今回のSUGOラウンドから本格的にシリーズ後半戦がスタートした全日本ロードレース選手権。最高峰のJSB1000クラスは、第3戦筑波から約3カ月ものインターバルを空けてのレースとなる。3レースを終え、JSB1000クラスは、中須賀克行が2勝を挙げ、ポイントをリード。高橋巧が11ポイント差、加賀山就臣が12ポイント差で追う展開となっている。事前テストは、6月中旬に行われたが、気温を始めコンディションが違うため、そのときのデータはほとんど使えない状態。Honda、カワサキは8月上旬にテストを行い、ヤマハの中須賀は、先週行われた全日本参加ライダー向けのスポーツ走行でテストを行っていた。一方、今回が復帰戦となる秋吉耕佑は、直前にテストを行わずにレースウイークを迎えていた。 金曜、土曜と残暑の厳しいコンディションのもとで各セッションは行われた。ここでセッションをリードしたのが中須賀だった。初日から1分27秒5をマーク。ノックアウト方式で行われた公式予選の最終セッションでは、1分27秒370をマーク。これまで伊藤真一が持っていたコースレコード1分27秒523を2年振りにブレイクした。 「ベストタイムを出した周は、全身全霊をかけて集中したし渾身のアタックでした。実際、走っていて体力的につらかったけれど、レコードを更新することができてよかった。アベレージは、28秒台中盤ぐらいで、序盤は27秒台に入ると思う。レースは、ポカミスだけは、しないようにしたいですね」と中須賀。すでに馴染んできていると思うが、ブリヂストンを履いてSUGOでレースをするのは、今回が初めてのことと言うことを忘れてはならない。 そして2番手につけた加賀山就臣も今シーズンからダンロップにスイッチ。Team KAGAYAMAでタイヤの開発を担い、進化してきた成果が目に見えて出ている。「確実にダンロップさんがステップアップしてきているのが分かるでしょう。Q1、Q2と同じタイヤを通して走っていたし、うまくレースメイクして、しっかり戦いたいと思います」とコメント。 そして帰ってきたゼッケン1、秋吉がフロントロウ最後の3番手につけた。「レースは、なるべく28秒台に入らないようにして、27秒台後半で走りたいですね。まだ、そこまで攻められるか分からない部分もあるのですが、ウイークに入ってからにしては、まずまずまとまった感じです」と秋吉。 トップ3が27秒台をマークしているのに対し、4番手の高橋は、1分28秒台を切ることができなかった。「8月上旬のテストのときは、いいフィーリングだったのですが、レースウイークに入ると全く違う感じになってしまい、予選まで使っていろいろセットをしてきましたがスムーズに走れていないですね。決勝朝のウォームアップでバシッと決めて、いいレースをしたいです」と、やや苦戦気味だ。 カワサキのエース柳川明は「自己ベストは更新しているのですが、みんな速いですね。うまくまとめれば28秒台前半まではいくのですが、27秒台になると難しい状況です。自分のペースを守って、終盤に勝負できるところにいたいですね」とコメント。 トップ争いは、中須賀、加賀山、秋吉の3人が繰り広げることになりそうだ。コンディションにもよるが、レース序盤は、1分27秒台というハイペースでの展開になるだろう。1分27秒台という"ふるい"に残った者が表彰台の中央に上がることになる。高橋と柳川のセットが決まればトップ争いに加わる可能性があるが、決まらなければ、山口辰也を含めた4番手争いとなることも考えられる。"絶対に取りこぼしのないようにしたい"と繰り返し語っていた中須賀が、どうレースメイクするか? 25周で争われる決勝レース。イニシアチブを握るのは、中須賀か? 加賀山か? そして秋吉となるのか? 最終ラップの10%勾配をトップで駆け上がってくるのは、果たして!?