javascriptが無効です。
サイトが正常に動作しない可能性があります。

INFORMATION 激しい雨により初コースでの第5戦はやや荒れた展開に【2024全日本スーパーモト選手権レポート】


2024全日本スーパーモト選手権第5戦レポート
2024年9月22日(日)
神戸スポーツサーキット(兵庫県)

激しい雨により初コースでの第5戦はやや荒れた展開に

今季は全7戦で競われる全日本スーパーモト選手権シリーズは、約2ヵ月間のサマーインターバルが終了。第5戦が、兵庫県西区の神戸スポーツサーキットで9月22日(日)に開催された。今回が全日本スーパーモト初開催となるこのコースは、大阪湾から山を駆け上がった標高約200mの林間にあるカートコース。2013年に開業し、2023年春に延長や拡張などの大規模改修を受け、よりハイスピードなレイアウトに生まれ変わった。

今大会では、全長1045mで幅員8~10mというこのコースをベースに、2コーナーの手前から3コーナーにかけての区間に長いダートセクションを追加した、特設コースを用意。しかし9~13時ごろに降雨の予報があり、ターマックセクションに与える影響が大きくなることが予想されたため、朝の段階でフルターマックによるレース進行が決断された。朝の段階では曇りで、タイムアタック予選はドライでスタートしたが、最初のS2クラスを終え、次のS1プロクラスがコースインしてからわずか数分で、断続的な激しい雨に。これにより、完全なウェットコンディションとなった。その後も断続的に激しい雨。とくに昼休みには、猛烈な勢いで叩きつけるような雨が降った。ただし14時ごろに雨は止み、最後はハーフウェットに回復した。

 

日浦大治朗が、予選は雨に泣くも決勝は2レース優勝!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、前戦で小原堅斗(#2)が今季自身初の2レース制覇を達成。一方、ディフェンディングチャンピオンの日浦大治朗(#1)が5位と3位に終わったことから、逆転により小原が19点リードのランキングトップに立って、今大会を迎えることになった。参加した15名全員が4スト450ccマシンを駆り、予選は15分間のタイムアタック方式、決勝は12周の2レースが実施された。

その予選は、コースインしてから3周ほどで、いきなり強い雨が降り始め、路面はドライから一気にウェットコンディションに。計測開始から1周目または2周目のタイムで、ほぼ順位が決まることになった。これにより瀧川貴士(#22)が予選トップ、長谷川修大(#4)が同2位、ランキング5番手の金子和之(#5)が同3位、S1プロクラスルーキーながらランキング4番手につける佐藤瑞城(#20)が同4位で、決勝レース1のフロントローに。ランキング3番手の川島颯太(#3)は予選5位、やや遅めにコースインした小原は予選7位、日浦はドライでのアタックができず、ピットインしてレインタイヤに交換して時間いっぱいまで周回を続けるも、予選14位となった。

12周で競われた決勝レース1では、2列目スタートの川島がホールショット。これに瀧川、金子、長谷川が続いた。トップ4は、そのままの順位で1周目をクリア。5番手には予選8位だった新沼伸介(#10)、6番手には佐藤、7番手には小原のオーダーとなり、日浦は早くも8番手まで順位を上げた。2周目には瀧川が6番手まで後退し、金子が2番手浮上。しかし3周目には金子が順位を下げ、これで新沼が2番手、長谷川が3番手、金子が4番手となり、日浦は5番手まで浮上してきた。4周目、トップを走行していた川島が4番手に後退。これで新沼が先頭に立ち、2秒ほど遅れて長谷川、日浦、川島、金子、小原による僅差の2番手争いがスタートした。混戦の中で、日浦はチームメイトの長谷川をパスして2番手浮上。6周目には、長谷川とともにトップの新沼に迫った。

一方、4番手の川島はトップ3についていくことができず、6周目の段階では3番手の長谷川と4番手の川島は約6秒差。川島の背後には金子、佐藤、小原が迫った。7周目、三つ巴のトップ争いで日浦が新沼をパス。しかし抜かれた新沼も日浦についていった。またこの周、4番手争いでは金子が川島を抜いた。8周目も、日浦と新沼と長谷川のトップ争い、金子と川島と小原と佐藤による4番手争いが継続。しかし9周目に新沼が転倒し、背後にいた長谷川もやや遅れ、これで日浦はリードを拡大した。新沼は5番手でレースに復帰。長谷川に金子が追いつき、ラスト3周は6台による激しい2番手争いとなった。この中で、集団の最後尾まで順位を落としていた川島が11周目に転倒。さらに、長谷川と小原が競り、ラストラップには長谷川が転倒した。そしてレースは日浦が優勝。金子が2位、小原が3位、新沼が4位、佐藤が5位となった。やや離され、6位には大金歩夢(#19)が入賞した。

雨が止みハーフウェットコンディションで実施された今大会最後のレース2は、日浦がホールショット。これに金子と新沼と小原が続くと、まずは新沼が金子を抜き、1周目は日浦、新沼、金子、佐藤、レース1で7位だった川上祥史(#15)、川島、長谷川の順で続いた。2周目、川島は転倒により後退。小原は大金に次ぐ7番手まで後退した。3周目の段階で、日浦は約4秒のリード。2番手を走る新沼には、先行した佐藤と金子が肉迫した。4周目には、この三つ巴の2番手争いに長谷川が接近。さらに、長谷川の後方には大金、小原、川上も迫り、5周目には7台が連なることになった。

6周目以降、トップの日浦がじりじりとリードを拡大する一方で、新沼を先頭とする7台の2番手争いはヒートアップ。この中で、金子が7周目に佐藤、8周目に新沼をパスして、集団の先頭に立った。さらに佐藤も新沼を抜き、これで金子、佐藤、新沼、長谷川、大金、小原、川上の順。9周目には長谷川が新沼を抜いた。そして10周目、今度は佐藤が金子を抜き返して先頭に。ラスト2周となった11周目も、依然として7台の距離は近く、その中でも佐藤と金子と長谷川の2番手争い、大金と小原と川上の6番手争いがとくに僅差となった。しかしここからは順位変動はなく、レースはまず日浦が独走でトップチェッカーを受け、佐藤が2位、金子が3位、長谷川が4位、新沼が5位、大金が6位となった。小原が7位に終わり、これによりポイントランキングでは日浦が6点リードのトップに返り咲いた。

■日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・優勝)
「予選は、降り始めるとしてもあそこまで早くに、それも一気に強い雨が襲ってくるなんて思っておらず、いつもと同じ感じでゆったりスタートしたら、ドライで1周もアタックできませんでした。タイムがまるで出ていないはずなので、慌ててレインタイヤに交換してもらって再アタック。少しでも上の順位を……と考えましたが、さすがにあの路面では無理でした。でも、結果的にはこれが決勝に向けてウェットの練習になり、そこはラッキーでした。レース1も順調に追い上げられたし、レース2もしっかり自分のペースで走れたので満足しています。ロードレースのほうは、7月の鈴鹿8耐で6位になりました。今年はトップチームがに大きなトラブルがなく、荒れた展開にもならなかったので、表彰台は遠い感じでしたが、ライダーが2名のサテライトチームとしては十分に好成績。天気が良くて路面温度が上がり、タイヤが機能せず滑りやすい状況でしたが、スーパーモトでのトレーニングがかなり活かされたと感じています」

■金子和之(レース1・2位/レース2・3位)
「タイムアタック予選は、事前に雨雲レーダーを確認していて、いつ雨が降ってもおかしくない状態だと分かっていたので、1周目からアタックするつもりでいました。このコースは、前日練習で走ったのが初。レインは一度もなかったので、地元の人に雨の日の特徴を聞き、サスペンションのセットもレイン用に変更して臨みました。このコースを走るのが今週末初めてというライダーも多く、そうでなくてもレインを走ったことがある人は少ないはずなので、若いライダーを中心に、レースは荒れるだろうと予想。そのため、自分の気持ちをコントロールして冷静に走ることを心がけました。レース2は、大集団での2番手争い。その先頭に立った段階では、このレースも2位は狙えると思っていたのですが、最後に佐藤瑞城選手の先行を許しました。若い力に負けましたね。とはいえ、総合成績では2位。自己最高位です。みんなのサポートでレースができているので、経験を結果に結びつけ、みんなが喜んでくれたことがうれしいです」

日浦大治朗(#1)は、14番グリッドから臨んだレース1で、7周目にトップ浮上を果たして優勝。レース2も安定感ある走りでトップチェッカーを受け、強さを見せつけた

 

レース1では、序盤から混戦の中で強さを発揮し、チャンスを見逃さず逆転して2位となった金子和之(#5)。レース2はさらに大混戦でのバトルとなり、3位を獲得した

 

最高峰クラスルーキーの佐藤瑞城(#20)は、完全ウェット状態のレース1はやや苦戦したが、ハーフウェットのレース2では後半にかけて才能を発揮して2位を獲得

 

表彰式は2レース総合成績で実施。写真中央が2レース制覇の日浦大治朗(#1)、同左が総合2位の金子和之(#5)、同右が総合3位の佐藤瑞城(#20)

 

佐藤祐季が予選と決勝2レースを完全制覇!

19台が出走したS1オープンクラスは、15分間のタイムアタック予選と、10周の決勝2レースで競われた。その予選では、第3戦からS2クラスとのダブルエントリーを継続している佐藤祐季(#46)が、52秒412のトップタイムをマーク。ランキングトップの田淵智之(#17)が予選2位となったが、タイムは54秒412で、佐藤が約1.7秒も速かった。予選3位にはランキング3番手の高部充陽(#7)、予選4位には全日本デビューレースとなった今季第2戦で予選&決勝2レースの完全制覇を達成した沖勇也(#44)が入り、ここまでが54秒台かつ決勝レース1のフロントロースタート。また、予選5位は梅田祥太朗(#6)、6位は水野彰久(#8)、7位は錦織慎一郎(#19)で、決勝レース1のセカンドローに並んだ。ランキング2番手につける勝谷仁(#40)は、予選12位からの巻き返しを狙った。

迎えた10周の決勝レース1は、佐藤のホールショットで幕を開けた。これに続いたのは、予選4位の沖。さらに高部も田淵を先行し、この後ろに梅田と水野と予選8位の河野頌二郎(#38)が続いた。2周目、佐藤と沖は僅差のトップ争いを展開。高部と田淵と梅田も接近戦となった。ところが3周目、沖が転倒。エンジン再始動に時間を要した沖は、完全な最後尾となった。このアクシデントにより、トップを走る佐藤のリードは約4秒に。この周、河野は前から6秒ほど離され、これで2番手争いは高部、田淵、梅田、水野の4台となった。4周目にはこのバトルが激しさを増し、翌周には田淵が高部をパス。翌周には梅田も高部の攻略に成功し、その直後に高部は転倒して9番手まで順位を下げた。

この段階で、トップの佐藤は約5秒のリード。また、高部の転倒による影響で、水野は梅田から4秒ほど遅れた。6周目、トップを走る佐藤のリードは約3秒に縮小。しかし翌周以降は、ギャップがほぼ保たれた。一方、田淵と梅田による2番手争いは、田淵を梅田が1秒以内の僅差でマークし続ける展開。一方、水野は2番手争いから完全に遅れた。梅田は田淵を懸命に追ったが、残り2周ほどで田淵がリードをやや拡大。レースは10周でチェッカーとなり、一度もトップの座を明け渡すことなく佐藤が勝利し、最後まで逃げ切った田淵が2位、梅田が3位となった。4位には水野、5位には河野、6位にはレース序盤から河野を数秒差で追い続けた錦織が入賞した。

決勝レース1のゴール順でグリッドに並んでスタートしたレース2は、同じく10周のレース。ホールショットの佐藤に田淵と梅田が続いてスタートすると、レース1は7位まで追い上げてゴールしていた沖が、早くも4番手までポジションアップ。オープニングラップで梅田に迫った。沖の後方は河野、水野、高部、錦織のオーダー。2周目、トップの佐藤は約2秒のリードを奪った。3周目には佐藤のリードが約3秒まで拡大し、田淵と梅田と沖が再び距離を詰めて、僅差の2番手争い。そこから4秒ほど遅れた5番手争いでは、錦織がポジションを落とし水野、高部、錦織の順による接戦となった。

4周目も、上位勢の位置関係はほぼ変わらず。しかし5周目になると、2番手争いでは再び沖が梅田に肉迫し、ここから5秒ほど遅れた5番手争いは、やや縦に長くなりはじめた。6周目には、トップを快走する佐藤と2番手を走る田淵とのギャップが約5秒にやや拡大。翌周、三つ巴の2番手争いではついに沖が梅田の攻略に成功すると、田淵に迫った。8周目、激しい2番手争いの中で田淵は転倒して、高部に次ぐ6番手まで後退。これで前が開けた沖は、梅田を引き離しながらトップの佐藤を追った。しかし最後まで順位は変わらず。レースは10周でチェッカーとなり、佐藤が優勝、沖が2位、梅田が3位となった。田淵の後退により水野が4位。終盤は高部と田淵が僅差の5番手争いを続けたが、高部が順位を守って5位、田淵が6位となった。

第3戦からS2クラスに加えてこのS1オープンクラスにも参戦している佐藤祐季(#46)が、疲れを感じさせない走りで2レースともホールショットから逃げ切った

 

前日は北海道のエンデューロレースに参戦していた梅田祥太朗(#6)が、2レースともライバルと僅差のバトルを繰り広げて3位でまとめ、総合成績では2位を獲得

 

レース1で2位の田淵智之(#17)は、レース2で転倒。それでも6位に入賞してポイントの取りこぼしを最小限に抑え、総合成績3位でランキングトップを守った

 

このクラスも、表彰式は2レース総合成績で実施。写真中央が優勝した佐藤祐季(#46)、同左が2位の梅田祥太朗(#6)、同右が3位の田淵智之(#17)

 

チャンピオン争いの2名が優勝と2位を分け合う

前戦よりもエントリー数が増え、8台で競われたS2クラスも、予選は15分間のタイムアタック方式で、決勝は10周の2レース制。その予選はドライコンディションで実施され、4点差のランキング2番手につける佐藤祐季(#23)が48秒821のトップタイムをマーク。ランキングトップの藤田友貴(#6)が49秒339で2番手となった。予選3番手には土橋亮一(#8)が入ったが、予選時間後半にエンジントラブルでストップ。予選4番手には高津戸義彦(#12)が入り、ここまでが決勝レース1のフロントロースタートとなった。ただし決勝は、予選とは完全にコンディションが異なるウェットレース。展開がまるで読めない状況となった。

土橋は、予選でのトラブルにより決勝出走をキャンセル。決勝レース1は、佐藤祐季がホールショットを奪い、これを藤田が追撃した。予選5位の小野一馬(#24)が、高津戸を抜いて3番手。さらに鈴木優那(#26)と佐藤省吾(#5)が続いた。1周目、トップ3は4番手以下を3秒ほど離してラップ。2周目、4番手以下は6秒ほど遅れ、高津戸は後続に対しても5秒ほどのリードを奪ったため、早くも単独走行となった。一方、トップ集団では佐藤祐季が2秒ほどリード。ところが翌周、佐藤祐季が転倒し、これで藤田がトップ、小野が2番手となった。

4周目以降、藤田と小野は接近戦を展開。3番手でレースに戻った佐藤祐季は、この2台から5秒ほど遅れていたが、翌周には4秒ほどに縮めた。またこの周、後方の5番手争いでは、佐藤省吾が鈴木を先行した。レースが後半に入った7周目、それまで僅差で藤田を追い続けていた小野がややミスし、これで藤田が1秒ほどリード。また、この2台を約4秒差で追っていた佐藤祐季は、前との距離を少し詰めた。8周目、断続的に降る雨は強くなり、このタイミングで再び小野が藤田に接近。佐藤祐季も、藤田とのギャップを約2秒にまで縮めた。そして、藤田が小野に肉迫して、レースは最終ラップの10周目に突入。しかしここで小野が転倒し、藤田が優勝、佐藤祐季が2位となった。小野は4番手でレースに復帰。先行した高津戸にコース終盤で迫ったが、逆転には至らず高津戸が3位、小野が4位となった。

レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、2番グリッドから佐藤祐季がホールショット。これに藤田と小野が続くと、小野が藤田をパスし、佐藤祐季と小野と藤田が接近戦を繰り広げながら2周目に突入した。ところがここで、激しいバトルにより小野がストレートで転倒。これによりレースは赤旗仕切り直しとなった。再レースは、8周の設定。小野は出走できず、サイティングラップでは藤田が転倒したが、こちらはグリッドに並ぶことができた。2度目のスタートでも、ホールショットを奪ったのは佐藤祐季。これに藤田と高津戸が続いた。2周目、佐藤祐季は約2秒のリードを獲得。2番手の藤田を約1秒差で高津戸が追い、ここから4秒ほど遅れた鈴木には佐藤省吾が僅差で迫った。

3周目、藤田と高津戸の2番手争いは、やや間隔が拡大。4周目にはトップを走る佐藤祐季のリードが約3秒に広がり、逆に藤田と高津戸の2番手争いはやや詰まった。ここから大きく遅れた鈴木と佐藤省吾は、なおも接近戦を継続。レースが後半に入ると、藤田と高津戸の距離がさらに縮まり、こちらも僅差の争いとなった。そして7周目には、藤田が高津戸をやや離しながらトップの佐藤祐季まで約2秒差に接近。しかし翌周にレースはチェッカーとなり、佐藤祐季が優勝、藤田が2位、高津戸が3位、最後まで佐藤省吾を抑えた鈴木が4位となった。

レース1では、転倒者続出のウェットレースを制して優勝。レース2ではスタート前の転倒があったが、決勝は2位を獲得した藤田友貴(#6)。ランキングトップを守った

 

レース1は序盤の転倒に泣いて2位に終わるも、レース2は完璧な走りで勝利を収め、藤田友貴(#6)と同点ながら総合優勝を果たした佐藤祐季(#23)

 

レース1は上位勢に離されて棚ボタの3位だったが、レース2では最後までトップ2に喰らいつく走りで3位となった高津戸義彦(#12)

 

写真中央が、2位と同点ながらレース2優先のルールにより総合優勝した佐藤祐季(#23)、同左が2位の藤田友貴(#6)、同右が3位となった高津戸義彦(#12)

 

▼正式リザルトはこちらにアップいたします。