻蛉Racing/ホンダCRF250R)がトップに立ちレースをリードする。川路はその後も追いかけるが順位は変わらず、そのまま差が開き単独走行となる。トップ2台のベストラップタイム差は約2秒。最後まで粘り強い走りを見せた川路だが、ラスト1周に入る直前で転倒を喫し、そのまま友枝が逃げ切りトップでゴールを果たした。

 

#44菊川直(TSK RACING/ホンダ CRF125F)

 

#18川路颯葵(チームKWG/KTM 85SX)

ヒート2も川路がスタートで先頭に立つが、友枝がかわしてレースの主導権を握る。川路は1周目で転倒。復帰に時間がかかり3番手からの追い上げを強いられる。友枝、#44菊川直(TSK RACING/ホンダ CRF125F)、川路という順位でレースは進行。それぞれが異なる排気量のマシンを駆り競い合う中、レース終盤にはそれぞれが単独走行となりフィニッシュ。1位友枝、2位菊川、3位川路という順位となった。

 

11月23日には、今季2戦目のMFJモトクロス全国大会(スポーツランドSUGO)が開催される。会場は宮城県にあるスポーツランドSUGOということで、関東や東北、北海道地方のライダーも多く参戦してくるだろう。次はどんなトップ争いが繰り広げられるのか、日本一をかけたバトルに注目だ。