新しいシーズンがついに始まった。全日本ロードレース選手権は、今年もJ-GP2クラス、J-GP3クラス、ST600クラス、2年目を迎えるMFJ CUP JP250が、ここ茨城県・筑波サーキットで開幕した。 J-GP2クラスは、昨年のチャンピオン浦本修充が再びJSB1000クラスにスイッチしたため、今シーズンもチャンピオン不在となる。昨年のST600クラスチャンピオンの榎戸育寛がKALEXで、J-GP3チャンピオンの徳留真紀がSPEED UPというMoto2™マシンでエントリー。Thailandヤマハチームノリックから全日本デビューするケミン・クボ。Team KAGAYAMAに移籍した三原壮紫。Team高武RSCは、作本輝介に加え、岩戸亮介もJ-GP2クラスにスイッチするなどライダーの動きやマシン面での変化が見られた新シーズンだが、作本は、先週行われた事前テストで転倒し負傷。残念ながら欠場を余儀なくされている。 事前テスト、そして木曜日から始まったレースウイークの流れを見ると2台の仕上がりが群を抜いていた。その一台が、木曜日にJ-GP2クラスでは前人未踏の56秒台に入れた水野涼だった。昨年は、ランキング3位となったが、優勝はなかっただけに、まずは1勝、そしてシリーズチャンピオンを視野に入れていた。今年は、サスペンションをオーリンズに変更。一からのスタートとなっていたが、テストからいい仕上がりを見せ、アベレージもよくなって来ていた。そしてもう一台が関口太郎だった。昨年、ランキング2位となった関口は、再び自らのチームでスタート。マシンは同じHP6だが、昨年使っていたものとは違ったため個体差をライダーもメカニックも感じながら徐々にペースを上げてきていた。決勝は、この2台の戦いに、他のライダーが、どこまでついて来られるかがレース展開を左右するポイントだった。 公式予選、そしてレース1が行われた土曜日は、朝から弱い雨が降り、路面はウエット。一時は、止むかと思われた雨だったが、霧雨が強くなったり、弱くなったりする不安定な天候となっていた。 ウエットコンディションで行われた公式予選は、セッション終盤に各ライダーはベストタイムを記録。榎戸、生形、水野とリーダーボードのトップは入れかわっていき、最終的に水野が1分01秒631でレース2のポールポジションを獲得。榎戸、関口、生形と続くが、生形は、最後に最終コーナーで転倒。「すべって行くときに"昨年と同じか!"と思わず自分に突っ込みを入れた」と言うほど昨年のデジャヴかと思われる転倒だった。その直後に行われたスーパーポールは、雨のため15分の計時で争われることになったが、生形は、昨年と同様にマシンの修復に追われることになっていた。公式予選の上位10台によって争われたスーパーポールは、開始5分というところでケミンがS字コーナーで転倒し、赤旗が提示される。セッションが再開されると生形もコースイン。セッション終盤に1分01秒504をマークした榎戸がレース1のポールポジションを獲得する結果となった。以下、関口、水野、石塚健、生形、岩戸と続いた。 20周で争われたレース1。関口がホールショットを奪うが、最終コーナーの進入で榎戸がトップに浮上し、オープニングラップを制する。関口、石塚、水野と続き、早くもこの4台がトップグループを形成、5番手以下は生形、岩崎、ケミン、大木崇行、柴田陸樹、三原壮紫、岩戸と続いていた。 スタートで出遅れた水野だったが、2周目に石塚を、3周目に関口をかわすと4周目には榎戸をかわしてトップに浮上すると、そのままレースをリードする。トップグループにつけていた石塚は、マシントラブルが発生し遅れ、榎戸も関口にかわされると徐々に単独走行となって行く。トップ争いは、水野と関口の一騎打ちとなり、1コーナーで何度もポジションを入れかえるバトルとなる。そして関口がトップで最終ラップに突入するが、水野は、狙いすましたように1コーナーでインに入りトップに浮上。そのまま最終コーナーに入って行く。最後まであきらめずにアクセルを開けた関口だったが、最終コーナー立ち上がりで痛恨の転倒。水野がトップでチェッカーフラッグを受け、うれしいJ-GP2クラス初優勝を達成。関口は再スタートし、12位でゴール。2位にJ-GP2初レースの榎戸、3位に石塚が入り、3人の18歳ライダーが表彰台に上がる結果となった。 レース2も20周で争われるJ-GP2クラス。水野がダブルウインを飾るか!? 関口の巻き返しはあるのか!? どんなレース展開となるのか、ぜひ注目して欲しい!!