全日本ロードレース選手権は、今回の岡山ラウンドでシリーズ8戦目を迎え、いよいよシーズンも大詰めとなってきた。JSB1000クラスは、最終戦が2レース制となっているため、今回のレースを含め残り3戦でタイトルが決まる。 タイトル争いは、高橋巧が100ポイントを獲得しリード。これを6ポイント差で柳川明、13ポイント差で津田拓也、14ポイント差で中須賀克行が追っている状況だ。シリーズ序盤をリードした秋吉耕佑は、第4戦筑波で負傷し、2戦のノーポイントがありながら暫定ランキング5番手につけ、今回が復帰戦となっていたのだが、思わぬ落とし穴が待っていた。秋吉は、事前テストでは、初日でいきなりトップタイムをマーク。驚異的な回復具合を見せており、公式予選Q1でも2番手タイムを記録していたのだがリボルバーコーナーで転倒。左鎖骨を骨折してしまい残念ながら決勝は欠場を余儀なくされてしまう。また、暫定ランキング6番手につけている加賀山就臣も、昨年負傷した左ヒザの状態を再手術したため今回は欠場となっており、代役として武田雄一が出場している。 そんなライバルを尻目に、Q1では、ただ一人1分28秒台をマーク。Q2でもトップタイムをマークし、タイトル防衛を目指す中須賀が今シーズン2回目のポールポジションを獲得した。「事前テストでタイムが出なかったのですが、レースウイークで昨年のセットに戻したらいいフィーリングになりました。アベレージもいいですし、タイトルを防衛するためには、勝つしかないですからね。スタートを決めてレースをリードしたいと思っています」とディフェンディングチャンピオンの意地を見せた。 2番手には、0.015秒差で渡辺一樹が自己最高グリッドに着けた。「グリッドがよくても筑波のときみたいに序盤で下がってしまっては意味がないので、とにかく序盤で離されないようにトップグループの走りをしっかり見たいと思います」とコメント。今シーズンよりTEAM GREEN入りしJSB1000クラスを戦う渡辺だけに、今回の岡山ラウンドを最高のレースにしたいところだろう。 フロントロウ最後の3番手グリッドを確保したのがヨシムラの津田だ。Q1では、ピットイン・アウトを繰り返しセットアップを進め、Q2で一気にタイムアップした。「事前テストでは、いいフィーリングでは、なかったのですがレースウイークに入ってからよくなってきましたし、安定してきました。中須賀選手が速いので、まずは離されないようについていき、勝負は、10周目以降ですかね。まずはスタートで遅れないようにしたいですね」と仕上がりは上々のようだ。 4番手となった柳川だが、トップとの差は、0.079秒と僅か。事前テストから着々とセットアップを進めてきており、久しぶりに表彰台の中央に上がりたいところだ。「仕上がりは悪くないですね。レースは、24周あるので、どれだけ29秒台で踏ん張れるかがカギでしょう。スタートを決めて序盤はしっかりついていって、後半で勝負ですね」と我慢比べになると語る。 そしてポイントリーダーの高橋は、5番手とやや精細を欠いた。「タイヤチョイスで悩んでしまい、思うようにタイムを詰められませんでした。レースは、15時過ぎなので路面温度がどれくらいになっているのかが気になるところです」と、まだ不安要素が残っているようだが、決勝でスイッチが入ればトップ争いを繰り広げるはずだ。 6番手の山口辰也まで1分29秒台をマークし、武田が自己ベストの1分30秒334で7番手、満身創痍の藤田拓哉が8番手、清水郁己が9番手と続いた。 レースの主導権は、アベレージのいい中須賀が握りそうだ。中須賀のペースに何人ついていけるかによって、レース展開が決まってくるだろう。中須賀独走の可能性もあるが、逃げることができなければレース終盤まで数台のトップ争いとなるだろう。タイトな後半セクションでバックマーカーを、どうかわすかが勝敗を分けるかもしれない。