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INFORMATION 【レースレポート】日浦、三苫、川島が強さを発揮!全日本スーパーモト選手権第4戦

今季の全日本スーパーモト選手権シリーズは、地震被害の影響で6月に開催予定だった第3戦(福島県・エビスサーキット)が中止となったことから、全6戦で競われる。

実質的にはシーズン3戦目となる第4戦の舞台は、広島県東部にある世羅グリーンパーク弘楽園。モトクロスの全日本選手権も実施されてきた施設で、人気観光地の尾道から北に直線距離で30kmほどに位置する。今大会のコースは、全長740mのカートコースをベースに、駐車場や誘導路やドリフトコースなどの舗装部分を使って未舗装(土)の路面となるモトクロスコースの駐車場側に誘導し、再びカートコースに戻す仕様とされた。ダート区間は長いが、テクニカルなジャンプやコーナーは少なめ。ただし、カートコースの路面は荒れ気味で、コースとダートとの接続区間にターマックながら頂点でかなり勢いよくジャンプする短い上り坂もあるなど、攻略の難易度は高めだった。

心配された天候は、予報が一変して晴れ時々曇りに。最高気温は29度で湿度が高く、かなり汗ばむ暑さとなった。

 

日浦大治朗がレース1は逆転、レース2は独走で勝利!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は12周の2レース制で競われた。16台が出走した予選では、ディフェンディングチャンピオンで開幕からここまで4レース連勝中の日浦大治朗(#1)が、2番手以下を2秒近く引き離す1分30秒878のトップタイムをマーク。新井誠(#3)が1分32秒793で予選2番手、森田直樹(#8)が1分33秒893で同3番手となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。セカンドローは、金子和之(#7)と小原堅斗(#9)と中島俊介(#21)の3台。ランキング2番手で今大会を迎えた長谷川修大(#4)は、マシントラブルの影響もあり1分35秒097で7番手となった。

午前中最後の走行として実施された決勝レース1。後続で転倒があったものの上位勢は無難なスタートを決め、トップの日浦から7番手の長谷川までがグリッド順どおりに1周目をクリア。日浦から5番手の小原まではやや縦に長く、小原の後ろには中島と長谷川が僅差で続いた。2周目、日浦は早くも2番手の新井を引き離しはじめたが、3周目の1コーナーでフロントタイヤが切れ込んでスリップダウン。日浦はクラッシュパッドに激しくぶつかったが、それでもすぐに再スタートを切り、金子に次ぐ4番手でレースに復帰した。これでトップに立った新井は、森田に対して約6秒のリード。森田はタイムアタック予選と比べるとややペースが上がらず、背後には金子と日浦が迫った。さらに日浦の3秒ほど後方では、中島を抜いた長谷川が小原を僅差で追った。

4周目、日浦は金子と森田を次々に抜いて2番手まで順位を回復。しかしトップを走る新井とは約8秒もの差があった。同じ周、日浦のチームメイトである長谷川は、小原を抜いて5番手に浮上した。5周目以降、日浦は予選同様の驚異的なラップタイムをマークして、毎周1~2秒ずつ新井との差を削り取った。レース後半、日浦から大きく遅れた森田の後ろに金子、長谷川、小原が近づき、3番手争いは4台に。8周目、森田が集団から遅れて金子が3番手に浮上した。そのころ、トップ新井と2番手日浦とのギャップはついに2秒以内に。翌周以降も日浦は距離を縮めると、ラスト2周でテール・トゥ・ノーズとなった。新井は、前半のカートコース区間で必死にインを閉めて防御を試みたが、ストレートエンドのタイトターンで日浦がアウトからパス。再逆転を狙う新井を僅差で抑え、日浦が優勝、新井が2位となった。3位には終盤に長谷川を引き離した金子、4位に長谷川、5位に小原、6位に森田が入った。

 

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。日浦がホールショットを奪い、これを逃がすまいと新井が2~3コーナーで積極的に仕掛けたが、逆に金子の先行を許すことになった。1周目は日浦、金子、新井、長谷川、西村康樹(#19)、小原のオーダーで、日浦はこの周だけで2~3秒リード。2周目にはこれが約5秒にまで拡大した。また、この2周目には小原が西村を抜いて5番手に浮上したが、こちらも4番手の長谷川からはすでに5秒ほど離れていた。2~3周目にかけ、新井は金子のパッシングを試みるが、なかなかチャンスを得られず、その間に日浦はリードをさらに拡大。4周目に新井が2番手に浮上した段階で、日浦のリードは8秒ほどにまで拡大していた。

しかし、リードを奪ってもペースを緩めない日浦は、5周目には1分31秒台にまでペースアップ。同じく新井もこの周に31秒台をマークして、数周にわたり応戦したが、日浦のリードをそれ以上拡大させないことで精いっぱいだった。新井のスパートで3番手の金子は徐々に遅れたが、4番手の長谷川も同レベルか少し遅いくらいのラップタイム。これにより、レース後半には3番手の金子と4番手の長谷川も単独走行化していった。終盤、接近戦となったのは小原と西村と森田による5番手争い。9周目に小原が少し抜け出したが、10周目には西村が小原に近づいて、森田が遅れた。そして11周目には、小原に西村が肉迫。しかし最後は小原が引き離した。レースは、再び日浦が優勝。新井が2位、金子が3位、長谷川が4位、小原が5位、森田が6位と、終わってみればレース1と同じトップ6の順位となった。

 

レース1は序盤に大転倒を喫したが、それでもきっちり勝利を収めた日浦大治朗

レース1は目前の勝利を逃したものの、2レースとも2位でまとめた新井誠

金子和之はレース1、レース2ともに3位となり、今季初表彰台(3位以内)に

 

 

「モタードは、ロードレースのトレーニングにも最適な競技のひとつ」と日浦大治朗

 

■ 日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・優勝)

「レース1の転倒は、ちょっとラインをミスしてフロントタイヤが切れ込んでしまいました。けっこう激しい転倒だったので、『このレースはもう終わった……』と一瞬思ったのですが、転倒からの素早い復帰は自分の取り柄なので、すぐさまレースに復帰しました。ラスト3周、新井選手の背後につけてから、どうやって抜こうか考えていたのですが、こちらのほうが余力はある感じだったので、最後に抜くつもりでした。新井選手が極端にインを閉めたので、瞬時にアウト側を選択したら、うまく抜くことができました。レース2は、あまりおもしろくないレースをしてしまいましたが、自分としては完璧でした。来週はまた、JSB1000のレースに参戦します。モタードがロードレースに活きる要素はかなり多いので、いい練習にもなったと思います。」

■ 新井誠(レース1・2位/レース2・2位)

「レース1は、日浦選手が転倒後にすぐ再スタートしたのはわかっていました。すぐにまた追い上げてくるだろうとは思っていましたが、1周が長いコースで疲労もするだろうから、ミスなくていねいに走ろうと心がけていました。最終ラップは、カートコース部分まで抑えれば勝てると思ったのですが……。ちょっとカタくなりすぎて、ミスしてしまいました。レース2は、オープニングラップで日浦選手の前に行かないと勝ち目はないと思ったのですが、ハードブレーキングすぎてリヤが流れてしまい、金子選手に先行されました。金子選手も非常に速いライダーなので、なかなか抜くチャンスがなく、金子選手のミスでなんとか前に出ましたが、その段階で日浦選手に逃げられていて残念でした」

 

ベテラン三苫進が逃げ切って今季2勝目!

4ストの450ccマシンに加えて1台の350ccがエントリーしたS1オープンクラスは、20名が出走。タイムアタック方式の予選、5周の予選レースを経て、決勝は10周で競われた。タイムアタック予選では、ベテランの三苫進(#39)が1分36秒217でトップ、馬場悠介(#38)が1分37秒282で2番手、松本和資(#16)が1分37秒680で3番手に入って、まずは予選レースのフロントローに並んだ。

5周で競われた予選レースは、スタート直後に5番手スタートの佐々木啓之(#9)が転倒し、その影響で後続が混乱。これを尻目に上位4台は順当なスタートを切り、三苫がまずはトップ、松本がひとつ順位を上げて2番手、馬場が3番手、4番手スタートだった高部充陽(#17)が4番手で1周目をクリアした。2周目、三苫はややリードを拡大。馬場が高部の先行を許すと少し遅れ、高部は2番手の松本に迫った。3周目、三苫はリードを約6秒まで拡大。松本と高部は僅差の2番手争いを続けた。しかしその後も順位は変わらず、三苫が予選トップ、松本が2番手、高部が3番手で決勝フロントローに並ぶことになった。馬場が4番手、納富桂(#4)が5番手、新沼伸介(#10)は6番手で決勝に臨んだ。

 

決勝の周回数は10ラップ。スタートでは三苫がホールショットを奪い、松本、高部、新沼、納富、馬場と続いた。しかし馬場はジャンプスタートの裁定。その後にペナルティを受けて後退した。レース序盤、三苫と松本と高部の3台は、新沼を先頭とする4番手争いの集団を置き去りにしながらトップグループを形成。3周目には、両グループの間隔は早くも8~9秒ほどに拡大した。逃げ切りを図る三苫に対して、松本は2秒ほどの差をキープして粘ったが、4周目あたりから3番手の高部は遅れはじめ、さらに6周目には松本も三苫に4秒ほど離された。

7周目、なおも接近戦が続いていた4番手争いの集団では、松井康晃(#13)が納富を抜くと、グループの先頭を走る新沼に肉迫。両者の争いは、6番手の納富以下を少し引き離しながら終盤まで続いた。しかし最終ラップに松井がミスにより後退した。レースは、最後までリードを守った三苫が勝利。松本が2位、高部が3位、新沼が4位で、ここまでは単独走行でのゴールとなった。5位以下は納富、予選レースは7番手だった大坪正之(#44)、予選10番手から追い上げた菅野景介(#45)、転倒の影響で同12番手だった8位の増成誠二(#20)までが、僅差で続いてチェッカーを受けた。

大ベテランの域になってなお、三苫進のアグレッシブな走りと速さは健在

決勝レースでは後半に三苫を逃してしまったが、着実に2位入賞の松本和資

決勝では中盤から単独走行状態となり、3位でフィニッシュした高部充陽

タイムアタック予選、予選レース、決勝レースをすべて制した三苫

 

川島颯太が初めて予選と決勝2レースを完全制覇!

4スト250ccマシンと2スト125ccマシンが使われるS2クラスは、タイムアタック方式の予選と決勝2レースのスケジュール。川島颯太(#17)が1分38秒333で予選トップタイムをマークしたが、予選2番手の小鹿翼(#3)が1分38秒610、同3番手の西村智人(#18)が1分38秒653と、決勝レース1のフロントローに並ぶ3台は僅差となった。

決勝レースは10周の戦い。そのレース1は、ポールポジションスタートの川島がホールショットを決め、西村がひとつ順位を上げて2番手、小鹿が3番手につけた。しかし予選4番手の藤田友貴(#20)と5番手の勝谷仁(#5)は2コーナーで転倒。最後尾からのレースとなった。川島は、1周目だけで約3秒のリードを奪うと、2周目にはその差をさらに拡大。3周目に小鹿が西村の攻略に成功して2番手に浮上した段階で、早くも8秒ほどのリードを奪っていた。小鹿に抜かれた西村はその後に引き離され、逆に小鹿はトップ独走する川島との差を少しずつ詰めた。

レースが後半に入った6周目の段階で、川島のリードは約5秒と少し縮まり、小鹿が単独走行の2番手。完全に遅れた西村の背後には、予選6番手だった土橋亮一(#21)と同9番手だった佐藤省吾(#4)、1周目最後尾から追い上げてきた勝谷が迫った。そして翌周から、3番手争いはひとつのグループになったが、9周目に勝谷はミスで大きく後退した。最終ラップに入るところで、小鹿は3秒ほどのところまで川島に近づいたが、川島は動じることなくファイナルラップも快走。そのまま逃げ切って開幕戦レース1以来となる全日本2勝目を挙げた。小鹿は2位でゴール。注目の3位争いは最後まで順位を守った西村が制し、0.5秒ほど届かなかった佐藤が4位、最終ラップに少し離された土橋が5位となった。

 

決勝レース2は、レース1のゴール順位がスターティンググリッドの並び順。ポールポジションの川島が再びホールショットを奪い、これに小鹿、西村、佐藤、レース1は6位だった緒方大輔(#8)、勝谷、藤田と続いて1周目をクリアした。2~4周目にかけ、トップの川島から7番手の藤田までは、それぞれ1~3秒の間隔を開けた縦に長い隊列を形成。5周目になると、小鹿がなおも2秒ほど後方で川島をマークする一方で、3番手の西村は小鹿から4秒ほど遅れ、佐藤から藤田までの4台が接近した。

川島と小鹿のトップ争いは、コース前半のカートコース区間で小鹿がギャップを詰めるが、後半のアスファルトジャンプからダートにかけて川島が離す展開。カートコースの終盤で両者の差はほとんどなくなるが、コントロールラインでは2秒ほどに離れるという展開が、終盤まで続いた。一方、西村を先頭とした3番手争いはサバイバルレースとなり、6周目に佐藤、7周目に緒方が脱落。9周目には藤田が遅れ、最終ラップには西村と勝谷のバトルになった。しかし、最後まで西村がポジションを死守。レースは10周でチェッカーとなり、川島が再び優勝、小鹿が2位、西村が3位、勝谷が4位、藤田が5位となった。

レース2では小鹿翼の猛追を受けたが、最後まで守って今大会完全勝利の川島颯太

カートコース区間での速さを勝利につなげることができなかった小鹿翼は両レース2位

トップ2には逃げられてしまったが、2レースとも3位を獲得した西村智人

モトクロス出身の川島は、自身の持ち味を生かしてレース2で粘り勝ち

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次戦は第5戦  8月15日(日)宮城県・スポーツランドSUGOで開催予定。