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INFORMATION エビス大会は2年連続のフルウェットレースに! 全日本スーパーモト選手権第3戦レースレポート

2023全日本スーパーモト選手権第3戦レポート
2023年6月11日(日)/エビスサーキット・西コース(福島県)

エビス大会は2年連続のフルウェットレースに

今季の全日本スーパーモト選手権は、昨年と同じく全6戦のシリーズ。その第3戦が、福島県のエビスサーキットで6月11日(日)に開催された。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大、2021年は2月に発生した地震の被害による影響で中止となり、昨年に3年ぶりの復活となったエビス大会。複数のコースを有するエビスサーキットだが、今大会も昨年と同じく本来は全長2103mを誇る本格的なサーキットとして運用されていた西コースが舞台となった。

今大会では、約1kmのターマックをベースに、ダートセクションを2ヵ所に増設した特設コースを使用。全日本スーパーモトの開催コースとしてはこれまでもハイスピードを誇ってきたが、今大会は昨年以上にストレート区間が長いレイアウトとされた。

天候は朝から雨で、路面はウェットコンディション。2年連続で雨の大会となったが、昨年と同じくダートセクションもそのまま採用された。

 

2レースとも日浦大治朗が優勝、長谷川修大が2位

全日本最高峰となるS1プロクラスは、5分間の公式練習から連続して10分間のタイムアタック予選が実施され、決勝は13周の2レース制で競われた。16台が出走した予選では、吉田雄一(#4)が1分9秒479でトップ。昨年度王者の小原堅斗(#1)が1分10秒090で予選2位、一昨年まで3年連続でシリーズタイトルを獲得した日浦大治朗(#2)が1分10秒191で同3位となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。また、予選4位は1分10秒982で長谷川修大(#3)、予選5位は1分11秒086で金児伸二(#13)、予選6位は1分11秒503で松本和資(#11)となり、決勝レース1のセカンドロースタートとなった。

決勝レース1でホールショットを奪ったのは、4番グリッドから好スタートを決めた長谷川。日浦が2番手を狙ったが、ここは吉田が抑え、オープニングラップは長谷川、吉田、日浦、松本、金児、川島颯太(#19)、出遅れた小原の順となった。2周目、3番手の日浦が2番手の吉田に肉迫。3周目には日浦が先行すると、トップの長谷川を追った。5周目の段階で、トップの長谷川と2番手の日浦は約1秒差。ここから2秒ほど遅れて吉田が3番手をキープし、さらに4秒ほど間隔を開けて松本と金児と川島と小原が、僅差の4番手争いを展開した。6周目になると、長谷川と日浦は完全に接近戦となったが、7周目まで長谷川がトップを守った。吉田はトップ2台からはやや離され、単独走行の3番手。この周、4番手争いでは金児がミスにより集団の最後尾となり、こちらは松本、川島、小原、金児の順となった。

8周目、日浦がついに長谷川をパス。これでトップに立った日浦は、翌周以降にスパートをかけ、少しずつリードを拡大していった。9周目、4番手争いでは先頭を走っていた松本がミスにより7番手まで後退し、これで川島が先行。しかしその背後には、ゴーグルを外して視界不良の状態ながら必死に追い上げを続ける小原が迫った。レース終盤、トップの日浦、2番手の長谷川、3番手の吉田はほぼ単独走行状態。一方、川島と小原は後続をやや離しながらドッグファイトを続けたが、12周目の第2ダートで小原が川島に接触して転倒し、これで川島がリードを広げた。そしてレースは、日浦が優勝。長谷川が2位、吉田が3位で表彰台に登壇した。このトップ3からは大きく遅れたが、川島がこのクラスでの自己最高位を更新する4位。転倒後に再スタートしてラストラップに金児を抜いた小原が5位、金児が6位、松本が7位となった。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。再び長谷川がロケットスタートを決めたが、これに日浦が1コーナーで並んで激しいホールショット争いを繰り広げ、日浦が先行した。3番手には川島、4番手には吉田、5番手には小原、6番手にはレース1の9位から順位を上げた金子和之(#5)。2周目、トップの日浦は早くも約3秒のアドバンテージを得た。3周目になると、6番手の金子が前を走る小原から遅れはじめたが、一方で金子は7番手の金児を約4秒リード。そして金子は、徐々に単独走行となっていった。トップの日浦は、6周目までに約6秒のリードを確保。一方、2番手争いは接戦となり、長谷川を川島と吉田と小原が僅差で追った。

5~6周目には吉田が川島に肉迫したが、7周目になるとこの4台はそれぞれ約1秒間隔に。しかし8周目になると、今度は川島が長谷川に僅差で迫り、吉田の背後には小原が接近した。そして9周目には、3番手の川島と4番手の吉田も距離を詰め、これで4台による接近戦に。10周目、この中で小原が、第2ダートで吉田を抜いて順位を上げた。11周目以降、5番手に後退した吉田は前の3台から少し遅れ、2番手争いは三つ巴の戦いに。この攻防は最終ラップとなった13周目まで続き、川島は第2ダートの出口などで長谷川のインを狙ったが、チャンスは得られなかった。そしてレースは、序盤から単独走行を続けて逃げ切った日浦が勝利。2位に長谷川、3位に川島、4位に小原、5位に吉田、6位に金子の順となった。これで日浦は、開幕から無傷の6連勝をマーク。また川島は、全日本最高峰クラスの初表彰台に登壇した。

■ 日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・優勝)

「予選は、このタイムでトップになれるだろうとアタックをやめたら、他の選手たちが速くて抜かれてしまいました。自分の判断ミスでした。レース1は、チームメイトの長谷川修大選手とのトップ争い。長谷川選手が本当に速くて、こちらも全力で走るギリギリのバトルだったので、観ていた方々も楽しんでくれたと思いますが、自分自身も楽しかったです。パスしてから、一度スパートをかけたら離れてくれたのでよかったです。レース2は序盤から独走状態だったので、そういう意味ではレース1ほど楽しくなかったのですが、レース1のときよりも雨が激しくスリッピーになった路面で安定して走れた点には満足しています。8月上旬の鈴鹿8耐にも出場するので、7月はそちらのテストに全日本スーパーモトの茂原大会に……と忙しいですが、どちらのレースも全力で取り組んでいきます」

■長谷川修大(レース1・2位/レース2・2位)

「レース1は、トップを走っているときに、日浦大治朗選手とラップタイムに差がないことをサインボードで確認していたので、これはチャンスがあると思いました。しかし、第1ダートの進入だけがどうしても遅く、いろいろトライしていましたが改善できず、抜かれてからもそこで離されてしまいました。とはいえ、これまでのレースで一番、日浦選手を勝負する手応えのあるレースだったと思います。レース2は日浦選手に逃げられた後、自分の後ろに3台もマシンが僅差で連なっているとは知らずにいました。全力で走り続けてそのような状態だったので、まだまだ足りない部分があるということだと思います。日浦選手と同じく、自分も鈴鹿8耐に参戦します。乗り替えが得意なほうではないので、鈴鹿8耐のテスト後にモタードの練習を挟んで次戦の茂原大会に臨みたいと考えています」

昨年はケガの影響により決勝出走をキャンセルした雨のエビスで、3戦連続となる2レース優勝を飾った日浦大治朗(#2)

今季は開幕から4レース連続で3位となっていたが、トップ争いも繰り広げ3戦目にして2レースとも2位となった長谷川修大(#3)

今季からS1プロクラスにステップアップ。第2戦を欠場したため、4レース目で表彰台圏内の3位となった川島颯太(#19)

決勝レース1の表彰台。写真中央が優勝の日浦大治朗(#2)、同左が2位の長谷川修大(#3)、同右が3位の吉田雄一(#4)

 

古高智也が2レースを制してランキングトップに浮上

田所隼がS1プロクラスにステップアップしたため、チャンピオン不在となるS1オープンクラス。ここまで2戦を終えてランキングトップには原島剛(#38)が立っていたが、その原島は今大会を欠場した。まずは公式練習の5分経過後に連続して10分間のタイムアタック予選が実施され、S2クラスとダブルエントリーを続けるランキング2番手の古高智也(#36)が、1分12秒260でトップタイムをマーク。ランキング3番手の呉本朝也(#4)が1分14秒289で予選2番手となったが、トップとは約2秒ものギャップとなった。予選3番手には1分14秒788で錦織慎一郎(#8)が入り、ここまでが決勝レース1のフロントローに。そしてセカンドローには、いずれも1分15秒台となる佐々木徹(#11)、薄井保彦(#9)、田邉貴裕(#47)が並んだ。

迎えた10周の決勝レース1。ポールスタートの古高が順当にホールショットを奪い、2番手スタートの呉本がこれに続いた。しかし3番手スタートの錦織は大きく遅れ、佐々木がひとつ順位を上げて4番手。上位勢は1周目から間隔を広げ、トップの古高が後続を約1秒、2番手の呉本が約3秒、3番手の佐々木も約3秒離した。一方で4番手以下は大混戦で、薄井を先頭に久谷哲郎(#5)や田邉、染谷廣則(#17)、内山瑛須(#41)川崎雄大(#7)らが続いた。レース序盤、トップの3台はさらに少しずつリードを拡大し、3周目の段階ではトップの古高と2番手の呉本が約4秒、呉本と3番手の佐々木が約3秒のギャップ。4番手以下は大きく遅れ、薄井、久谷、田邉、川崎ら7台が連なった。

レース中盤、トップ3台はさらにそれぞれの間隔を拡大。レース前半が終了する5周目の段階で、トップの古高、2番手の呉本、3番手の佐々木は完全に単独走行となった。一方で4番手争いはなおも大混戦で、集団は11番手の岡田武蔵(#43)まで8台に膨れ上がったが、8番手を走っていた川崎の後退などで6周目に2分割され、薄井と久谷と予選15番手から上がってきた梅田祥太郎(#40)と田邉の4台による4番手争いとなった。しかしレース終盤、梅田はここから脱落。最後は薄井と久谷と田邉の争いになると、久谷が先行した。そしてレースは、古高が独走で勝利。呉本が2位、佐々木が3位、久谷が4位、薄井が5位、田邉が6位となった。

午後のレース2は、レース1のゴール順でスターティンググリッドに整列。スタート直後の1コーナーで、2番手スタートだった呉本のマシンがエンジンストールし、再スタートまで1周以上費やすことになった。レースは3番手スタートの佐々木がホールショットを決めたが、すぐに古高が先行。1周目を古高、佐々木、田邉、久谷、内山、梅田の順でクリアした。オープニングラップの段階で、薄井を先頭とした7番手以下はすでに前から4秒以上遅れた状態。一方、トップに立った古高は約2秒のアドバンテージを築いていたが、2周目にはこれを約4秒、3周目には約7秒に拡大した。この周、3番手を走っていた田邉がミスにより大きく後退。これにより、久谷と内山と梅田の接近戦が3番手争いということになった。

レース中盤、トップの古高はさらに大きくリードを拡大。完全に一人旅となった。佐々木は2番手をキープ。その4~5秒後方では、久谷と内山と梅田がなおも僅差の争いを続け、ここから完全に離された6番手争いでは、6周目に吉田隆幸(#37)が先頭に立つと、その後は後続を引き離していった。レース終盤、3番手争いでは梅田がやや遅れ、これで久谷と内山のバトルに。しかし最後まで久谷が順位を守った。そして10周のレースは古高が勝利し、佐々木が2位。久谷が3位に入賞して、全日本初表彰台に登壇した。内山が4位、梅田が5位、吉田が6位でチェッカーを受けた。今大会の結果、ポイントランキングでは古高がトップに浮上している。

予選からライバルを圧倒するタイムをマークし、レース1とレース2ともに完全独走状態で勝利した古高智也(#36)

レース2はマシンの不調に泣いたが、レース1では中盤から単独走行を続けて2位を獲得した呉本朝也(#4)

レース1は3位、レース2はさらに順位を上げて2位をマークし、総合成績でも2位となった佐々木徹(#11)

レース2の表彰台。写真中央が2レースとも勝利した古高智也(#36)、同左が2位の佐々木徹(#11)、同右が3位で全日本初表彰台の久谷哲郎(#5)

 

若手のホープ、大金歩夢が初優勝&2レース制覇!

9台のライダーが4スト250ccまたは2スト125ccマシンでエントリーしたS2クラスも、公式練習の5分経過後に連続して10分間のタイムアタック予選を実施。決勝は10周の2レースが設定された。タイムアタック予選では、佐藤瑞城(#21)が1分14秒702のトップタイムをマークして、決勝レース1のポールポジションを獲得。予選2位には1分15秒086でランキング2番手の大金歩夢(#4)、同3位には1分15秒715で桐明征一郎(#20)が入り、決勝レース1のフロントローに並んだ。同4位には桐明と僅差の1分15秒774で佐藤省吾(#6)、同5位には1分16秒105で土橋亮一(#5)、同6位には1分16秒372で藤田友貴(#10)が入り、決勝レース1のセカンドローに。S1オープンクラスとのダブルエントリーを続けるポイントリーダーの古高智也(#9)は、思うようにタイムアタックできず1分16秒612で予選7位となった。

決勝レース1は大金がホールショット。これに佐藤瑞城と佐藤省吾が続いた。予選3番手の桐明は出遅れ、予選6番手からふたつ順位を上げた藤田に次ぐ5番手。ポイントリーダーの古高は、ひとつ順位を上げて6番手で1周目をクリアした。2周目、トップの大金は佐藤瑞城を2秒ほど離し、佐藤省吾は前から3秒ほど遅れて3番手をキープ。その2秒後方では、藤田と桐明と古高が僅差の4番手争いを開始した。3~4周目にかけ、3番手の佐藤省吾がトップ2台からさらに少しずつ離される一方で、2番手の佐藤瑞城はトップの大金に接近。5周目にはテール・トゥ・ノーズになるかと思われた。

ところがその直後、5周目の1コーナー立ち上がりで佐藤瑞城が転倒。これによりトップの大金はリードを大きく広げ、再び佐藤瑞城を約2秒差で佐藤省吾が追うことになった。一方、4番手争いは3台が何度も順位を入れ替える展開となり、5周目の段階では藤田、古高、桐明の順。しかし翌周、桐明はミスにより7番手まで順位を落とした、レース終盤、大金は危なげなくトップを快走。2番手の佐藤瑞城は再び3番手の佐藤省吾を引き離し、こちらもそれぞれ単独走行となった。4番手争いでは、8周目に古高が藤田を抜いて先頭に。するとラスト2周で、古高は3番手の佐藤省吾に迫った。しかしここは勝負に持ち込める距離までは近づけず、10周のレースは大金がトップチェッカーを受けて全日本初勝利を手にし、2位に佐藤瑞城、3位に佐藤省吾、4位に古高、5位に藤田となった。

レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、大金が出遅れて佐藤瑞城がホールショット。2番手の大金に佐藤省吾と古高が続いてオープニングラップをクリアした。5番手以下は勝谷仁(#7)、藤田、藤本賢人(#19)、桐明のオーダー。2周目、大金と佐藤瑞城が僅差のトップ争い、2秒離れて佐藤省吾と古高がこちらも接戦の3番手争いを繰り広げ、さらに2秒遅れて勝谷と藤田が続いた。3周目、第1ダート付近で佐藤瑞城がミスし、これでトップを走る大金のリードが約3秒に拡大。すると翌周以降、大金は1周につき約1秒のペースで後続とのギャップを拡大した。レース前半が終了する5周目の段階で、大金のリードは約5秒。2番手の佐藤瑞城を、約2秒差で佐藤省吾と古高がなおも接近戦を繰り広げながら追い、勝谷を先頭とする5番手以下は完全に遅れた。

6周目、佐藤瑞城に佐藤省吾と古高が接近し、これで2番手争いは三つ巴のバトルに発展。5番手の勝谷は、後続を数秒離した。7周目、3台によるバトルの中で古高が佐藤省吾をパス。勢いに乗る古高は、翌周に佐藤瑞城の攻略にも成功し、2番手に順位を上げた。この段階で、トップの大金は完全に独走状態。レースは10周でチェッカーとなり、大金がレース1に続いて勝利を収めた。佐藤瑞城は逆転されてからも古高を約1秒差で追い続けたが、古高が逃げ切って2位。佐藤瑞城が3位、終盤に前の2台に離された佐藤省吾が4位、後半はほぼ単独走行となった勝谷が5位でゴールした。今大会の結果、ポイントランキングでは古高を逆転して大金がトップに立ち、シーズン後半に臨む。

2レースともに、レース後半は独走状態で快勝。全日本初優勝と2レース制覇を達成し、ランキングトップに浮上した大金歩夢(#4)

2レースともに序盤はトップ争いに絡んだが、転倒やミスでチャンスを逸してレース1で2位、レース2は3位となった佐藤瑞城(#21)

レース2は惜しくも表彰台圏内を逃したが、レース1では迫る古高智也(#9)を抑えて3位となった佐藤省吾(#6)

レース1の表彰台。写真中央が全日本初優勝の大金歩夢(#4)、同左が全日本自己最高位の2位を獲得した佐藤瑞城(#21)、同右が3位の佐藤省吾(#6)

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第4戦は7月23日(日)に千葉県 茂原ツインサーキットで開催されます。