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2017全日本トライアル選手権シリーズ第1戦関東大会
2017年全日本選手権。今年も開幕戦は真壁トライアルランド。春は訪れたばかりだったが、当日はあたたかい日差しに包まれて、よいトライアル日和となった。
■国際A級スーパークラス
16名の参加者でにぎわった2016年シーズンから、今年は何人かが戦線を離脱し、何人かが新たにこのクラスに加わり、14名が開幕戦に顔をそろえた。
ルーキーはIAチャンピオンの久岡孝二(ヴェルティゴ)と磯谷玲(ベータ)のふたり。昨年までは各大会10位までがポイント獲得券だったが、今年からは15位までポイント獲得となり、いっぽう試合の締めくくりとしておこなわれるSS(スペシャル・セクション)に進出できるのは、通常ラップ終了時点での上位10名に限られる、ということになった。
12セクションと、これにSSがふたつ。すべてのクラスが2ラップするが、IBはこのうち10セクション、レディースクラスは8セクションで競われる。新たに開拓された新セクションも用意され、いつもより全体にセクションは厳しめ。下見を終えたライダーには一様に緊張感が走っていた。
IASにとっては超難関だったのが第3セクションと第9セクション。第3セクションでは、黒山健一(ヤマハ)がただひとり3点で抜け、それ以外は全員が5点だった。逆に言えば、2位以下にとってはイーブンで、これ以外のセクションでの仕上がりで、順位が入れ替わることになった。
そんな中、この日は小川毅士(ベータ)の好調と小川友幸(ホンダ)が絶好調でないところが目立った。もちろん小川毅士も絶好調ではないし、小川友幸もだめではないのだが、結果、黒山の一人勝ちを助けてしまったようなかっこうになった。
第9セクションでは、黒山がクリーン。ここもまたほかは全員が5点となったが、中でも小川友幸はバイクを投げ飛ばす大クラッシュとなり、自身も足を痛めて苦しい後半戦を戦うことになってしまった。
2ラップ目、小川友幸は調子を取り戻して1ラップ目より9点も少ない減点数をマークしたが、しかし2ラップを終えたところで、2位を守ったのは小川毅士だった。小川毅士と小川友幸の間にはわずか2点ながら差が残っていた。
そして2ラップを終えて、黒山は17点差をつけていた。残りはSSの2セクションのみだから、無事に2セクションを走り終えれば、たとえスコアは5点でも優勝は決まる。事実上、すでに黒山の勝利は決まったということだ。
今年からマシンを変更した野崎史高(シェルコ)は、採点カードを落として探し回るなどのアクシデントもあり、小川友幸に19点差をつけられて4位が決まってしまった。5位はその野崎に13点差の柴田暁(ヴェルティゴ)。6位には、柴田にさらに17点差で斉藤晶夫(ホンダ)が入った。斉藤が6位となったのは、これが初めてだ。
10位までに入ったのは、7位以降、野本佳章(ベータ)、8位吉良佑哉(ベータ)、9位久岡孝二(ヴェルティゴ)、そして10位に岡村将敏(スコルパ)。ここまでが最後のSSに挑む権利を持つ。ルーキーの久岡は、初めてのIASセクションに体当たりだったが、自他共に思ったよりも走破ができた、という印象だった。
SS第1はいくつかの大岩を越えてからのふかふかヒルクライム。ここは去年のSSでも登場していて、クリーンの可能性はあった。
最初にトライした岡村が2点、久岡が3点。実はここで、この二人は同点に並び、クリーン数差で岡村が久岡を逆転していた。野本は1点で抜けるも、吉良、斉藤、柴田と5点が続き、あるいはラインが荒れてきて走破が厳しくなってきたのではないかと心配もされたものだった。
野崎が2点、そして小川友幸、小川毅士、黒山健一が見事にクリーンして、2位争いの勝負は最終SSに持ち越された。
最終SSは新たに開拓した斜面をひたすら登っていく設定で、まだラインができていないようなむずかしさがあった。そしてトライするライダーがことごとく失敗して落ちていく。最初にここを走破したのは野崎だった。失敗したライダーを引き上げる際にわずかにできたラインをトレースして、野崎は3点でここを抜けた。そして次は、暫定3位の小川友幸。野崎が3点で抜けたラインを、完璧にトレースした。クリーンだ。このクリーンには、現場にいわせた多くの視線を釘付けにした。
小川毅士には、大きなプレッシャーとなった。2点は僅差だ。毅士も素晴らしいライディングで野崎、小川のラインに乗せてきたものの、ここでわずかに前輪を滑らせ、思わず足をついた。2点までなら2位は守れるのだが、ここで毅士は3点。なんと1点差で、2位は小川友幸が奪っていった。
最後のトライは黒山。黒山は、フューエルインジェクションのニューマシンのパワーを炸裂させ、難所の急坂を登ってきたが、毅士同様に前輪をやや滑らせてしまった。黒山は1回の足つきを上手に使った。結局、黒山は19点差で開幕戦を勝利することになった。
【黒山健一のコメント】
今日のセクションは難しかったです。他のライダーに惑わさせずに、自分の走りをこころがけたところが勝因ですね。ぼくだけが通過できた第9セクションのステアケース。今のニューマシンはああいうのが得意なんです。以前ならあれは行けなかった。第9についてはバイクに助けられました。そして勝利はわかっていてのSSでした。でも、最後に5点で終わると悔しいので、全力で走りました。やはりクリーンで終わりたかったです。まだ1戦終わっただけ。残り6戦を頑張ります。
【小川友幸のコメント】
結果2位。SSの逆転がよかったですね。優勝は今日は望めない状態でした。前半悪かったですが、今回はむずかしいので挽回できるのかなと思っていました。ところが挽回どころかミスが続いてしまいました。今回は第3がどうかなと思いますが、あとはクリーンが狙えるセクションだったとは思います。今回の結果、思いあたる原因はいろいろあります。改善していかないとまずいですね。毅士くんは登りが得意だから接戦になりましたね。SSではお互いプレシャーがかかりました。結果の2位は、シーズンのスタートとして最低限となりました。
【小川毅士のコメント】
自分のベストを出すことを目標にしました。だいたいその通りに走れたかなと思います。失敗しても、全力を出して失敗したんだなと感じられ、納得いく走りができていました。妥協したライディングはにならなかったと思います。1年ちょっとぶりの表彰台はうれしかったですが、最後の最後で2位を逃したのはくやしかった。昨年はずっと4番だったので、開幕戦から表彰台にのれたのははずみになります。今後、3位に甘んじることなく優勝めざしていきたいです。
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関東の山中悟史(ホンダ)が優勝。2位に15点差の大差だった。
しかしそれ以上に、今回の表彰台は特徴的。1位から6位までが、全員10代で占められた。2位倉持晃人(ガスガス・関東)、3位坂井佑樹(TRS・九州)、4位磯谷郁(ベータ・中部)、5位小倉功太郎(ホンダ・中部)、6位小野田瑞希(ガスガス・関東)。
この6人は、6人とも2016年に活躍したライダーで、坂井以外は一桁ゼッケンを持っているも、倉持以外は表彰台の経験がない。坂井は九州からの遠征で、去年の九州大会で6位となっている。若いライダーがそろって好成績を挙げてきているのは、今後が楽しみな展開だ。
15位までのポイント獲得ライダーを見ると、若手と大ベテランという、年代的には両極端のライダーたちが並んでいる。若手の台頭は毎年進んでいるが、いよいよ若手の強さが本物になってきた印象の国際B級クラスである。
参加者は72名。持ち時間はぎりぎりで、タイムオーバーとの戦いも勝負の重要な鍵となった。
【山中悟史のコメント】
セクション、けっこうむずかしくて、技術が要求されたと思います。調子は悪くなかったです。2ラップ目に入って、1ラップ目の結果を聞いて、これは今日はいけるんじゃないかと思いましたけど、でも時間もなかったので、油断しないで走るようにがんばりました。申告5点もタイムペナルティもなかったですが、残り時間は2分くらいでした。今年はいける感じがします
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2年目の開催となる全日本選手権レディースクラス。今回は4名のライダーが参戦した。
初代レディースチャンピオンの西村亜弥(ベータ)は、今年は排気料は300ccで変わらないながら、SSという扱いやすい車種に変更。ライディングや始動が楽になったという。
途中、ライバルの追い上げを感じて不安になったこともあるようだが、結果的には大差での勝利。チャンピオンの貫録を見せつけた。
2位は、今シーズンから4ストロークのマシンに乗り換えた小谷芙佐子(スコルパ)。昨年同様に厳しい争いとなるだろう2位争いは、まずは小谷が小玉絵里加(ホンダ)を下している。
【西村亜弥のコメント】
今日はセクションが難しいということで、神経戦ではないと思っていたのですが、第2セクションで、小谷さんが1点で抜けたのに私が3点、それで実は神経戦なのかと動揺してしまいました。2ラップ目は落ち着いて走れたのでまずはよかったです。今年は妹がアシスタントをやってくれて、やっぱり姉妹のコンビなので、やりやすかったです。ちょっとしたことであわててしまう課題をなんとかして、またがんばります。
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