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INFORMATION 王者・日浦大治朗がケガから復帰して実力発揮! 全日本スーパーモト選手権第4戦レースレポート

今季の全日本スーパーモト選手権は、全6戦のシリーズ。その第4戦が、昨年は最終戦の舞台となった愛知県知多半島南部に位置する美浜サーキットで開催された。

今回のコースは、多彩なコーナーが配された全長1200mのオンロードコースをベースに、最終セクションの手前にダートセクションをプラスした特設仕様。最終コーナー直前に第2ダートも用意されていたが、雨の影響によりここを使うとターマック区間の広範囲に泥が運ばれることが予想されたことから、使用が終日見送られた。

大会当日の天候は朝から曇天で、公式練習中は一時的に小雨が降ったが、午後は強く日が差すほどまで回復。気温と湿度ともに高く、かなり蒸し暑いコンディションとなった。ダートセクションには前日までに降った雨の影響がやや残ったが、ターマックは全走行がドライコンディションとなった。

 

鈴鹿8耐でも活躍した日浦大治朗が2レース制覇!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝はレース1が9周、レース2が12周で競われた。13台が出走した予選では、ディフェンディングチャンピオンながら前戦の決勝をケガにより欠場し、その後は鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦したことからスーパーモトのライディングから離れていた日浦大治朗(#1)が、それでも1分10秒982のトップタイムをマークしてレース1のポールポジションを獲得。2番手に1分11秒343で吉田雄一(#7)、3番手に1分11秒567で小原堅斗(#6)、4番手にはこちらも鈴鹿8耐に出場した長谷川修大(#2)が1分11秒788で入り、ここまでがレース1のフロントロースタートとなった。また、予選5番手の西村泰樹(#9)、6番手の中島俊介(#10)までが1分11秒台で接戦となった。

レース1でホールショットを奪ったのは日浦。これに吉田を抜いた小原、吉田、長谷川、西村、予選7番手の金子和之(#4)が続くと、ダートで小原が先行してオープニングラップを制した。2周目、4番手を走行していた長谷川がスローダウン。長谷川はこの周にピットインして、マシン修復のため多くの時間を費やすことになった。日浦は、吉田の逆転も許して3番手に後退。これで上位勢は小原、吉田、日浦、金子の順となったが、翌周には日浦が息を吹き返して吉田を抜いた。すると4周目以降、トップの小原と2番手の日浦が、3番手以下を引き離してマッチレースを展開。これで吉田は単独走行の3番手となり、吉田から4秒ほど遅れた4番手を守る金子の2秒ほど後方では、森田直樹(#5)と中島が接近戦を繰り広げた。

6周目、日浦が小原をパスしてトップに再浮上。ダートセクションではまた小原が先行したが、7周目の1コーナーで日浦が再び前に出た。そしてラスト2周は、日浦が2秒ほど小原を離した状態でトップをキープ。そのままトップチェッカーを受けた日浦が、レース1の勝利を獲得した。小原は2位、吉田は単独走行を続けて3位。4番手争いでは森田が7周目にミスで遅れ、金子が4位、中島が5位、新沼伸介(#17)が6位となった。

 

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。オープニングラップは日浦、小原、吉田、金子、中島、新沼、加藤将貢(#22)、森田と、スタート順位と同じままクリアした。2周目、日浦と小原と吉田が、4番手の金子以下を3秒ほど引き離しつつ、縦に長いトップグループを形成。3周目には、トップ3台の間隔が3~4秒に広がり、そこから4秒遅れて金子と中島と新沼が4番手争いを繰り広げた。そのすぐ後方に迫ってきたのは、マシントラブルによりレース1は最下位の13位となった長谷川。4周目には4番手争いの集団に追いつき、新沼に迫った。

レース前半が終わる6周目、小原が日浦との距離を詰め、両者の間隔が1~2秒に。吉田は単独走行で3番手をキープし、金子と中島が4番手争い、そこから2秒ほど遅れて新沼と長谷川が6番手争いを繰り広げた。7周目以降、日浦と小原はさらに後続を引き離しながらマッチレースを展開。吉田の単独走行は続き、5番手争いは金子、中島、長谷川、新沼がやや縦長のワンパックとなった。レース終盤、小原はトップの日浦に僅差で迫ったが、ターマックのスピードに分がある日浦が先頭を死守。レースは12周でチェッカーとなり、日浦が2レースを制覇した。小原が2位、吉田が最後まで単独走行を続けて3位。4位争いは、11周目に6番手の長谷川が中島に仕掛けるもオーバーランし、4位金子、5位中島、6位長谷川の順となった。

■ 日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・優勝)

「前戦はケガの影響で決勝出場をキャンセルすることになり、その後は8月上旬の鈴鹿8耐に向けた活動に集中していたので、スーパーモトのマシンに乗るのは大会前日の練習走行が本当に久々でした。そのためレース1は、なんというか違和感のようなものもありました。レース1は、ダートセクションで小原選手に何度も抜かれました。自分もダートがかなり速くなったと思うのですが、今大会くらいの難易度になるとまだダメですね。でも、ターマックで自分のほうが速いことはわかっていたので、ダートでムリする必要はないと思って冷静に走りました。レース2も小原選手のプレッシャーがスゴかったですが、なんとか勝てました。じつは公式練習の段階でマシンにやや不具合があったのですが、チームのメンバーが必死に修復してくれました。2レースとも勝てたのは、チームのおかげです」

■ 小原堅斗(レース1・2位/レース2・2位)

「やはり鈴鹿8耐で上位に入賞するライダーは速いですね。ターマックでの走りが全然違っていました。レース1は、日浦選手がダートを走りづらそうにしていたので、前に出てその後は抑えれば……と思いましたがムリでした。レース2も同様の展開に持ち込みたかったのですが、気負いすぎてミスがあり、序盤にリードを奪われてしまいました。もう少しいい展開にしたかったですが、接戦で観客の方々には楽しんでもらえたと思います。ここは日浦選手のホームコースで、逆に自分はなかなか練習に来られないということもあり、とくに速さが光っていましたが、次戦の名阪スポーツランドはダートも長いと思うので、なんとかもっといい勝負をして、最終的にはスポーツランドSUGOの最終戦ではターマックのスピードでも日浦選手に勝ちたいと思います」

いつになく慎重な走りで、確実にふたつの勝利を手にした日浦大治朗

 

ダートでの速さを活かして、2レースとも日浦大治朗と好バトルを演じた小原堅斗

 

2レースとも中盤以降は単独走行となったが、3位で成績をまとめた吉田雄一

 

両レースでトップ争いを演じて会場を沸かせた日浦大治朗(写真右)と小原堅斗(同左)

 

こちらも鈴鹿8耐参戦の田所隼が3大会連続2レース優勝!

S1オープンクラスのタイムアタック予選には21名が出走し、佐々木啓之(#8)が1分14秒380でトップ。呉本朝也(#11)が1分14秒836で同2番手、馬場悠介(#6)が1分15秒245で同3番手、水野彰久(#32)が1分15秒467で同4番手となり、ここまでが決勝レース1のフロントローに並んだ。S1プロクラスの日浦や長谷川と同じく8月上旬の鈴鹿8耐にも参戦した、ここまで2大会4レース連勝中の田所隼(#35)は、1分16秒041で予選5番手から決勝レース1に臨んだ。

その決勝レース1は7周に設定。予選8番手の納冨桂(#9)は出走せず、20台で競われた。スタートでは田所が抜群のダッシュをみせ、1コーナーを立ち上がったところでは佐々木、田所、呉本、馬場のオーダー。ところが馬場はミスにより大きく遅れ、このオープニングラップだけで佐々木と田所と呉本のトップ3が、4番手以下を5秒ほど引き離してコントロールラインに戻ってきた。2周目以降、トップ3と4番手以下の距離はさらに拡大。その4番手は、錦織慎一郎(#38)と久谷哲郎(#19)と千葉智(#14)と馬場の4台による争いとなった。そして3周目、馬場が4番手集団の先頭に立った。

レースが早くも折り返し地点を迎えた4周目あたりから、呉本は佐々木と田所からやや遅れはじめ、トップ争いは佐々木と田所に絞られた。4番手に浮上した馬場は後続を引き離しはじめたが、3番手を走る呉本とのギャップは10秒ほどある状態。また5番手には、錦織を抜いて久谷が浮上した。レース終盤、田所はトップの佐々木にプレッシャーをかけ続けたが、佐々木もポジションを死守。しかし最終ラップのバックストレートエンドで、田所がついに佐々木を抜いた。そしてレースは田所が優勝して5連勝を達成。佐々木が2位、呉本が3位、馬場が4位、久谷が5位、錦織が6位となった。

 

レース2の周回数は10周。レース1のゴール順でスターティンググリッドに並ぶと、ポールポジションスタートの田所が順当にホールショットを奪った。そのまま田所、佐々木、馬場、呉本の順で1周目をクリア。4秒ほど間隔を開けて、久谷、千葉、錦織、川崎雄大(#16)がセカンドグループを形成した。レース前半、トップの4台はそれぞれ1~2秒の間隔を開けながらも集団を形成。5番手以下を大きく引き離していった。

さらに、田所がじわじわとリードを拡大し、佐々木と馬場が接近戦を繰り広げ、呉本がここからやや遅れる展開。レース後半、田所は約4秒のアドバンテージを築き、佐々木と馬場はなおも僅差のバトルを続け、呉本はこの2台から4秒ほど遅れて単独走行となった。そして8周目、馬場がついに佐々木の攻略に成功。その後、馬場は佐々木を少し引き離した。そしてレースは、再び田所が勝利。馬場が2位、佐々木が3位、呉本が4位となった。5番手争いは、レース1は14位に終わり後方から追い上げてきた水野が、6周目に久谷を抜くとそのまま引き離し、5位に水野、6位に久谷となった。

レース1では最後に逆転、レース2は最初から逃げ切りで勝利した田所隼

 

予選でポールポジションを獲得し、決勝レース1で終盤までトップを守った佐々木啓之

 

レース1は1周目のミスに泣いて4位も、レース2で2位入賞の馬場悠介

 

鈴鹿8耐で負ったケガの影響が残る状況でも、2レース制覇を達成した田所隼

 

 

川島颯太が今季初優勝&2レース制覇!

4スト250ccマシンと2スト125ccマシンがエントリーしたS2クラスは、タイムアタック方式の予選を経て、決勝はレース1が7周、レース2が10周で競われた。タイムアタック予選では、モトクロス出身で今大会唯一の女性全日本スーパーモトライダーとなる鈴木優那(#12)が1分12秒345でポールポジションを獲得。予選2番手は1分12秒697の川島颯太(#2)で、この2名のみが1分12秒台となった。前戦レース1で鈴木に奪われた以外の今季全戦で勝利を収めている原島剛(#26)は、1分14秒254で予選3番手。2ストマシンの藤田友貴(#6)が1分15秒572で4番手となり、ここまでが決勝レース1のフロントロースタートとなった。

そのレース1は、鈴木が好スタートを決めてホールショット。これに川島、原島、藤田をパスした予選5番手の佐藤省吾(#7)が続いた。1周目は鈴木、川島、原島、佐藤、藤田、予選7番手の西村智人(#3)、予選8番手の勝谷仁(#5)のトップ7。2周目以降、鈴木と川島は3番手の原島を1周につき1~2秒離しながら、接近戦を展開した。一方で原島も4番手の佐藤よりはややペースがよく、これで原島は単独走行に。佐藤から数秒遅れて、藤田と西村も激しい5番手争いを継続した。

5周目、なおも鈴木と川島は僅差のトップ争いを続け、3番手の原島は完全に単独走行。4番手の藤田も前後の間隔が開いた状態となり、5番手争いではついに西村が藤田の攻略に成功した。そしてラスト2周となった6周目の最終コーナーで、鈴木が痛恨のエンスト。じつは鈴木のマシンはクラッチまわりにトラブルが発生しており、これで再スタートにも時間を要した鈴木は4番手まで後退した。これで難なくトップに立った川島は、独走でチェッカーを受けて今季初優勝。原島が2位、最終ラップにトラブルを抱えたマシンで佐藤を抜いた鈴木が3位、佐藤が4位、西村が5位、藤田が6位となった。

 

決勝レース2は、レース1のゴール順位がスターティンググリッドの並び順。ポールポジションの川島が真っ先に1コーナーを立ち上がり、これに鈴木を抜いた原島、鈴木、佐藤、西村、勝谷、藤田、大金歩夢(#25)が続いた。2周目、鈴木が原島をパス。この間に川島は、リードを約3秒に拡大した。3周目、川島はアドバンテージを約4秒に拡大。原島は鈴木から遅れはじめた。4周目には、逆に鈴木が川島との距離を縮め、レース前半が終わる5周目には両者のギャップが約1秒となった。この段階で、原島は鈴木から7~8秒遅れ、原島の3秒ほど後ろでは佐藤が4番手をキープした。西村は佐藤から3秒ほど遅れた5番手を走り、その6秒ほど後ろでは勝谷と藤田と大金が僅差の6番手争いを続けた。

レース後半、鈴木はトップの川島に迫り、すぐ背後でプレッシャーをかけ続けたが、川島も動じることなくトップを快走。7周目、6番手争いでは勝谷と藤田が転倒し、これで大金が単独走行の6番手となった。レース終盤、鈴木はなおも川島の攻略を試みたが、チャンスを得られず。最後は川島が約0.45秒差で抑え切り、レース1に続いて勝利した。鈴木は2位、原島は3位でフィニッシュ。佐藤が4位、西村が5位、大金が6位となった。

レース1は相手がトラブルで脱落する幸運な勝利だったが、レース2は実力で勝った川島颯太

 

レース1はトップ快走もマシントラブルに泣き、レース2は逆転叶わず2位に甘んじた鈴木優那

 

モトクロス経験のある若い2名に今回は負けたが、依然ポイントリーダーの原島剛

 

今季ここまで未勝利だった川島颯太が、本領発揮の2レース制覇

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第5戦は9月18日(日)奈良県・名阪スポーツランドで開催されます。