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INFORMATION 今季第3戦は灼熱のハイスピードバトルに!【2025全日本スーパーモト選手権レポート】

2025全日本スーパーモト選手権第3戦レポート
2025年7月6日(日)
HSR九州 サーキットコース(熊本県)

季第3戦は灼熱のハイスピードバトルに!

当初予定されていた開幕戦は中止となったが、結果的には今シーズンも7戦で競われることになった全日本スーパーモト選手権シリーズ。その第3戦は、熊本県のHSR九州で7月6日(日)に開催された。
舞台となったHSR九州は、ホンダの二輪車国内生産を担う熊本製作所に隣接した、モータースポーツおよび安全運転に関するホンダの施設。全日本選手権を開催するモトクロスコースや、テクニカルなショートサーキットも有するが、今大会は昨年までと同じく全長2,350mのサーキットコースが舞台となった。ただし、コース後半の高速セクションは、昨年までと同様に大幅ショートカット。一方でホームストレートの途中、フィニッシュラインのすぐ先には、インフィールドのグリーンゾーンを使ってダートセクションが設けられ、こちらは昨年と比べて距離が伸長された。
朝は雲が多めだったが、日中の天候は晴れで、路面はドライコンディション。最高気温は33度まで上昇し、真夏を感じさせるタフな猛暑の大会となった。

沖勇也と日浦大治朗が激戦を繰り広げ、1勝ずつ獲得

全日本最高峰となるS1プロクラスは、全員が4スト450ccマシンを駆り、予選は10分間のタイムアタック方式、決勝は10周の2レース制で競われた。12台が出走した予選は、最終ラップに続々とベストラップタイムが更新される、白熱の展開となった。この中で、チームと自身の地元大会となったS1プロクラスルーキーの沖勇也(#18)が1分17秒640をマーク。前日の練習走行をキャンセルした日浦大治朗(#2)も、沖から遅れてタイムアタックに入っていたが、最終セクションで他車に詰まってタイムロスし、1分18秒007とわずかに届かなかった。同じく最終ラップには、金子和之(#5)が1分18秒072を記録。これにより、予選トップは沖、同2位は日浦、同3位は金子となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。ランキングトップでディフェンディングチャンピオンの小原堅斗(#1)は、前半に記録した1分19秒572からタイムが縮まらず予選4位。こちらも最終ラップに1分20秒146までタイムを縮めた新沼伸介(#6)が予選5位、大金歩夢(#8)と川上祥史(#11)が1分20秒343の同タイムとなり、先に記録した大金が予選6位となった。

決勝レース1では、ポールポジションの沖を抑えて日浦がホールショット。さらに、スタート直後にレイアウトされたロングダートセクションで小原が順位を上げ、日浦、小原、沖、金子の順でダートセクションを抜けた。ターマックセクションのシケイン進入では、沖が小原をパス。これで日浦と沖がトップ争い、1.5秒ほど離れて小原と金子と新沼が3番手争いを繰り広げながら、オープニングラップをクリアした。ここから、日浦と沖は激しいトップ争いをスタート。その2秒ほど後方で、こちらも僅差の3番手争いが繰り広げられた。

3周目、ダートセクションの出口で沖が日浦をパス。4周目には金子が小原を抜いた。また、3周目以降に5番手の新沼は前の2台からやや離れ、その3秒ほど後方には3周目に大金が浮上した。5周目、沖が日浦を1秒ほど離し、6番手の大金はやや遅れたことで、沖、日浦、金子、小原、新沼が1~2秒間隔で続く縦に長いトップグループが形成。7周目、ダートで沖がミスし、この間に日浦が先行した。ダートの出口付近では新沼が小原を抜いたが、続くターマックのタイトターンで小原がインを突いて両者が接触。これで新沼が転倒し、小原も遅れた。これにより上位勢は、日浦と沖と金子による僅差のトップ集団、前後に5~6秒の間隔を開けて単独4番手の小原、新沼と大金の5番手争いとなった。レース終盤、日浦と沖は3番手の金子を少し離しつつ、再び激しいトップ争いを展開。日浦がギリギリでトップを死守していたが、最終ラップの1コーナーで沖がインに飛び込んで先行した。そして、このまま逃げ切った沖がS1プロクラス参戦1年目で初優勝を獲得。日浦は0.398秒届かず2位となった。金子は3位で今季初表彰台。小原は4位、レース終盤に大金を振り切った新沼が5位、大金が6位となった。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。ポールポジションの沖が順当にホールショットを決め、日浦と小原が続いた。大金や川上がダートセクションで転倒して大きく出遅れる一方、混戦の中で巧みに順位を上げたのはレース1を7位でゴールした広瀬彰信(#14)。小原に次ぐ4番手でダートセクションを抜けると、3秒ほど離されながらも4番手のまま1周目をクリアした。2周目、ダートセクションでは沖と日浦と小原が僅差で続いたが、ここで小原が転倒。7番手まで順位を落とした。

3番手に順位を上げた広瀬の後方には、スタート直後に7番手とやや出遅れていた新沼が接近。3周目、新沼が3番手にポジションを上げたが、この段階でトップ2からは8~9秒も遅れていた。一方、広瀬は順位を下げ、新沼から約3秒遅れの4番手には金子が浮上。これに小原と増田浩志(#13)と広瀬が僅差で続いたが、レースが中盤に入ると増田と広瀬は徐々に遅れていった。一方、沖と日浦のマッチレースとなったトップ争いは、5周目に入るところで日浦が先行。今度沖が僅差で日浦を追うことになった。

レース後半、トップに立った日浦は1~2秒のリードを確保した。するとラスト2周となった9周目、ターマックで沖が転倒。これにより完全に単独走行となった日浦が今季2勝目を挙げ、再スタートした沖が2位となった。レース中盤、一時は約3秒差あったギャップを削って、3番手の新沼に金子が接近。5周目以降、両者の接近戦が続いた。8周目には、これに一度は遅れた小原も近づいて、ラスト2周は三つ巴の3位争い。新沼が順位を守って3位、最終ラップのダートで先行した小原が新沼と0.307秒差の4位、金子が小原と0.119秒差の5位となった。

▶日浦大治朗(レース1・2位/レース2・優勝)
「レース1は走りのリズムが悪く、うまく走ることができませんでした。根本的な問題は、ターマックで速さを発揮できないところにあり、それが響いてダートでも走りを乱すという悪循環でした。そのためレース2は、チームで相談してマシンのセッティングを大きく変更。ぶっつけ本番なので少し不安もありましたが、狙いどおりの効果を得られて、今度はしっかり勝負することができました。沖勇也選手が終盤まで追ってきていたので、プレッシャーは感じましたが、最後まで集中力を切らさず走れました。次戦までにマシンをさらにいい状態にしたいと思っていますが、自分のレースとしてはその前に鈴鹿8時間耐久ロードレースへの参戦が控えています。4年連続で、今年もHonda Dream RT SAKURAI HONDAからの出場。過去3年間は入賞できているので、今年はさらに上を目指します!」

▶沖 勇也(レース1・優勝/レース2・2位)
「レース1では最高峰クラス初優勝を獲得でき、表彰台の上ではまだ信じられない気持ちでいっぱいでした。でも今回の予選トップやレース1の勝利やレース2の2位というのは、完全にチームのおかげ。Dune motoのマシン、わかりやすいアドバイスがあったからこそ、この結果を残せたと思います。レース2は、自分がペースを上げることができず、連勝は逃してしまいましたが、やっぱりマシンは最高の状態でした。福岡県在住なので、HSR九州は地元のコースという扱いになると思いますが、それほど多く走っているわけではないし、マシンの排気量や種類によってけっこうライン取りが違うので、すごくアドバンテージがあったようには感じていません。だからこそ、次戦以降も上のほうでレースができる自信にもなりました。次戦も表彰台圏内を目指して頑張ります!」

↑ 決勝レース1、レース2ともに沖勇也(#18)と接戦を演じ、レース1は競り負けたがレース2で勝利し、総合優勝も獲得した日浦大治朗(#2)

↑ 予選ではトップタイムをマーク。決勝では2レースとも日浦大治朗(#2)とマッチレースを繰り広げ、レース1では勝利をもぎ取った沖勇也(#18)

↑ 決勝レース2では、三つ巴のバトルとなった終盤の3位争いを制し、全日本最高峰クラス参戦4年目でついに初表彰台登壇を果たした新沼伸介(#6)

↑ 決勝レース2の表彰台。写真中央が優勝の日浦大治朗(#2)、同左が2位の沖勇也(#18)、同右が3位の新沼伸介(#6)で、総合成績も同様の結果となった

 

岡田駿介が、鈴木優那を振り切って2レース制覇

13台がエントリーしたS1オープンクラスは、10分間のタイムアタック予選と、8周の決勝を2レース実施した。予選では、序盤に大坪正之(#13)が、ライバルたちより約2秒も速い1分21秒595をマーク。誰もこのタイムを抜けず、このまま大坪が予選トップかと思われた。しかし最終ラップのアタックで、2戦を終えて鈴木優那(#12)と同点のランキング2番手につけている岡田駿介(#10)が1分20秒497を叩き出し、決勝レース1のポールポジションを獲得した。鈴木も、同じく最終ラップにラップタイムを縮めたが、1分23秒351でトップ2に届かず、大坪が予選2位、鈴木が予選3位。ここまでが決勝レース1のフロントロースタートで、セカンドローには菅野景介(#14)、千葉智(#17)、山口誠(#30)が並んだ。

迎えた8周の決勝レース1は、ポールポジションスタートの岡田が順当にホールショット。しかしダートセクションで鈴木が先行した。それでも岡田は、ターマックセクションで再びトップへ。岡田、鈴木、千葉、大坪、山口、梅田祥太朗(#7)のオーダーで1周目をクリアした。2周目、ダートで岡田がミスする間に再び鈴木が先頭に。5番手争いでは梅田が山口を抜いた。3周目、またしてもターマックで岡田が鈴木をパス。この段階で、岡田と鈴木のトップ争い、3秒ほど離れて千葉と大坪の3番手争い、さらに5秒ほどの間隔を開けて梅田と山口の5番手争いと、上位勢は2台ずつの接近戦に分断され、7番手以下はすでに大きく遅れていた。

すると4周目以降、トップの岡田はじわじわとリードを拡大。一方、5番手争いでも山口が梅田から遅れていった。レース後半、3~4秒のアドバンテージを築いた岡田はトップを快走。最後まで単独走行を続け、岡田が今季3勝目を挙げた。鈴木は2位でゴール。表彰台登壇を賭けた千葉と大坪の接近戦はラストラップまで続いたが、最後にダートセクションで大坪がミス。この間に少しリードを拡大した千葉が3位、大坪が4位となった。梅田は、レース中盤に山口を完全に引き離して単独走行を続けて5位。山口も単独で周回を重ねて6位でチェッカーを受けた。

決勝レース1のゴール順でグリッドに並んだレース2は、スタート直後のダートに進入するところで鈴木が岡田を抜いてトップに。梅田がふたつポジションを上げて3番手、さらに山口も同じくふたつ順位を上げて4番手となったが、山口はダートで転倒して最後尾となった。ターマックで岡田がトップを奪い返し、これに鈴木、梅田、菅野、千葉、大坪、大野雅樹(#11)が続いて1周目をクリア。2周目、トップの岡田は早くも3秒ほどのリードを奪い、2番手の鈴木には梅田が迫った。さらに2秒ほどの間隔を開けて、菅野と千葉と大坪が4番手争い。大野はこの3台から遅れはじめた。3周目以降も、岡田はじわじわとリードを拡大。一方、鈴木と梅田の2番手争いも、距離が開いた。

レースが後半に入ると、トップの岡田、2番手の鈴木はそれぞれ単独走行に。ペースが落ちた梅田の背後には、後続を引き離しながら菅野が迫った。千葉と大坪は、レース1に続いて接近戦を繰り広げ、これが5番手争い。最終ラップとなった8周目には、梅田と菅野、そこから5秒ほど遅れて千葉と大坪が、それぞれテール・トゥ・ノーズで突入した。そして、梅田と接触した菅野が遅れ、これで梅田が単独3番手。大坪もミスして遅れ、千葉と大坪の間に菅野が割って入った。そんな後方のコンセントは裏腹に、トップ2は最後まで単独走行。岡田が再び勝利を収め、鈴木が2位となった。梅田が3位で、今季初表彰台に登壇。千葉が4位、菅野が5位、大坪が6位となった。

↑ 2レースともに鈴木優那(#12)を引き離して勝利を収め、ポイントランキングでも単独トップに浮上した岡田駿介(#10)

↑ レディースモトクロス出身の鈴木優那(#12)は、シーズンの中でもっとも苦手とする高速コースで、2レースとも2位と成績をまとめた

↑ 2レースとも大坪正之(#13)と接戦を演じることになった千葉智(#17)は、いずれのレースでも競り勝ち、レース1は3位、レース2は4位に

↑ 決勝レース1の表彰台。写真中央が優勝した岡田駿介(#10)、同左が2位の鈴木優那(#12)、同右が3位の千葉智(#17)で、総合成績もこれと同じ結果に

 

レース1は伊藤諒、レース2は新井誠が優勝

10台により競われたS2クラスも、予選は10分間のタイムアタック方式で、決勝は8周の2レース制。その予選は、トップ3が最終的に0.697秒差に収まる激戦となった。この中で、5周目に1分21秒897を叩き出してトップに立ったのは、ポイントリーダーの新井誠(#20)。翌周、ランキング2番手につける伊藤諒(#19)が1分22秒151をマークするも、新井にはわずかに届かなかった。最終ラップのアタックでは、昨年と一昨年もHSR九州大会のみ全日本S2にスポット参戦した本門凌(#11)が、1分22秒594までタイムを縮め、これで予選3位を確定。新井と伊藤と本門が決勝レース1のフロントローに並び、寺平悠成(#14)が予選4位、真木來人(#21)が予選5位、高津戸義彦(#7)が予選6位となった。

決勝レース1は、伊藤がホールショット。ポールポジションスタートの新井が続くもダートで一度ストップし、これで2番手に浮上したのは3列目から抜群のスタートを決めた小野一馬(#10)だった。1周目、トップの伊藤は2秒ほどのリードを奪い、小野は2番手をキープ。新井は小野から3秒ほど遅れ、その背後に寺平が迫るも、寺平は2周目にミスして7番手まで後退した。これにより3番手の新井は、一度は前後に4秒ほどの間隔がある単独走行となったが、3周目以降に4番手の真木以下を少し離しつつ、トップ2へと近づいた。また2番手の小野も、トップを走る伊藤との距離を詰めていった。

そして5周目には、伊藤と小野と新井が完全に接近。同じ周のダートセクションでは、4番手だった真木が転倒により後退し、これでトップ集団と4番手以下の間隔は大きく開いた。ラスト2周となった7周目、依然として三つ巴のトップ争いが続いていたが、ダートセクションで新井が転倒。これで新井は、前の2台から3秒ほど遅れた。ラストラップには小野が伊藤に迫ったが、伊藤が順位をキープ。これにより伊藤が優勝、小野が0.624秒差の2位、新井が3位となった。レース中盤から続いていた高津戸と寺平の接近戦は、最終ラップのダートセクションで寺平がミスして遅れ、高津戸が4位、寺平が5位となった。

決勝レース2は、レース1のゴール順でグリッドに並んだ。スタート直後のダートセクションは大混乱し、先頭争いを演じた伊藤と小野が接触し、ここは両者ともに転倒を免れたが、ダートセクション後半で伊藤がクラッシュして最後尾となった。そして1周目は新井がトップで、これを僅差で小野が追い、3秒ほど遅れて高津戸、真木、本門、寺平、納冨桂(#25)が続いた。レース前半、トップの新井は2秒ほどのリードをキープして周回。2番手の小野と3番手の高津戸は、3~4秒程度のギャップを維持した。一方、高津戸から5秒ほど遅れた4番手争いは、寺平を先頭に追い上げてきた伊藤まで5台が連なった。

レース中盤、その4番手争いでは伊藤がポジションを上げ、4周目には6番手、5周目には5番手に浮上。バトルの間に数秒のリードを奪った寺平との距離を一気に詰め、6周目には接近戦に持ち込んだ。するとここで寺平も粘りをみせ、7周目は4番手をキープ。しかしラストラップとなった8周目に、伊藤が攻略に成功した。トップの新井は、レースが後半に入るとリードを拡大。3~4秒のアドバンテージを確保した。そして、このまま逃げ切った新井が今季4勝目。高津戸を引き離した小野が2位、高津戸が3位、伊藤が4位、寺平が5位となった。総合成績では新井がトップ、小野が2位、伊藤が3位となっている。

↑ レース1では終盤の転倒で3位に甘んじたが、レース2は1周目からトップを守り切って勝利を収めた、ランキングトップを守る新井誠(#20)

↑ タイムアタック予選こそ7位に沈んだが、決勝では力強い走りを披露し、レース1とレース2ともに2位を獲得した小野一馬(#10)

 

↑ レース1では、追いすがるライバルたちに競り勝って今季初優勝を挙げた伊藤諒(#19)。レース2は1周目の転倒で出遅れて4位

↑ 決勝レース2の表彰式。写真中央が優勝の新井誠(#20)、同左が2位の小野一馬(#10)、同右が3位の高津戸義彦(#7)。新井はランキングトップをキープ

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