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INFORMATION 【レースレポート】チャンピオンは日浦大治朗、松本和資、小鹿翼! 全日本スーパーモト第7戦

今季の全日本スーパーモト選手権は、6月に開催予定だった第3戦(福島県・エビスサーキット)が地震被害の影響、9月開催予定だった第6戦(奈良県・名阪スポーツランド)が新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中止となったことから、全5戦のシリーズとなった。

その最終戦となる第7戦の舞台は、愛知県の知多半島南部に位置する美浜サーキット。多彩なコーナーが配された全長1200mのオンロードコースをベースに、最終コーナー手前にダートセクションをプラスした特設コースで競われた。

天候は、朝からぶ厚い雲が空を覆う曇天。各クラスのタイムアタック予選がスタートするころから降雨となった。これで路面は、一気にレインコンディション化。しかしこの雨は数十分で止み、決勝のうちS2クラスレース1はハーフウェットだったが、他のレースはすべてドライコンディションで実施された。

 

日浦大治朗は今季最終レースで年間全勝を逃す

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は12周の2レース制で競われた。このクラスは、開幕からここまでディフェンディングチャンピオンの日浦大治朗(#1)が無傷の8連勝を挙げていて、最高峰クラスでは初となる全勝でのタイトル獲得が達成できるかにも注目が集まった。

19台が出走した10分間の予選は、その日浦が2番手を2秒近く引き離す1分13秒398で決勝レース1のポールポジションを獲得。2番手にはチームメイトでランキング2番手の長谷川修大(#4)が1分15秒189、3番手には1分15秒336で小原堅斗(#9)、4番手にはランキング4番手の新井誠(#3)が1分15秒398で入って、ここまでがフロントローとなった。ランキング3番手の金子和之(#7)は同9番手、ランキング5番手の森田直樹(#15)は予選15番手からレース1に臨んだ。

決勝レース1は、急激に天候が回復してほぼドライコンディションでのレースに。ポールシッターの日浦がホールショットを奪い、これに長谷川と小原が続いた。しかしもう1台のフロントロースタートだった新井は、1コーナーで他車と接触しそうになり失速。これでやや遅れ、予選5番手の西村泰樹(#19)や同6番手の金児伸二(#11)の先行を許した。2周目、トップの日浦は早くもリードを3秒以上に拡大。2番手以下は数珠つなぎ状態だったが、3周目になると2番手の長谷川と3番手の小原がやや抜け出し、4番手には新井が上がってきた。レース前半、小原は2番手の長谷川をマーク。この2台から3~4秒遅れて新井が4番手を守り、4台による5番手争いの集団では予選7番手の吉田雄一(#6)が先頭にたった。

前半の6周が終わった段階で、トップの日浦は8~9秒のリード。長谷川と小原は1~2秒差、そこから4秒ほど離れて新井が5番手、さらに7秒ほど間隔を開けて吉田が6番手というオーダーだった。レース後半、日浦は一人旅を継続。結局、まるで危なげない走りを最後まで続けてトップチェッカーを受け、シーズン全勝にリーチをかけた。長谷川と小原の2位争いは、終盤にやや小原を離した長谷川に軍配。2位に長谷川、3位に小原が入賞した。レース終盤、吉田は新井との距離を詰めたが、勝負に持ち込めるところには至らず、新井が4位、吉田が5位。終盤には金児と金子が僅差の6番手争いを繰り広げたが、わずか0.35秒ほどの差で金児が逃げ切り6位となった。

 

決勝レース2は、スタートで日浦がやや出遅れたかに見えたが、なんとか1コーナーで先頭に。長谷川と小原が続いた。ところが1周目のダート区間で日浦がエンスト。これで長谷川がトップに立ち、小原や新井、吉田、金子、金児、森田が続いた。日浦は1周目10番手。それでも、2周目には7番手、3周目には5番手まで順位を上げた。この段階で、上位勢は長谷川、小原、新井、吉田、日浦、金子までの6台が縦に長くつながり、7番手以下は5秒ほど遅れた。4周目、日浦は吉田を抜こうと迫ったが、ここで吉田に接触して転倒。すぐに再スタートしたが再び6番手まで順位を落とした。

5~6周目にかけ、トップの日浦はややリードを拡大。レースが後半に入った7周目の段階で、小原に対する長谷川のアドバンテージは5秒ほどになった。また、この周に日浦は吉田を抜いて4番手まで浮上したが、トップを走る長谷川との差は10秒ほどになっていた。8周目、日浦が新井を抜いて3番手浮上。9周目にはトップの長谷川まで7秒ほどにやや差を詰め、前を走る小原に迫った。そして翌周、日浦は小原の攻略にも成功。しかしここで時間を使い、また長谷川がハイペースを維持したことから、トップ長谷川と2番手日浦のギャップは約9秒にまで再び拡大していた。そしてレースは長谷川が全日本初優勝。日浦が2位、小原が3位、新井が4位、吉田が5位、金子が6位となった。すでに日浦のチャンピオンは決定していたが、今大会の結果により長谷川のランキング2位、金子を逆転して新井のランキング3位が決定した。

 

■ 長谷川修大(レース1・2位/レース2・優勝)

「レース2は、序盤に日浦選手が後退してからトップを走っていましたが、後ろのことやタイム差は考えず、とにかく自分の走りに集中していました。これまで、それで逆転されたこともありますが、そうなったら仕方がないという気持ちでした。日浦選手は小学生のころから憧れていたライダーで、圧倒的に速いことはわかっていたので、今シーズンの目標は日浦選手に次ぐランキング2位。そして、一度でもいいからレースで日浦選手に勝つことでした。シーズン最後のレースで、ふたつの目標を達成できたのでまずは満足しています。来年はさらに目標を上に、今度は日浦選手とチャンピオン争いができるライダーになれるよう、シーズンオフの間にトレーニングと練習を重ねたいと思っています」

■ 日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・2位)

「レース1は、3番グリッドからいいスタートが切れて1コーナーではあわや日浦選手の前に出られるかと思ったのですが、同じくウェットコンディションだった昨年のSUGOでスタート直後に他車と絡んで出遅れた苦い経験があるので、ちょっと引いてしまいました。そこからはやはり日浦選手が速く、じわじわと引き離されてしまいましたが、今季開幕戦レース2以来となるチームでのワン・ツーフィニッシュができたのでうれしいです。レース2はスタートが決まり、これはイケるかなと思ったのですが、路面の水量が少ないことでかえって非常にスリッピーな状態になり転倒。すぐ追い上げたかったのですが、前が集団で最初のうちはなかなかチャンスがなく、5位が精一杯でした」

今季最後のレースで、「日浦大治朗に勝つ」という目標をついに達成した、ランキング2位の長谷川修大

 

レース1は圧勝も、レース2で転倒してシーズン全勝を逃したV3チャンピオンの日浦大治朗

 

両レースを4位でまとめた新井誠が、金子和之を逆転してシリーズランキング3位

 

全日本初優勝を挙げた長谷川修大(写真右)と、全勝は逃したがチームメイトの優勝を喜ぶ日浦大治朗(同左)

 

 

チャンピオンは松本和資、レース勝者は佐々木啓介!

27名がエントリーしたS1オープンクラスは、タイムアタック予選と5周の予選レースを経て、決勝は1レースで競われた。シリーズランキングでは、第6戦が中止となった時点で松本和資(#16)のタイトル獲得が決定済み。新沼伸介(#10)と瀧川貴士(#11)は5点差のランキング2位争いを繰り広げていて、こちらの決着に注目が集まった。

タイムアタック予選は、瀧川が1分20秒567の圧倒的な速さでトップ。2番手は1分22秒259で佐々木啓之(#9)、3番手は1分23秒091で馬場悠介(#38)、4番手は1分23秒345で水野彰久(#14)がつけた。松本はタイムアタック予選6番手、新沼は13番手から予選レースレースに臨んだ。

5周の短い予選レースでは、予選5番手の田所隼(#49)が、集合時間に間に合わず出走不可に。レースは瀧川の好スタートで幕を開け、佐々木が続いた。2周目、水野が佐々木を抜いて2番手浮上。瀧川はリードを約3秒に拡大した。3周目、水野が転倒。佐々木が2番手に返り咲き、これを松本と馬場が僅差で追った。そして4周目に松本が佐々木を抜いたが、この周が終わる直前に転倒した水野を救助するためレースは赤旗終了。3周目クリア時点の順位が適用され、瀧川がポールポジション、佐々木が予選2番手、松本が同3番手、馬場が同4番手で決勝に進むことになった、決勝2列目スタートは呉本朝也(#37)、高部充陽(#17)、新沼の顔ぶれとなった。

 

決勝は10周の戦い。瀧川が好スタートを決め、これに佐々木と松本と高部が続いた。しかし松本は転倒により9番手まで順位を落とし、オープニングラップは瀧川、佐々木、高部、新沼、馬場、呉本のトップ6となった。レース序盤、瀧川と佐々木は3番手以下を2秒ほど離しつつ接近戦を展開。ところが4周目、瀧川がミスにより4番手まで順位を落とした。これでトップには佐々木が浮上。2秒ほど間隔を開けて新沼、高部、瀧川による2番手争い、さらに少し離れて呉本、順位を回復した松本が続き、7番手以下は大きく遅れはじめた。

瀧川はここからペースが上がらず、少しずつポジションダウン。5周目には、佐々木と新沼と高部がトップグループ、瀧川と松本と呉本がセカンドグループとなり、大きく離されて馬場が7番手を走行していた。レースが後半に入ると、トップの佐々木がややリードを拡大。7周目には3秒ほどのアドバンテージを得た。新沼と高部は接近戦を展開したが、8周目になると高部が少し遅れ、逆に後方から松本が接近。翌周、両者が順位を入れ替えた。7周目の段階で瀧川は7番手まで後退。レースは10周でチェッカーとなり、佐々木が優勝、新沼が2位、松本が3位で表彰台登壇。5秒ほど間隔を開けて馬場が4位、高部が5位、呉本が6位、瀧川は完全に遅れて7位でゴールした。この結果、ランキング2位は新沼が獲得している。

「ライバルの選手が転倒で順位を落としたので、あとは淡々と走りました」と、優勝した佐々木啓之

 

タイムアタック予選13番手と出遅れたが、決勝が終わってみれば2位で、ランキング2位を守った新沼伸介

 

序盤の転倒でレースでの勝利は逃したが、それでも表彰台圏内にはしっかり挽回したチャンピオンの松本和資

 

S1オープンクラスの表彰台。写真中央が優勝した佐々木啓之、同左が2位の新沼伸介、同右が3位の松本和資

 

 

レース1でチャンピオン争いのふたりに明暗

4スト250ccマシンと2スト125ccマシンが使われるS2は、タイムアタック方式の予選と決勝2レースのスケジュール。年間ランキングでは、小鹿翼(#3)が162点で、2番手の川島颯太(#17)に対して19点、3番手の西村智人(#18)に対して31点のリードを奪った状態で今大会に臨んだ。

タイムアタック予選には15台が出走して、開幕戦と第4戦で勝利を収めたS1オープンクラスではなく、今回はS2に参戦したベテランの三苫進(#31)が1分18秒634でトップタイムをマーク。2番手は、全日本モトクロス選手権にも参戦してきた鈴木優那(#30)が1分18秒958で獲得した。以下、1分19秒554で3番手の古川和由(#9)、1分20秒763で4番手の藤田友貴(#20)までが決勝レース1のフロントローを獲得。同2列目には、5番手で西村、6番手で宮崎司(#11)、7番手で川島が並び、小鹿はトップから4秒近く遅れて予選8番手となった。

決勝レース1のウォームアップラップで、ポールポジションの三苫にタイヤトラブルが発生。三苫はスタートできずリタイヤとなった。10周のレースは、雨が上がりハーフウェットの路面状況。スタート直後の1コーナーでは混乱が発生し、西村や川島が転倒し、鈴木が遅れた。一方、古川や小鹿、勝谷仁(#5)や佐藤省吾(#4)は好スタート。出遅れつつもこれを追った鈴木は2周目に転倒し、さらに順位を落とした。レース前半、上位4台は5番手以下を引き離しながら縦に長いグループを形成。しかしそれぞれの間隔は、5周目の段階で3~5秒程度に拡大した。後方からは、鈴木と川島が驚異の追い上げを見せていたが、このうち川島は1周目の転倒でフロントブレーキを破損していて、6周目にリタイヤを決断した。

レース後半、トップの古川と2番手の小鹿が3~4秒のリードを保つ一方で、3番手の勝谷は小鹿から大きく遅れた。それでも、勝谷は佐藤を4秒ほど離していたが、レースが残り2周となった9周目に両者が接近。さらにその後方からは、ライバルを圧倒するファステストラップタイムを刻みながら鈴木が追い上げてきた。そして最終ラップで、佐藤が勝谷を逆転。レースは、最後にやや小鹿に迫られながらも逃げ切った古川が優勝、小鹿が2位となり、ラストラップ後半で逆転に成功した佐藤が3位、勝谷が4位、鈴木が5位、宮崎が6位となった。この結果、レース2を待たずに小鹿のシリーズタイトル獲得が決まった。

 

決勝レース2は、レース1のゴール順でスターティンググリッドに。そのため、レース1に出走できなかった三苫は最後尾からのスタートとなったが、1周目の途中ですでに8番手。オープニングラップは古川、小鹿、佐藤、勝谷、鈴木、三苫、西村、川島と続いた。2周目、この隊列から古川と小鹿がやや抜け出し、3秒ほど開けて佐藤を先頭とした6台による3番手争いがスタート。3周目、三苫がこの集団の先頭に立ち、さらに鈴木が続いた。この段階で三苫は2番手の小鹿に約5秒離されていたが、鈴木を引き連れつつ、その後の2周で小鹿のリードをほぼ削り取った。佐藤は5番手を守ったが、三苫と鈴木よりはペースが遅く、前半の5周を終えた段階で7~8秒ほど離された。

6周目、三苫が小鹿を抜いて2番手浮上。古川、三苫、小鹿、鈴木が超接近戦のトップグループとなった。翌周もトップグループの順位は変わらず大接戦。しかし8周目、ダート区間でついに三苫が前に出た。翌周、鈴木も古川の攻略に成功して2番手浮上。最終ラップのダート区間で三苫に迫った。しかしほんのわずかに届かず。三苫が優勝、鈴木が約0.35秒差の2位、最後は小鹿に迫られながらも逃げ切った古川が3位、今季王者の小鹿が4位となった。8周目に佐藤を抜いた川島が5位、佐藤が6位で今季最後の全日本レースを終えた。川島はレース1でノーポイントを演じたが、西村も上位進出が果たせず、川島がランキング2位を守ってシーズンを終えた。

「若いライダーに負けないよう、時々参戦して刺激を与えたい」と、レース1で優勝した古川和由

 

決勝レース2で、スタート最後尾から全員を抜いて勝利を収めた、こちらも大ベテランの三苫進

 

全日本モトクロスのレディースクラスやIBオープンクラスに参戦してきた鈴木優那は、今回が全日本スーパーモト初参戦

 

レース1でシリーズタイトル獲得を決めた小鹿翼は、来季のS1プロクラス参戦を表明

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