ついにシリーズ最終戦を迎えた全日本ロードレース選手権。MFJ-GPは、ボーナスポイントが3ポイントつき2レース制で争われるJSB1000クラスは最大56ポイントを獲得できる。今回は、事前テストがなかったこともあり木曜日から特別スポーツ走行が設けられ通常より1日多いレースウイークとなっている。木曜日から金曜日の1本目までは、ほぼドライコンディション、金曜日の2本目は中途半端なウエットとなっていた。 そして土曜日は、朝から雨模様となりウエットコンディションで公式予選が行われた。今回もノックアウト方式となったがQ1でレース1のグリッドが、Q2に進出したトップ10のみレース2のグリッドが決まることになるため、上位陣もQ1から気を抜けない予選となっていた。それぞれセッション終盤に水しぶきを上げながらタイムアタックを行い、トップタイムを記録したのはゼッケン1をつける中須賀克行だった。中須賀は、ただ一人2分18秒台に入れる速さを見せつけた。これに加賀山就臣が2分19秒台、藤田拓哉が3番手に食い込み初のフロントロウを獲得。暫定ランキング2番手につけている高橋巧は4番手となった。トップ10チャレンジのボーダーラインは、野左根航汰、今野由寛、出口修の3台で争われ、最後のアタックで出口が10番手にすべり込み、今野と野左根がノックアウトされている。 15分間で争われたQ2は、開始早々に加賀山が110Rでクラッシュし戦線を離脱。ここでも中須賀が速さを見せつけダブルポールを決めた。「今のところ、やるべきことをやってきているし、心地よいプレッシャーの中で楽しめて走ることができます。もちろん両レースとも勝つつもりで臨みますよ」と中須賀。一方、タイトルを争う高橋は「決して満足はしていないですがウエットコンディションで精一杯走った結果です。決勝はドライになることを信じていますし、ドライなら初日に7秒3まで出ていますし、いいレースができると思っています。2レースとも勝ちを狙っていきますよ」とコメント。2レースとも中須賀の後ろとなる4番手グリッドからスタートする。 レース1の予選2番手に食い込んだ加賀山はQ2で転倒はあったものの今シーズン最高の仕上がりとなっていると言う。スタートダッシュには定評があるだけにホールショットからトップを走る可能性があるだろう。レース2の予選2番手となった山口も調子を上げてきている。Q1では、予選タイムを出そうとニュータイヤを入れてアタックするがフィーリングが違ったため、あわやノックアウトというシチュエーションもあったが7番手に食い込む。Q2ではセッティングが進み、中須賀に肉薄するタイムをマークしている。ドライでもタイムが出ているだけにトップ争いに絡んできそうだ。そして両レースで予選3番手となった藤田の健闘が光った。金曜日の2本目もトップタイムをマークするなどウエットで速さを見せていただけに予選でも上位に来ると思われていたが、その通りの走りを披露。積極的に攻めて行く姿勢は、評価に値するものだった。「初めてフロントロウに並ぶので、いつもと景色が違うと思います。スタートがうまくないので中須賀さんの前に出るつもりで、いいスタートを切りたいですね」とレースでも積極的な走りを見せてくれそうだ。 今シーズン、ケガに泣かされたTeam GREENの柳川明、渡辺一樹もドライになればトップ争いに加わってくるだろう。ヨシムラの津田拓也もしかりだ。 ドライコンディションとなればタイトルを争う中須賀と高橋を中心に、加賀山、山口、柳川、渡辺、津田と行った面々がトップ争いを繰り広げそうだ。ウエットで魅せた藤田や鈴鹿レーシングの安田毅史、今野や野左根、スポット参戦のジョシュ・フックなども、どこまで上位に絡んでくるか注目したいところだ。 レース1、レース2とも、それぞれ15周で争われる。何と言っても中須賀と高橋のタイトル争いの行方に注目が集まるところだ。中須賀が3年連続5回目の王者に輝くのか!? それとも高橋が初タイトルを獲得するのか!? 栄冠をつかむのは果たして!? 運命の決戦は間もなくスタートする。