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INFORMATION 【レースレポート】全日本スーパーモト選手権シリーズ第2戦HSR九州大会(5/16)

2021シーズンの全日本スーパーモト選手権シリーズは、地震被害の影響により第3戦(福島県・エビスサーキット)が中止となったことから、全6戦で競われる。
第2戦の舞台は熊本県大津町HSR九州。本田技研熊本工場に隣接するHSR九州は本格的なサーキット(ロードコース)とモトクロスコース(全日本選手権も開催されている)エリア選手権やモタードスクールで使用されているドリームコースと多彩なコースを持っている。昨年は緊急事態宣言発出のため一旦中止となったがエントラントやサーキット側の要望もあり8月終わりにドリームコースで追加開催された。
今大会には一昨年までと同様に本格的なロードコースをベースにテクニカルなダート区間を追加した特設コースが用意されたが、土質が火山灰で雨が降ると粘土状になり非常に危険という特殊な事情のため、ダート区間の使用判断は日曜の朝ギリギリまで遅らせたが前日練習からのコンディションは回復せずターマック区間のみでの開催が決定し、ライダーズブリーフィングで告知された。(7、8年前に1度だけ雨でダート区間を使用した実績はあるが、周回タイムが通常の2倍以上かかってしまったり、プロクラスのトップでさえまっすぐ走ることが困難でテーブルトップから横に滑り落ちてしまうなど危険すぎたという過去の経験からサーキット側が判断。ちなみに隣接するモトクロスコースは過去に1度すべて普通の土に入れ替えているが、ロードコースはインフィールドの土(火山灰)を使っているため全く違う土質となっている。)
前日練習は終日雨で熊本県地方は観測史上2番目の早さで梅雨入り。日曜決勝も天気予報は終日雨だったが以外にも雨雲の進路からはずれてゆき公式練習の段階で雨は降っていたが再び曇り空となり、最終レースまで徐々に乾いていくコンディションの変化にライダーたちはタイヤ交換に追われた。

 

ディフェンディングチャンピオン日浦大治朗、無傷の開幕4連勝!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、タイムアタック予選を経て、決勝は13周の2ヒート制で競われた。朝のフリー走行では完全にレインコンディションだったが予選開始時には路面はかなりドライ寄りに。開幕2連勝中のチャンピオン日浦大治朗(#1)は使用したい歯数のスプロケットの予備がなくドライタイヤへの交換が間に合わないと判断し仕方なくレインタイヤでのタイムアタック、予選6位に沈んでしまう。
そんな日浦とは対照的にロードセクションを得意とする森田直樹(#8)が55秒631でポールポジションを獲得。
長谷川修大(#4)が55秒706で予選2番手、地元デューンモト川上祥史(#10)が56秒166で3番手となり決勝レース1のフロントローを獲得した。

午前中最終レースの決勝レース1。うまくスタートを決めたポールポジションの森田(#8)がトップで1コーナーへ進入、続く長谷川(#4)の後ろには2列目6番手スタートの日浦(#1)が3台を抜いて3番手で1コーナーへ。その後ろには川上(#10)榎本(#12)新井(#3)がスリーワイドで1コーナーへ進入。
森田(#8)を抜きあぐねている長谷川(#4)を3番ポスト前のシケインでパスした日浦(#1)は森田(#8)をロックオン。ドライタイヤが使えなかった予選でのフラストレーションを開放するようにヘアピン手前の高速左コーナーで森田(#8)をアウトから抜き去りトップへ浮上。終盤はほぼ独走状態となりトップでチェッカー。
2位森田(#8)と3位の長谷川(#4)は得意とする区間が異なり、終始追いついては離れを繰り返すが、森田(#8)が何とか守り切ってチェッカー、2位を獲得。長谷川(#4)は3位となるも「森田さんを狙えるポイントは見えたのでレース2では前に出たい。」と意気込みを語った。
4位には今年からハスクバーナをtmに乗り換えた榎本(#12)、5位に地元の川上(#10)、6位に新井(#3)が入った。

決勝レース2は、レース1の順位でスターティンググリッドが決定。
スタートをうまく決めた森田(#8)がレース1同様、トップで1コーナーへ。ポールポジションの日浦(#1)が2番手で続き、3番手に長谷川(#4)、4番手に川上(#10)、5番手に金子(#7)、6番手に榎本(#12)と続く。
日浦(#1)は2周目1,2コーナーでトップにたち逃げを図るが、ロードセクションは森田(#8)も得意。3位長谷川(#4)とぴったり日浦(#1)を追いかける。
僅かな間隔で川上(#10)、金子(#7)、榎本(#12)、西村(#19)、新井(#3)とつづいてゆく。
HSRを知り尽くした川上(#10)は視界に残ったトップグループを追うことをあきらめずアクセルをあけてゆく。
そんな川上(#10)にぴったりついて様子をうかがっていた金子(#7)が動き4位浮上。つづく榎本(#12)も川上(#10)をパスして金子(#7)を追いかけようと3番ポスト前のシケイン立ち上がりでバックストレートに向かってアクセルをあけたタイミングでハイサイド。なんとかこらえようとするが振り落とされてしまい腰を強打。バイクがコース上に残ったままとなり赤旗中断。
13周のうち8周目の赤旗のためレース成立で7周回終了時点での順位が確定した。
日浦(#1)が開幕戦から負けなしの4連勝。森田(#8)は2位でフィニッシュ。3位には長谷川(#4)が入った。4位に金子(#7)、5位に西村(#19)。新井(#3)が6位となった。

開幕戦から無傷の開幕4連勝王者の貫禄をみせた日浦(#1)

 

Team S.T.F.日浦と長谷川のワンツーフィニッシュを阻止した森田(#8)

 

森田(#8)にプレッシャーをかけ続けたがわずかに及ばず3位長谷川(#4)

 

■日浦大治朗(ヒート1・優勝/ヒート2・優勝)

「スプロケットの予備がなくタイヤ交換が間に合わないと判断し仕方なくレインタイヤでタイムアタックしたので予選は失敗してしまったが、なんとか勝つことができた。思っていたよりタイムが出なくて焦ったが何とか勝てた。本コースの走行ははじめてで前日練習は雨だったのでドライで走るのは今日がはじめて。勝ててよかった。」

■森田直樹(#8)(レース1・2位/レース2・2位)

「レース1ではエンジンが失火するトラブルが出てしまい日浦選手を追えなかった。なんとか両ヒート2位で終えることができたので次は勝てるようにマシンをメンテナンスしていきたい。」

 

HSR九州と相性抜群!瀧川貴士(#11)が優勝

S1オープンクラス。出走は14台。タイムアタックで予選レースのグリッドを決め、予選レースの結果で決定したグリッドで決勝は13周でおこなわれる。タイムアタックは瀧川貴士(#11)が59秒297でトップ。大坪正之(#16)が59秒549で2番手、59秒700で3番手松本和資(#16)、ここまでが59秒台をマークした。

予選レース。地元の納富桂(#4)が好スタートを決めトップへ、2番手に瀧川(#11)、3番手に松本和資(#16)、大坪(#44)と続く。
納富(#4)を抜きあぐねる瀧川(#11)をかわし松本和資(#16)がいったん2番手へあがるも、すぐさま瀧川(#11)も抜き返しトップ納富(#4)を追う。瀧川(#11)は3コーナーで納富(#4)をかわしトップに立つとそのまま独走で優勝。決勝ポールを獲得した。
2位に松本(#16)、納富(#4)は3位に入りフロントローを獲得した。

決勝レース。今度は松本和資(#16)が好スタートを決め瀧川(#11)が追い、納富(#4)が続く。4番手には新沼(#10)、大坪(#44)、森田嵐(#41)、松本信二(#19)と続いてゆく。
スタートこそ前に出た松本和資(#16)だったが、1周回ってきた時点で順位は入れ替わり瀧川(#11)がトップへ。
セミファイナルと同様に瀧川(#11)が独走。終盤まで2位を争う松本(#16)と納富(#4)を尻目にぐんぐん差を広げ優勝。
納富(#4)を何とか振り切った松本和資(#16)が2位。納富(#4)は3位に入りうれしい地元表彰台を獲得した。
大坪(#44)が4位、地元と言ってもいい四国勢に挟まれながらも健闘した森田嵐(#41)が5位、菅野景介(#45)が6位となった。

瀧川(#11)がポールトゥウィン

 

辛くも逃げ切った松本(#16)が2位

 

納富(#4)は惜しくも3位

 

過去初入賞もHSRだった瀧川(#11)

 

世代交代を象徴するようなレース展開のS2クラス

4スト250ccマシンが主流ではあるが2スト125ccマシンも存在するS2クラス。
プロクラスと同様にタイムアタック方式の予選と決勝2レースのスケジュール。
地元勢の小鹿翼(#3)が5周目にマークした59秒608でポールを獲得。今大会を自身の全日本選手権ラストレースと位置付けて望む全日本モタード創成期からのレジェンドライダー トニーシュルツェ(#25)が59秒858と僅か1/4秒差で予選2番手。この2台はオープンクラスでもフロントローに相当するほどの好タイム。3位1分0秒992の西村智人(#18)以降と大きな差をつけ決勝レースに望む。

決勝レースは13周。ポールポジションの小鹿(#3)が無難にスタートを決めホールショット。2番手にトニー(#25)、予選5番手の川島(#17)が西村(#18)をかわし3番手へ浮上。以降、5番手土橋亮一(#21)、6番手佐藤省吾(#4)とつづいてゆく。
終始慌てず、「ブレーキングでアドバンテージはあったのでじっくり様子をみた」というトニー(#25)は小鹿(#3)の背後につけ周回を重ねる。そしてラスト2周、逃げるためペースを上げた小鹿(#3)だったがシケイン立ち上がりで転倒。その横をトニー(#25)、土橋(#21)、西村(#18)が駆け抜けてゆく。
3台の接近戦は最後まで続いたが、トニー(#25)がトップを守り切って優勝。自身の現役引退レースに華を添えた。ターマック得意な土橋(#21)は2位、西村(#18)が3位、佐藤(#4)が4位、唯一2サイクルのYZ125を駆る藤田友貴(#20)が5位となった。

決勝レース2は、レース1の順位でスターティンググリッドが決定。決勝レース2も13周でスタート。
全車きれいにスタートを決め、1~2コーナーへ切り返す時点でイン側からグリッド通りトニー(#25)、土橋(#21)、西村(#18)の順でスリーワイドで並ぶが、アウト側から勢いよく西村(#18)土橋(#21)の順で素早い倒し込みをおこないトニー(#25)の前へ出る。

同時に川島(#17)もトニー(#25)をかわし前2台を追いかける。
さらにヒート1転倒で9位に沈んだ小鹿(#3)も5番手まで挽回しトニー(#25)へ真っ向勝負を挑み、3コーナーから4コーナーへの切り返しでフロントを浮かせながら4位へ浮上。「(ヒート1の転倒が)すごく悔しかったので1位になることしか考えていなかった」という言葉通りアクセル全開でトップ2台を追走する。
オープニングラップを終えて西村(#18)が若干土橋(#21)との差を広げ逃げの体制。川島(#17)小鹿(#3)トニー(#25)のオーダーは変わらず。
レースは3位争いから小鹿(#3)が抜け出しトップ2台へ追いつき、トップ3台でのバトルを展開。続く4位グループは川島(#17)トニー(#25)に勝谷(#5)佐藤(#4)藤田(#20)が追いついた。
トップ西村(#18)のすぐ後ろで土橋(#21)と小鹿(#3)が激しく順位を入れ替えるが、終盤に奥のヘアピンで土橋(#21)が止まりきれずにオーバーラン。優勝争いは西村(#18)と小鹿(#3)の2台に絞られた。
最終ラップまで西村(#18)とほぼ横一線のバトルを繰り広げた小鹿(#3)だったが、西村(#18)がきっちり抑えてチェッカー。ヒート2優勝を勝ち取った。2位は小鹿(#3)。3位に土橋(#21)が入った。最終的に6台程度に増えた4位争いを制したのはベテラン トニー(#25)1位と4位で総合2位となり有終の美を飾った。5位に川島(#17)6位に勝谷(#5)が入賞となった。

ヒート2では小鹿(#3)を僅差で抑えて優勝 西村智人(#18)

 

優勝と4位の総合2位でラストレースを締めくくったトニー シュルツェ(#25)

 

ターマックだけなら安定上位 2018年度S2チャンピオン土橋亮一(#21)

 

「ヒート2での若者のトップ争いを見て、安心して引退できる気がした」と語るトニー シュルツェ(#25:写真中央)

 

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次戦は 7月11日(日)広島県・世羅グリーンパーク弘楽園で開催予定。