シリーズ第3戦の舞台は茨城県・筑波サーキット。全日本ロードレースが開催されている中では最もタイトなコースである。ラップタイムは1分を切り、ライダーには、より集中力が求められる。昨年は、東日本大震災の影響で中止となったため2年振りの開催となる。 JSB1000クラスは、開幕戦で負傷し、筑波ラウンドでの復帰を目指していたV2チャンプ秋吉耕佑が、直前に欠場を発表。今回もゼッケン1不在のレースとなる。 事前テストからハイレベルな走りをしていたのが中須賀克行と高橋巧だった。2戦を終え、優勝1回、2位1回という全く同じリザルトを残している。今回のレースを終えると8月末の第6戦SUGOまでのインターバルに入るだけに、ここはどちらも負けられない一戦になる。 1時間1セッションで争われた公式予選。快晴となったものの風が強いコンディションの中、各ライダーはタイムアタックに入る。やはり中須賀と高橋がセッションをリード。終盤に55秒台に入れた中須賀が今シーズン初めてポールポジションを獲得する結果となった。 「(予選のときは)風が強く走りにくかったこともあって、思うようにタイムを縮められませんでした。伊藤さんの55秒1というレコードタイムは、すごいですよ。マシンは、大きく変えることはできませんけれど、自分が合わせられてきている感じです。フロントロウに並べればいいと思っていたのでポールポジションを獲れてよかったですね。決勝は、逃げることは難しいし、バックマーカーをどうかわしていくかがカギになると思います」と中須賀。 一方、2番手に続いた高橋は、「ポールポジションを獲るというよりも、金曜の走り始めの感触がよくなかったので、予選中はマシンのセットアップに集中していました。だいぶダメ出しができましたし、よくなってきたのでレースに向けては、いい兆しです」とコメント。決勝レースも、この2人を中心に進んでいく可能性は高い。 そして3番手に食い込んだのが、Honda CBR1000RRの市販キット車を駆る山口辰也だ。山口は、事前テストで足回りのセットが完璧に決まったと語り、レースに向けてマシンの持つポテンシャルを最大限に引き出すため、スリッパークラッチ、バックトルクリミッター、そしてインジェクションなどのセットアップを細かく進めてきている。絶対的なエンジンパワーは、トップと差があるものの、今回はおもしろい存在になっている。 前戦では、ポールポジションを獲得している加賀山就臣だが、10年振りの筑波はやや苦戦気味。金曜日に試したセットがいい方向に行かず、予選で事前テストの状態に戻したという。ただ、ライダーのポテンシャルは折り紙付き。レースでは、台風の目になるかもしれない。 そしてカワサキのエース柳川明も「まだマシンのいいところを出せていないのが歯がゆいところ。筑波で優勝したことがあるし、まずはスタートを決めて前についていきたいね」と、こちらも苦戦気味だが、ペース次第では、トップグループに加わってくるだろう。 加賀山と同じく10年振りの筑波でのレースとなる芹沢太麻樹が6番手。ホームコースで健闘している藤田拓哉が7番手につけ、今野由寛、清水郁己、須貝義行と57秒台で続いた。 レースは、中須賀と高橋の戦いに、山口、加賀山、柳川が、どこまでついていけるか? そして中須賀が言うようにバックマーカーをどうかわすかがレースのカギを握ることになりそう。第1ヘアピンからダンロップコーナーなどでバックマーカーに引っかかってしまうと、あっと言う間に差がついてしまうからだ。ホールショット奪取率が高い加賀山のスタートダッシュにも注目したいところ。30周で争われる決勝レース。最終コーナーをトップで立ち上がってくるライダーは果たして!?。