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INFORMATION 全日本スーパーモト選手権シリーズ第3戦 エビスサーキット レースレポート

今季の全日本スーパーモト選手権は、全6戦のシリーズ。その第3戦が福島県のエビスサーキットで開催された。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大、2021年は2月に発生した地震被害の影響により中止となったエビス大会。今回が3年ぶりの復活となった。

複数のオンロードコースを有するエビスサーキットだが、今大会も2019年までと同じく西コースを使用。ここは2021年の地震被害がもっとも大きかったコースで、現在も大規模な土砂崩れの跡が生々しく残る。本来は全長2103mの本格的なサーキットだが、現在は主にドリフトコースとして使用。今大会では、約1kmのターマックコースに1ヵ所のダートセクションと20mほどの短い接続用ダート部を設けた、全日本スーパーモトとしてはハイスピードな設定の特設コースが使用された。

天候は朝から曇りで、ターマックはドライコンディションでスタートしたが、公式練習終了直後から非常に強い雨が降り、一気にウェットコンディションとなった。

 

小原堅斗がレース2で全日本最高峰クラス初優勝!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は13周の2レース制で競われた。13台が出走した予選では、ディフェンディングチャンピオンの日浦大治朗(#1)が56秒422のトップタイムをマーク。今季開幕戦で2レース制覇を達成した長谷川修大(#2)が57秒151で2番手、吉田雄一(#7)が58秒248で3番手となった。ところが日浦は、この予選で以前に負ったケガが悪化。これにより決勝出走を断念することになった。

ポールポジションのグリッドが空席の状態で迎えたレース1でホールショットを奪ったのは、2番手スタートの長谷川。これに予選4番手の西村泰樹(#9)、吉田、予選6番手の金子和之(#4)が続いた。しかしダートセクションで、予選5番手だった小原堅斗(#6)が金子をパス。1周目は長谷川、西村、吉田、小原、金子、森田直樹(#5)、中島俊介(#10)、松本和資(#16)、新沼伸介(#17)のオーダーとなった。2周目、吉田が西村をパスして2番手に浮上。3周目には小原も西村を抜き、吉田に迫った。この周までに、長谷川は約5秒のアドバンテージを確保。さらに、翌周にはリードを約8秒にまで拡大した。この周、2番手争いでは小原が先行。4番手争いの集団では西村が順位を落とし、代わりに森田と金子が順位を上げた。

2番手に浮上した小原は懸命にトップの長谷川を追ったが、その差はなかなか縮まらず、一方で吉田は小原から遅れていった。また、金子はミスにより後退し、これでトップの長谷川、2番手の小原、3番手の吉田、4番手の森田までは単独走行状態となった。ところが8周目あたりから長谷川のペースが落ちはじめ、これで小原がやや接近。11周目、長谷川のラップタイムは5周目にマークしたファステストラップタイムと比べて約3秒も遅く、これで長谷川と小原の距離は一気に近づいた。そして迎えた13周目の最終ラップには、両者が接近戦に。ロングストレートエンドの最終セクション進入で、小原は逆転を狙った。しかしここは長谷川がパッシングラインをしっかり塞ぎ、そのまま僅差でトップチェッカー。今季3勝目を挙げた。小原が2位、吉田が3位、吉田と同じく最後まで単独走行となった森田が4位に入賞。5位争いは最後までし烈で、新沼が松本に0.018秒差で競り勝った。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。天候が急激に回復して時々日が差し、ターマックの路面はハーフウェット状態に回復した。ポールポジションの長谷川は好スタートを決めたが、2番手スタートの小原は出遅れ、最初のコーナーを長谷川、森田、吉田、小原、中島、中島、広瀬彰信(#20)の順でクリアした。1周目、長谷川は約2秒のリードを奪い、吉田、小原、森田、中島、新沼、広瀬、松本が数珠つなぎの2番手集団。松本以下は、転倒やミスなどですでに大きく遅れた。2周目、長谷川は最速ラップタイムをマークしてアドバンテージを約4秒に拡大。小原は吉田を抜けずにいたが、3周目のダートで逆転に成功し、長谷川の追撃を開始した。すると翌周、長いほうのダートセクションで長谷川がクラッシュして、森田と約5秒差の4番手まで後退した。

長谷川の転倒により難なくトップに浮上した小原は、この段階で2番手の吉田に対して約3秒のリードを築いていたが、翌周以降はさらにその差を広げていった。吉田の2~3秒後方では、森田が3番手をキープ。転倒後の長谷川はなかなかペースが上がらずにいたが、それでも8周目には森田の背後に迫った。しかしすぐには攻略できず、10周目にようやく3番手浮上。しかし2番手の吉田は約3秒先行していて、長谷川の追い上げはここまでとなった。レースは13周でチェッカーとなり、トップ浮上後は危なげなく快走した小原が、全日本最高峰クラスでの初優勝を獲得。吉田が2位、長谷川が3位、森田が4位となった。5位以下はトップ4から15秒以上遅れ、レース中盤から単独走行となった中島が5位、レース後半に新沼が後退したことで順位を上げた広瀬が6位となった。

■ 小原堅斗(レース1・2位/レース2・優勝)

「レース1の最後は、長谷川選手を抜くことは難しいかも……と思いつつも、最後に勝負を仕掛けました。でも、さすがはモトクロスもロードレースも経験があるライダー。しっかりパッシングラインを抑えられてしまいました。レース2は、ハーフウェットにコンディションが変化しましたが、レース1からとくに何かを変えることなく、それまでのいいバランスを重視して臨みました。レース2はスタートに失敗。やってしまったと思いましたが、そこで焦っても意味がないので、吉田選手の後ろで走りを勉強しつつ、パッシングポイントを得意のダートセクションに定めて抜きました。長谷川選手が転倒後に追い上げてくる可能性は大きいと思い、ペースを落とさず走りました。日浦選手が欠場し、長谷川選手が転倒したことでの優勝ですが、勝ちは勝ちなので素直にうれしいです。自分でも自分の成長がわかる状態なので、とても楽しく走れています」

■ 長谷川修大(レース1・優勝/レース2・3位)

「レース1の後半は、大雨によりグリップがとにかく滑り、あれが精一杯という走りになってしまいました。とはいえ、同じTeam S.T.F.から参戦している日浦選手の欠場により、チームとしては絶対に勝たなければいけないレースだったので、最後までトップを守れてホッとしています。レース2は、ダートセクションのギャップで前輪が振られて転びました。ギャップの存在はわかっていたのですが、思っていたよりも深いところに入ってしまいました。その後はペースが上がらず、本当は2位まで再浮上することを狙っていたのに、3位が精一杯でした。S.T.F.から今回参戦した日浦選手とS1オープンクラスの田所隼選手、そして自分の3名は、全員が8月の鈴鹿8耐に出場します。全日本スーパーモトを盛り上げる気持ちも持って臨むので、ぜひ会場で応援してください!」

土砂降りのレース1で、グリップの滑りに悩まされながらもトップを死守した長谷川修大

レース2で全日本スーパーモト最高峰クラス初優勝の小原堅斗が、総合優勝も手にした

 

3位と2位で2レースとも表彰台に登壇して、総合成績で3位を獲得した吉田雄一

 

成績が大幅に飛躍した今季、ついに初優勝を手にして満面の笑みを見せた小原堅斗

 

ロード出身の田所隼が2大会連続2レース制覇!

S1オープンクラスのタイムアタック予選には19名が出走。前戦で2レース優勝を達成した田所隼(#35)が59秒065で決勝レース1のポールポジションを獲得し、馬場悠介(#6)が59秒820で同2番手、佐々木啓之(#8)が1分1秒444で同3番手となった。予選トップ2がタイムで大きく抜け出した一方で、3番手以下は混戦。呉本朝也(#11)、高部充陽(#5)、錦織慎一郎(#38)までが1分1秒台で続いた。

決勝は、10周の2レース制。そのレース1では、フロントロースタートの田所、馬場、佐々木が順当に好スタートを決め、予選どおりの順位で1コーナーをクリアした。1周目、トップの田所は早くも約2秒のリード。2周目には、同様にリードを積み重ねて2番手以下に対するアドバンテージを約4秒に拡大した。2番手争いはオープニングラップこそ大混戦だったが、2周目に佐々木徹(#25)が6番手にひとつ順位を下げると、馬場と佐々木啓之と呉本と高部が縦長の集団となり、佐々木徹は少しずつ遅れ始めた。さらに、4周目には呉本がミスで8番手までポジションダウン。これで馬場と佐々木啓之が2番手争い、高部が単独走行の4番手となった。

トップの田所は、4周目の段階で約7秒のリードを獲得。その後は余裕のトップ走行となった。5周目以降、3番手の佐々木啓之は2番手の馬場からやや遅れ、これで田所、馬場、佐々木啓之のトップ3が単独走行に。レース終盤、高部がミスで大きく順位を下げ、佐々木徹を先頭とした4台による接戦が4番手争いとなった。そして9周目、呉本がその先頭に。レースは10周で終了となり、田所が優勝、馬場が2位、佐々木啓之が3位、呉本が4位、佐々木徹が5位、錦織が6位となった。

雨が止んだレース2は、レース1のゴール順でスターティンググリッドに。ポールポジションスタートの田所は、ウォームアップラップのスタート練習で、あわや転倒かというほど激しく挙動を乱したが、本番では無難に決めて最初のコーナーに先頭で飛び込んだ。これに続いたのは、2列目4番手スタートの呉本。馬場が3番手、錦織が4番手で続いた。佐々木徹はスタート直後に7番手と出遅れていたが、オープニングラップに5番手まで浮上。フロントロー3番手スタートの佐々木啓之は、1周目9番手と完全に出遅れた。レース序盤、田所はレース1ほどの圧倒的なハイペースを刻むことができず、呉本が約2秒差でマーク。その呉本を、さらに約2秒差で馬場が追った。4周目、呉本と馬場の差が一気に接近。一方、馬場を4秒ほどの差で追っていた錦織を佐々木徹が抜いたが、この間に馬場と佐々木徹の間隔は大きく開いた。

5周目、錦織の背後には追い上げてきた佐々木啓之が接近。6周目、2番手争いでは馬場が呉本、5番手争いでは佐々木啓之が錦織を抜いた。後続がバトルを繰り広げている間に、田所はリードを約5秒に拡大。馬場は呉本をやや引き離しつつ田所を追ったが、その差が極端に縮まることはなかった。レース終盤、佐々木徹と佐々木啓之は僅差の4番手争いを展開。ラスト2周となった9周目、佐々木徹がミスにより8番手まで後退した。そしてレースは、再び田所が勝利。馬場が2位、呉本が3位、佐々木啓之が4位となった。5位争いはラストラップまで接近戦となったが、最後まで順位を守った錦織が5位。高部が6位でフィニッシュしている。

ウェット路面でも巧みなマシンコントロールを披露して、2レース制覇の田所隼

 

トップの田所隼には逃げられたが、2レースとも2位を獲得した馬場悠介

 

レース1は3位表彰台も、レース2ではスタートでの出遅れに泣いて4位の佐々木啓之

 

レース2では抜群のスタートを決め、これを表彰台登壇につなげた呉本朝也

 

レース1で女性ライダーの鈴木優那が全日本初勝利!

今回は4スト250ccマシンのみがエントリーしたS2クラスは、タイムアタック方式の予選と10周の決勝2レースのスケジュール。タイムアタック予選では、開幕からここまで4レース連勝中の原島剛(#26)が1分00秒425でトップタイムをマークし、モトクロス出身で今大会唯一の女性全日本スーパーモトライダーとなる鈴木優那(#12)が1分00秒760で2番手、川島颯太(#2)が1分01秒000で3番手となった。4番手の古高智也(#27)は1分02秒815で、トップ3がタイムでは完全に突出した状態となった。

決勝レース1は、原島が好スタート。これに続いたのは川島で、鈴木は3番手からのレースとなった。古高は予選順位と同じ4番手を確保し、以下に勝谷仁(#5)と大金歩夢(#25)が続いた。2周目、鈴木が川島を抜いて2番手に浮上。両者がバトルを繰り広げる間に、トップの原島は2秒ほどのリードを奪った。しかし4周目には、トップ3台が接近。一方で4番手の古高は、トップ3からは遅れた一方で後続を引き離し、単独走行となっていった。

レース後半、トップ争いは激しさを増し、7周目には鈴木がついに原島をパス。9周目にかけて、鈴木はわずかながらリードを奪った。2番手に後退した原島の背後には、川島が接近。迎えた最終ラップの10周目、ダートセクションでさらに距離を詰めた川島は、最終セクションへのストレートエンドで勝負に出たが、ここは原島が確実に処理。レースは鈴木がトップチェッカーを受けて全日本初優勝を手にし、原島が2位、川島が3位となった。最後まで単独走行を続けた古高が4位、勝谷が4位、これにわずか約0.3秒届かず大金が5位となった。

直前に雨が上がった決勝レース2は、レース1のゴール順位がスターティンググリッドの並び順。ポールポジションの鈴木はスタートで出遅れ、原島が先行して最初のコーナーを立ち上がった。2番手に鈴木、3番手に川島が続いたが、鈴木は長いダートセクションからの脱出でやや失速し、このチャンスを逃さず川島が先行。オープニングラップは原島、川島、鈴木、古高、勝谷、大金のオーダーとなった。レース序盤、原島と川島と鈴木は約2秒ずつ間隔を開けて走行。4番手以下は遅れ、4番手の古高と5番手の勝谷がそれぞれ単独走行となった。5周目、川島が若干ミスしたことで原島のリードが約3秒となり、逆に川島の背後には鈴木が接近。同じ周、古高はミスにより5番手に後退した。

6周目以降、鈴木は川島に激しく迫ったが、川島もパッシングのチャンスを与えず。両者の接近戦は最終ラップまで続いた。一方、トップの原島は3~4秒のアドバンテージをキープして周回を重ねた。そして、最後まで後続に付け入る隙を与えなかった原島が、今季5勝目をマーク。最後は鈴木に0.200秒差で競り勝った川島が2位、鈴木が3位となった。レース終盤、4番手を走る勝谷の背後に、ミスを挽回して追い上げてきた古高が接近。最終ラップの最終セクション進入で、横並びになった。ここで両者が接触してコースアウト。結局、早く復帰した勝谷が4位、古高が5位とそのままの順位でゴールした。

ダートでの速さを武器に、レース1では鈴木優那が原島剛を逆転して全日本初優勝

 

レースはトップ3が圧倒。写真はレース1の表彰台で、中央が優勝した鈴木優那

 

連勝記録はストップしたが、レース2では着実に勝利を収めた原島剛

 

レース2の2位争いは、最後まで順位を守った川島颯太に軍配

 

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第4戦は8月21日(日)愛知県・美浜サーキットで開催されます。