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INFORMATION 小原堅斗が今季初優勝。日浦大治朗にアクシデント【2024全日本スーパーモト選手権レポート】

2024全日本スーパーモト選手権第2戦レポート
2024年5月19日(日)
HSR九州 サーキットコース

小原堅斗が今季初優勝。日浦大治朗にアクシデント

今季の全日本スーパーモト選手権シリーズは、昨年よりも1戦増えて全7戦のスケジュール。その第2戦が、熊本県のHSR九州で5月19日(日)に開催された。ホンダの二輪車国内生産を担う熊本製作所に隣接し、安全運転およびモータースポーツに関するホンダの複合施設として運営されるHSR九州。全日本選手権を開催するモトクロスコースや、テクニカルなショートサーキットも有するが、今大会は昨年までと同じく全長2350mのサーキットコースが舞台となった。ただし、コース後半の高速セクションは大幅にショートカット。ホームストレートには、連続ジャンプとふたつのタイトターンなどで構成された100mほどのダートセクションがプラスされた、スーパーモト特別仕様だ。日中の天候は晴れで、路面はドライコンディション。朝は曇りで涼しかったが、最高気温は28度まで上昇した。

なお、昨年度のS1プロクラスではシリーズランキング8位を獲得し、長年にわたり全日本スーパーモト選手権を盛り上げてきた中島俊介選手が、今季開幕戦前に登山中の事故で亡くなられ、今大会のブリーフィングでは選手および関係者全員で黙祷をささげた。

小原堅斗がレース2と総合で今季初優勝

全日本最高峰となるS1プロクラスは、全員が4スト450ccマシンを駆り、予選が15分間のタイムアタック方式、決勝は10周の2レース制で競われた。このクラスで活躍する長谷川修大(#4)は、同日開催のロードレースに参戦するため今大会を欠場。11台が出走した予選は、昨年度王者の日浦大治朗(#1)が1分14秒316でトップとなった。日浦と0.464秒差の1分14秒780で予選2位となったのは川島颯太(#3)。さらに、S1プロクラスルーキーの佐藤瑞城(#20)が1分15秒035で予選3位となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。今季はマシンをカワサキにスイッチした小原堅斗(#2)は、佐藤にわずか0.002秒及ばず予選4位。同じく1分15秒台をマークした金子和之(#5)と川上祥史(#15)とともに、決勝レース1のセカンドロースタートとなった。

決勝レース1では、ほぼ180度ターンでダートに進入する1コーナーに対して、イン側のポールポジションから日浦がややワイドにマシンを振ったのに対して、その背後となる2列目イン側スタートの小原は真っすぐインに突っ込み、これで瞬間的に小原がトップに。しかし直後の切り返しに向けて日浦が応戦してインを取り、まずは日浦、小原、川島、佐藤のオーダーとなった。予選5位の金子はスタートで遅れ、予選6位の川上はダートセクションで転倒してピットイン後にリタイア。これで5番手には新沼伸介(#10)が上がり、森田直樹(#27)が追った。2周目、日浦はリードを約2秒に拡大。一方、小原と川島と佐藤は接近戦となり、ここから約3秒遅れて新沼、その背後には金子が順位を上げてきた。

3周目には、金子が新沼を抜いて4番手に浮上。4周目以降、金子は僅差の6番手争いを繰り広げる新沼と森田を引き離したが、4番手の佐藤からは遅れ、単独走行となっていった。トップの日浦は、3周目にリードを約3秒に拡大。一方、混戦の2番手争いは、4周目にそれぞれの間隔が1秒ほどに開いたが、依然として僅差だった。しかしレースが後半に入ると、川島が1秒弱のギャップで小原を追い続けたのに対して、佐藤は前の2台から少しずつ遅れ始めた。また、トップを快走する日浦は、リードを約5秒に拡大した。そしてレースは10周でチェッカー。危なげなく逃げ切った日浦が優勝、僅差で川島を抑えた小原が2位、しぶとく喰らいついたが逆転のチャンスを得られなかった川島が3位となった。最後は単独走行となった佐藤は4位、金子は5位でゴール。レース中盤に森田を振り切った新沼が6位となった。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。川島がホールショットを奪い、小原と日浦が続くと、ターマックで日浦が小原を抜いた。ところがその直後に日浦がスリップダウン。後続に脚を轢かれた日浦は動けず、赤旗提示で再レースとなった。日浦不在で、10周の設定を変更することなく実施されたレースは、好スタートの小原に川島が激しく迫ったが、小原がポジションをキープ。5番手スタートの金子がダートセクションでエンストして大きく遅れた最後尾となり、1周目は小原、川島、佐藤、最後尾スタートからジャンプアップした川上、レース1は7位だった小鹿翼(#25)のトップ5となった。レース前半、小原と川島と佐藤は、4番手以下をじわじわと離しながらトップグループを形成。3台は0.5~1秒程度の間隔で続いた。

レースが後半の6周目に入った段階で、4番手の川上はトップグループから8~9秒ほど離された状態。川上の後方では、4秒ほどのギャップで小鹿と森田、さらに驚異的な追い上げで金子が続いた。レース終盤にかけ、依然として川島が1秒弱の差でトップの小原を追う一方で、佐藤は川島にやや離され、9周目の段階でその差は3~4秒。8周目にギャップをやや拡大された川島は、9周目に再び小原の1秒後方に接近した。迎えた最終ラップの10周目、ダートセクションエンドのタイトターンで川島がインに飛び込んだが、ここは小原が冷静に処理。順位を守った小原が逃げ切って今季初優勝を挙げ、川島が2位、佐藤は3位で全日本最高峰クラスの初表彰台に上がった。最終ラップでは、金子が川上を逆転。4位に金子、5位に川上、6位に小鹿が入った。

小原堅斗(レース1・2位/レース2・優勝)
「レース1は、自分なりにうまく走れていたと思いますが、後ろから迫る川島颯太選手の調子が良さそうで、ケアしながらの周回に。やはり日浦大治朗選手は速く、じわじわと離されてしまう感じだったので、無理せず着実に2位を獲ろうと考えました。レース2は、赤旗再スタートになって日浦選手がいない状態だったので、独走で勝利したいと思いましたが、実際には再び川島選手と僅差のバトルをすることに。相手もモトクロス出身のライダーなので、仕掛けてくるならダートだと考えていて、それだけは注意していました。今季からカワサキにスイッチし、誰もデータがない状況でイチからマシンを作り、日浦選手がいない状態とはいえ第2戦でレースと総合で優勝できたので、うれしく思っています。とはいえマシン的にはまだまだ煮詰めないといけない部分があるので、次戦に向けてさらに進化させていきたいです」

川島颯太(レース1・3位/レース2・2位)
「戦略としてはまずスタートで日浦大治朗選手を先行し、ターマックで抜かされてもダートで抜き返す……という感じだったのですが、レース1はそれができず、小原堅斗選手を追いかける展開。さらに最後は射程圏内から離れてしまい、悔しいレースでした。レース2は作戦どおりで、スタートでトップに立ったのですが、赤旗で仕切り直しに。それならもう一度同じことをすればいいと思って臨んだのですが、うまくいきませんでした。これで再び小原選手を追う展開。自分も小原選手も得意とするのがダートなので、パッシングポイントがなく、そのまま終わってしまいました。亡くなられた中島俊介選手には生前、とても仲良くしていただいていました。かなりショックでしたが、今大会は中島選手のステッカーをマシンに貼って臨みました。中島選手のおかげでいいレースができたと思います。次は勝利をささげたいです」

圧巻の走りでレース1を勝利した日浦大治朗(#1)だったが、レース2は1周目に転倒して脚を負傷。病院に向かうことになった

 

レース1は2位、レース2は優勝を賭けて川島颯太(#3)と僅差の争いを繰り広げた小原堅斗(#2)が、どちらも競り勝って総合優勝

 

レース2はトップ走行中の赤旗仕切り直しに泣いたが、優勝した小原堅斗(#2)に最後まで迫って2位を獲得した川島颯太(#3)

 

レース1の表彰台。写真中央が優勝の日浦大治朗(#2)、同左が2位の小原堅斗(#2)、同右が3位の川島颯太(#3)。川島は中島俊介選手の写真とともに登壇

 

 

全日本デビューレースの沖勇也が2レース制覇

18台がエントリー、15台が出走したS1オープンクラスは、15分間のタイムアタック予選と、8周の決勝2レースが設定された。今大会では全員が4スト450ccマシンを駆る。タイムアタック予選では、沖勇也(#44)が1分17秒231のトップタイムをマーク。山下知晃(#26)が1.065秒差の1分18秒296で予選2位、緒方大輔(#43)が1分18秒720で予選3位となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。またセカンドロースタートとなる予選4~6位には、勝谷仁(#40)、大坪正之(#18)、田淵智之(#17)が入った。

迎えた決勝レース1は、ポールポジションスタートの沖が順当にホールショット。山下、緒方までは予選順位どおりで、4番手には予選7位だった高部充陽(#7)が上がり、大坪、田淵、勝谷が続いた。2周目、トップの沖は早くもリードを約3秒に拡大。山下と緒方は接近戦を繰り広げた。3周目には、沖のリードは5秒以上となり、すでに独走態勢。一方、6番手を走る田淵がやや遅れたことで、2番手争いは山下と緒方と高部と大坪に絞られた。レースが後半に入った5周目には、再びこの4台が距離を詰めて接戦に。しかし翌周、集団の先頭を走る山下は、1秒ほど後続を離した。

一方、緒方と高部と大坪は依然として接近戦。三つ巴の争いは、レース終盤まで続いた。迎えた最終ラップには、2番手の山下がさらにリードを拡大することに成功。3番手を走る緒方には高部が肉迫した。そしてレースは、8周の間に後続を約16秒も離した沖が優勝。全日本デビューレースを勝利で飾った。山下が2位。緒方は3番手でチェッカーを受けたが、ジャンプスタートによりゴールタイムに15秒が加算されて6位となり、これで順位が繰り上がった高部が3位、大坪が4位、レース終盤に後続を離した田淵が5位となった。

決勝レース1のゴール順でグリッドに並んでスタートしたレース2は、沖が再びホールショット。先行した高部をすぐに山下が再逆転し、1周目は沖、山下、高部、緒方、勝谷、田淵のオーダーとなった。2周目、トップの沖は早くもリードを約5秒に拡大。一方、山下と高部、緒方と勝谷は、それぞれ接近戦を繰り広げた。3周目にはこの4台が近づき、さらに田淵と大坪も接近し、縦に長い2番手争いの集団に。4周目、勝谷が緒方をパスして4番手に浮上した。5周目には再び山下と高部の距離が詰まり、勝谷は2秒ほど遅れた状態。さらに2秒ほどのギャップで緒方、3秒ほど離れて田淵と大坪が続いた。

6周目の段階で、トップの沖は約10秒のアドバンテージを築いており、完全に独走状態。2番手の山下は、迫る高部を1.5秒ほど離した。ところが翌周、ダートセクションで山下がエンスト。再スタートに時間を要した山下は、トップグループから完全に遅れた。これで2番手に浮上した高部の背後には、約1秒差で勝谷が接近。緒方はこの2台から3秒近く遅れ、さらに4~5秒離れて田淵と大坪が接戦を繰り広げた。そして最終ラップに突入したが、最後まで順位は変わらず。沖が優勝、高部が2位、勝谷が3位、緒方が4位、田淵が5位、大坪が6位となった。

 

レース1、レース2ともに完璧な走りを披露し、全日本デビューレースでいきなり予選と決勝の完全制覇を達成した沖勇也(#44)

 

レース1で2位を獲得。レース2も終盤まで2番手を走行していたが、エンスト後のキックスタートに時間を要して11位に終わった山下知晃(#26)

 

レース1は繰り上げにより3位表彰台に上がった高部充陽(#7)は、レース2でも運を味方につけ、他車のエンスト後退で2位を獲得

 

レース2の表彰式。写真中央が2レース制覇の沖勇也(#44)、同左がレース1からさらにひとつ順位を上げた高部充陽(#7)、同右が3位の勝谷仁(#40)

 

全日本ルーキーの佐藤祐季が2レース制覇!

開幕戦よりエントリー台数が増え、10台による争いとなったS2クラスも、予選は15分間のタイムアタック方式で、決勝は8周の2レース制。高津戸義彦(#12)が1分19秒596でトップタイムをマークし、藤田友貴(#6)が0.203秒差の1秒19秒799で予選2位、全日本デビューレースとなった開幕戦のレース1で勝利した佐藤祐季(#23)が1分20秒195で予選3位となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。予選4~6位はいずれも1分21秒台。小野一馬(#24)、宮本拓実(#22)、開幕戦レース2で勝利した佐藤省吾(#5)の順となった。藤田のみ2スト125ccマシンで、それ以外の選手は4スト250ccを駆る。

決勝レース1は、ポールポジションの高津戸がやや出遅れ、これで2番手スタートの藤田が先行。しかし1コーナーの進入で高津戸が藤田に追突し、これで高津戸は転倒し、藤田はマシンが絡んだ影響で遅れた。混乱の中でトップに立ったのは、予選7位だった加藤健(#11)。しかしすぐに佐藤祐希抜いた。1周目は佐藤祐希、加藤、2秒ほど離れて小野、宮本がトップ4。2周目に入ると、トップの佐藤祐希がリードを拡大しはじめた。2番手を守る加藤の約5秒後方では、追い上げてきた藤田と高津戸を含む4台の接近戦が開始。4周目には藤田が集団の先頭に立ち、これを高津戸が僅差で追ったが、逆に小野が高津戸を再逆転した。

レース後半、1周につき1~2秒ずつ後続とのギャップを拡大したトップの佐藤祐希は独走状態。一方、3番手に浮上した藤田は、一時は4秒ほどあった加藤との距離を少しずつ縮めた。小野は、藤田を約2秒差で追撃。ここから2秒ほど後方では、高津戸と佐藤省吾が5番手争いを繰り広げた。最終ラップの8周目、完全に追いついた藤田がダートで加藤をパス。抜かれた加藤の後ろには小野も迫った。そしてレースは、佐藤祐希が独走で優勝、藤田が2位、再逆転を狙うも約0.5秒届かなかった加藤が3位、小野が表彰台圏内まで約1.2秒に迫る4位となった。高津戸は最終ラップのダートで転倒してリタイア(10位)。佐藤省吾が5位となった。

レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、佐藤祐希がホールショット。これに加藤と、レース1は7位だった本門凌(#16)が続いた。2番手スタートの藤田は、ダートセクションに入ったところでエンストして、佐藤省吾に次ぐ5番手。それでも1周目後半で佐藤省吾を抜いた。トップの佐藤祐希は、オープニングラップだけで早くも約3秒のリード。2周目、1コーナーで2番手の加藤がミスし、本門を抜いた藤田が2番手となった。佐藤祐希のアドバンテージは約5秒に。一方、藤田と本門と佐藤省吾と加藤は、僅差の2番手争いとなった。

3周目以降も、佐藤祐希は順調にリードを拡大し、レースが後半に入る段階で完全な独走状態。一方、2番手争いの集団はやや間隔が開きはじめ、まずは5番手の加藤、4番手の本門が少し遅れていった。一方、3番手の佐藤省吾は2番手の藤田を約1秒差でマーク。しかし7周目には、わずかながら藤田がリードを拡大した。レースは8周でチェッカーとなり、佐藤祐希が一度もトップの座を脅かされることなく勝利。逃げ切った藤田が2位、佐藤省吾が3位、本門が4位となった。ラストラップには、加藤と宮本が激しいバトル。ゴールライン付近で宮本が転倒するアクシデントもあったが、加藤が5位、宮本が6位となった。

開幕戦ヒート2はゴール後に音量オーバーで失格となったが、これで開幕から4レース連続のトップチェッカーを受けているルーキーの佐藤祐季(#23)

 

レース1では、スタート直後のアクシデントによる出遅れから追い上げた藤田友貴(#6)が、最終ラップに加藤健(#11)を逆転して2位となった

 

レース2で3位となった佐藤省吾(#5)は、このレースで5位の加藤健(#11)と同点ながら、2レース総合結果でも3位となった

 

レース1の表彰台。写真中央がレース2でも勝利した佐藤祐季(#23)、同左が2レースとも2位獲得の藤田友貴(#6)、同右が全日本初表彰台の加藤健(#11)

▼正式リザルトはこちらにアップいたします。