J-GP3クラスは長谷川聖が前戦でシリーズチャンピオンを決めているが、ランキング2位を巡り各ライダーが今シーズン最後の決勝レースに臨んだ。 晴れているものの空気はやや冷たい午前10時、13周の決勝レースがスタートした。ホールショットはポールポジションの高杉奈緒子が奪い、鈴木大空翔、村瀬健琉、成田彬人と続いて1コーナーに進入する。しかし逆バンク立ち上がりで岡崎静夏がハイサイドで転倒。直後につけていた福嶋佑斗を始め、宇井陽一と高橋直輝の4台が絡む多重クラッシュが発生したため赤旗が提示。10時15分にサイティングラップ開始の再スタートが決定。周回数は13周のまま仕切り直しとなった。 2度目のスタートが切られると再び高杉がホールショットを奪い、村瀬、鈴木、成田の順に1コーナーに進入する。逆バンク入口で村瀬のインに鼻先を入れた鈴木が前を伺う。その鈴木をダンロップコーナーでインから刺した成田が3番手に浮上、しかし成田のスリップストリームを使ってバックストレートで鈴木が再び前に出る。鈴木はその勢いのままシケインで村瀬をパスして2番手に浮上する。この先頭集団に3列目8番手スタートの古里太陽が加わって来る。オープニングラップは高杉が制し、以下、鈴木、村瀬、成田、古里、細谷翼、安村武志、大堀和基、藤井謙汰の上位10台。 2周目の1コーナーでは、村瀬が鈴木を、古里が成田をかわしてそれぞれひとつずつ順位を上げる。ヘアピンで村瀬が高杉のインからトップに立つと鈴木、古里もスプーンカーブで高杉をパスする。鈴木と古里は130Rで村瀬をパス、さらに成田も高杉をシケインでかわす。2周目のコントロールラインは、鈴木、古里、村瀬、成田、高杉の順で通過するが、ホームストレートのスリップストリームを使って古里が鈴木を、高杉は村瀬と成田の2台をパスする。この上位5台、0秒755の中にひしめく団子状態で毎周トップが入れ替わる。1周目高杉、2周目鈴木、3周目古里、4周目村瀬、5周目成田。しかし、つば競り合いをしているうちに、後方から細谷、藤井、中山愛理が迫いつき先頭集団は8台のパックとなる。 7周目のヘアピン進入で中山が高杉のインに入ったところで2台が転倒、中山はすぐに再スタートするが高杉はコース上投げ出されてしまい残念ながらリタイアとなってしまう。今回が引退レースだった中山もピットまで戻ってきたが、そのままレースを終えている。 レース中盤から終盤にかけてトップグループは鈴木、村瀬、古里、成田、細谷、やや遅れて藤井、安村、そしてチャンピオンを決めている長谷川聖が加わり再び8台のパックとなっていた。中でもトップ5台は小排気量クラスならではの超接近戦を展開。S字コーナーで、逆バンクで、ヘアピンで、すきあらば鼻先をインに入れて前を伺う。特にバックストレートで3ワイド、4ワイドに広がりながら130Rに進入、その先のヘアピンでブレーキング勝負に出る。目まぐるしく順位を入れ替えながら周回を重ねていく。 そして鈴木、細谷、古里、成田、村瀬の順にコントロールラインを通過しファイナルラップに入って行く。1コーナーで古里が細谷をかわして2番手に浮上。最後のバックストレートでスリップストリームから古里が鈴木の前に出る。その先のシケインのブレーキング勝負、鈴木が古里のインを突いて最終コーナーを駆け下りてトップチェッカー! 大混戦の最終戦を制し今シーズン2勝目をマーク。2位には古里が入り全日本初表彰台。3位に細谷は、全日本2度目の表彰台だが勝てずに悔しさを露わにしていた。バックストレートで成田をかわした村瀬が4位、5位に成田、6位に長谷川、7位に藤井、8位に安村、9位に大堀、10位川瀬啓一郎のトップ10であった。
レーススタート