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INFORMATION 大会公式レポート – 2025年MFJモトクロス全国大会(スポーツランドSUGO)

僅差の接戦で勝ち取った優勝。MFJモトクロス全国大会

(スポーツランドSUGO)

11月23日、宮城県にあるスポーツランドSUOGにて、「MFJモトクロス全国大会」が行われた。開催クラスは、各地方選手権シリーズで開催されているナショナル(国内A級)/ノービス(国内B級)/ジュニアクロス、承認クラスであるキッズ65とチャイルドクロスの5つ。2024年から東と西の2つの会場で行う形式となり、今大会は今季2回目となる。

全国大会には各地方選手権シリーズで切磋琢磨してきたライダーが集まり、各クラスの日本一をかけてバトルを繰り広げる。総合優勝者はライセンス2階級特進の特典を得ることができ、これから全日本の舞台で活躍するライダーを輩出する登竜門としても機能している。

 

MFJモトクロス全国大会(スポーツランドSUGO)

日時:2025年11月23日(日)

会場:スポーツランドSUOG(宮城県)

天気:晴れ

 

ナショナル(NA)

遠西が他を寄せ付けないスピードで実力の差を示す

ナショナルクラスは、タイムアタック予選で東北・関東モトクロス選手権ランキング2位の#78田中秀征(TE SPORT Jr./ホンダ CRF250R )がトップタイムを記録し1位通過。さらに東北選手権チャンピオンの#18遠西礼都(Yʻs Racing with 東北トラス/ヤマハ YZ250F)が2位に入った。

#18遠西礼都(Yʻs Racing with 東北トラス/ヤマハ YZ250F)

注目が集まる中、ヒート1のスタートで前に出たのは#88杉本大駕(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)。その後ろに田中、遠西、#22清宮伊織(レーシングチーム鷹/ヤマハ YZ125)が続く。トップ4台は1周目から接戦を繰り広げ、2周目に田中が抜け出しトップに浮上。続いて遠西も2番手に上がり田中を追いかける。遠西は約1〜2秒田中を上回るラップタイムで距離を縮めると、3周目に首位を奪取。レース終盤にかけて再び田中が距離を縮めるが、遠西は前を譲ることなく優勝を獲得した。一方、3番手以降は清宮、杉本、#80水野零埜(YSP名古屋北/天白/ヤマハ YZ250F)による3位争いが繰り広げられる。清宮がリードを保つ中、水野が杉本との差を詰め、3台は徐々に接近。緊迫した状況の中、最終ラップで清宮が転倒。これにより杉本が3位に上がり、3位争いを制した。結果、1位遠西、2位田中、3位杉本でフィニッシュ。

#80水野零埜(YSP名古屋北/天白/ヤマハ YZ250F)

ヒート2は、遠西が好スタートを決めてレースをリード。その後方に水野がつき、遠西を猛追する。2人のトップ争いは接戦となり、水野が粘り強い走りで攻めるが、遠西もペースを上げて徐々にその差を広げていく。一方、レース中盤には3番手を走る田中が水野に迫りパス。遠西、田中、水野という順位でトップ3台はそれぞれ単独走行となり、遠西が最後までミスなくトップを守り切りゴール。2位田中、3位水野という順位でレースを終え、両ヒートともに他を寄せ付けない速さを示した遠西が総合優勝を手にした。

 

#18 遠西礼都

「スポーツランドSUGOは地元なので、全国大会で優勝できるように乗り込みました。同じ地元で全日本モトクロスライダーの佐々木麗選手や阿部晴基選手に毎週ライディングを教えてもらいながら練習をしてきたので、自信を持ってコンディションよく大会を迎えることができました。東北選手権で一緒に戦ってきた田中選手には、選手権で負けたこともあったのでライバルとして意識していました。ヒート1は追い上げで、トップに立った後もそこまで差を広げることができなかったので少し焦りましたが、ヒート2はスタートで前に出ることができて、楽な展開でした。総合優勝できて嬉しいです」

 

ノービス(NB)

芳賀vs川上、地元の意地を見せた芳賀が逆転勝利を収める

ノービスクラスは東北モトクロス選手権チャンピオンの#252芳賀慎太郎(BLU CRU Team-Pitin/ヤマハ YZ250F)や、MFJモトクロス全国大会HSR九州大会で優勝を果たした#555寺島絆(Team NFS with 55design/GASGAS MC125)、全日本モトクロス選手権レディースライダーの#42川上真花(BLU CRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ125)など実力の高いライダーが揃った。

#42川上真花(BLU CRU YSP大阪箕面/ヤマハ YZ125)

ヒート1では川上がスタートからトップに立つと、続いて芳賀が追いかける展開。トップ2台が1周目から接戦となり、芳賀が川上の後方からプレッシャーを与える。しかし、3周目に芳賀がエンストによりマシンを止めてしまう。すぐに復帰するが、3番手にポジションを落とし追い上げを強いられる展開となった。川上が2分1〜2秒のラップタイムで周回を重ねる中、芳賀は後半にかけて1分57〜59秒台と2分を切るタイムを連発。怒涛の追い上げを見せ、最終ラップには川上を捉え、肉迫する。最終コーナーで並んだ2人だが、川上も負けじと芳賀を抑えてゴール。僅差のトップ争いを制した川上が優勝を獲得し、2位芳賀、3位には寺島の転倒によりポジションを上げた#72大塚忠和(ホンダ CRF450R)が入賞を果たした。

#252芳賀慎太郎(BLU CRU Team-Pitin/ヤマハ YZ250F)

ヒート2は芳賀がスタートから先頭に立ち、序盤で単独走行へと持ち込む。2番手につけた川上もペースを上げて追いかけるが、徐々にその差は拡大する。一方、大塚と#18大内健八(城北ライダース/ホンダ CRF450R)がレース序盤に3番手争いを展開。大塚が大内をかわして前に出ると、そのまま引き離して単独走行へと持ち込んだ。結果、1位芳賀、2位川上、3位大塚という順位でフィニッシュ。地元ライダーである芳賀がヒート1の悔しさを晴らし、見事総合優勝を獲得した。

#252 芳賀慎太郎

「ヒート1は川上選手の後をついて、最初の2周くらいは様子を見ていたのですが、その後にエンストして差が開いてしまいました。追いつける自信はなかったのですが、段々距離が近くなるのがわかって、最終コーナーで決めると思って攻めました。ただ川上選手の経験値も高くて、ラインを被せられて抜かすことができませんでした。85ccの時からライバルでもあったのですごく悔しくて。涙枯れるくらい泣いて、この悔しさを糧にヒート2に挑みました。スタートから前に出て、安定してタイムを刻むことができました。地元の意地を見せて勝つことができてよかったです。」

 

ジュニアクロス(JX)

白熱するトップ争い、外間がライバルを抑えて優勝

ジュニアクロスには全日本モトクロス選手権で優勝経験のある#25伊良皆龍翔(GASGAS MC85)や#8外間匠(TE SPORT Jr./ホンダ CRF150RII)をはじめ各地方選手権の上位争いを繰り広げたライダーが集まり、優勝をかけたバトルが白熱した。

#25伊良皆龍翔(GASGAS MC85)

ヒート1、好スタートを決めた伊良皆に続き、外間、#15浅井大翔(フライングドルフィンレーシングメイト/ヤマハ YZ85LW)が後を追いかける。伊良皆はクラス内で唯一2分1秒台のラップタイムを記録する速さでトップを走行。2番手の外間との差は1〜2秒ほどあり、このままリードを保つかと思われたが、レース時間が8分を過ぎる頃に転倒を喫しポジションを大きく落とす。この隙に外間がトップに立ち、そのまま1位でゴール。伊良皆は追い上げるが、惜しくも2位でチェッカーを受けた。3位には序盤で3番手に立った#21目黒結翔(桜井ホンダ/ホンダ CRF150RII)が入賞。

#8外間匠(TE SPORT Jr./ホンダ CRF150RII)

 

ヒート2は、外間が1周目からレースをリードし、目黒と#36太田結馬(ガレージクローバーレーシングサービス/ヤマハ YZ85LW)が続く。一方、ヒート1を2位で終えた伊良皆はスタートで出遅れ最後尾からの追い上げを強いられた。しかし、2周目には2番手にまでポジションを上げて外間を猛追。勢いに乗って追い上げを続ける伊良皆だが、レース終盤に転倒し3番手に後退。これにより目黒が2位に浮上し、先頭を走る外間はリードを広げる。結果、外間がトップを譲ることなくチェッカーを受け、2位伊良皆、3位目黒という順位でフィニッシュ。外間が両ヒートとも制し、総合優勝を飾った。

#8 外間匠

「前日の練習から調子よく走れていました。ヒート1はあんまり速いタイムが出せなかったのですが、トップを走っていた伊良皆選手は何回も戦ってきている相手で、強みも弱みもお互いに知っているので、そこを冷静に見ながら、後ろからプレッシャーをかけて走りました。2ヒートとも優勝できて嬉しいです」

 

キッズ65(K65)

阿部が群を抜く速さで完全勝利を収める

#94阿部哲昇(Yogibo pirelli MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX65)

承認クラスのキッズ65では、スタートで飛び出した#94阿部哲昇(Yogibo pirelli MOUNTAIN RIDERS/カワサキ KX65)が1周目でトップに立ちレースをリード。後方には#8大久保英飛(YSP浜北大橋レーシング/ヤマハ YZ65)と#283萩野雄雅(BLUCRU Y’s Racing with 東北トラス/ヤマハ YZ65)が続く展開となった。阿部は他のライダーよりも3秒以上速いラップタイムで周回を重ね単独走行へと持ち込む。一方、大久保と萩野の差も徐々に拡大し、上位3台の距離が開いた状態でレースが進行。このままトップ3が決まるかと思われたが、終盤にかけて#365高城零(YSP浜松 with BABANASHOX/ヤマハ YZ65)が萩野に迫りパス。結果、ミスなくトップを快走した阿部が優勝を獲得。10分+1周という時間の中、2位と22秒差をつけるという群を抜く速さを示した。2位には大久保、3位には高城が入賞を果たした。

 

#8大久保英飛(YSP浜北大橋レーシング/ヤマハ YZ65)

ヒート2では大久保が好スタートを決めて先頭に立つ。一方、2番手以降は混戦となったが、すぐに阿部が抜け出しトップを追いかける。逃げる大久保と追う阿部、2人の攻防戦が繰り広げられる中、3周目に阿部が大久保をかわしてトップに浮上。大久保も食らいつくが、阿部がリードを広げ、そのまま優勝を飾った。2位に大久保、3位には序盤からポジションを守りきった高城という順位でフィニッシュ。

 

チャイルドクロス(CX)

決着はラスト1周、三浦が総合優勝を獲得する

チャイルドクロスは排気量50cc以下の国産4ストロークエンジンバイクで競うAクラスと、外国メーカーの2ストロークエンジン車両に加えていくつかの許可された電動モトクロッサーで走るBクラスが設定されており、今大会はBクラスへのエントリーがなかったためAクラスのみの開催となった。

#5浪花慶人(チーム⻑野塾/ホンダ CRF50F)

全3台が出走する中、ヒート1のスタートで前に出たのは#30三浦雪斗(ホンダ CRF50)。しかしすぐに#5浪花慶人(チーム⻑野塾/ホンダ CRF50F)が三浦をかわしてトップに浮上する。両者のベストラップタイムに大差はなく、終始0.7〜2秒ほどの距離感でレースは進行。三浦は後方からプレッシャーを与えて隙をうかがうが、浪花も前を譲る隙を見せることなく、最後まで走り切りゴール。結果、1位浪花、2位三浦という順位でチェッカーを受け、3位には#213阿部浩大(カムイエンジニアリングwith鷲倉温泉/スズキDR-Z50)が入賞した。

#30三浦雪斗(ホンダ CRF50)

ヒート2でも浪花と三浦の接戦が白熱する。スタート後すぐに浪花が先頭に立ち後方を引き離しにかかるが、マシントラブルによりペースダウン。この隙に三浦が一気に距離を縮めてバトルを展開する。お互いに譲らぬ走りで攻め続け、最終ラップに入った直後に横並びになると、1コーナー手前で接触し、2人とも転倒してしまう。しかしすぐに復帰した三浦が熱戦を制し、逆転で総合優勝を飾った。

今大会で2025年シーズンの全国大会(全2戦)は閉幕。各クラスで実力を高め合ったライダーたちの、来年の活躍にも引き続き注目だ。