2016年全日本ロードレースシリーズ最終戦が三重県・鈴鹿サーキットで開催された。「MFJグランプリ」は、各順位の規定ポイントに3点が加算される。チャンピオン争いは徳留真紀(第8戦終了時点:92ポイント)と栗原佳祐(第8戦終了時点:88ポイント)に絞られた。
決勝日も朝から穏やかな好天。午前10時5分、12周によるJ-GP3クラスの決勝レースがスタートした。ホールショットはポールポジションの徳留真紀が奪う。2番手中村大輝、3番手栗原佳祐、4番手伊達悠太の順に1コーナーに進入する。2コーナーでクロスラインから栗原が中村の前に出て2番手。デグナーひとつめで伊達が中村をかわして3番手に浮上。オープニングラップは、徳留、栗原、伊達、1秒後方に中村、安村武志、船田俊希、古市右京のセカンドグループ、その後方に佐藤励、宇井陽一、岡崎静夏、菊池寛幸、関野海斗、高杉奈緒子のサードグループに分かれていた。2周目の1コーナーでは、安村が中村をかわして4番手に浮上。その周の2輪シケイン立ち上がりの200Rで中村と船田が絡み転倒、早くも戦列から離れてしまう。これで安村が単独の4番手、古市が単独の5番手となる。
トップ3台のペースが速い。4番手以下が2分20秒から21秒台なのに対して2分18秒台でラップ、3周目には4番手の安村に4秒728もの差を広げ、3台で激しい接近戦を展開する。3周目の130R、栗原が徳留の前に出るが、シケインのブレーキングで伊達が一気に徳留と栗原をかわしてトップに躍り出る。しかしホームストレートでスリップストリームから抜けた栗原が伊達の前に出てトップを奪う。伊達は逆バンク、ダンロップ、デグナーで栗原のインをつく揺さぶりをかけ、130Rから最終シケインにかけて今度はアウトからかぶせて栗原をパス、再びトップでコントロールラインを超えるが、ストレートの伸びが速い栗原にかわされてしまう。
先頭集団の後方、5番手争いに変化が出てきた。宇井が古市をかわして5番手に浮上、菊池が古市をかわして6番手、古市は7番手にポジションダウンする。その後、宇井はペースを上げて5周目のホームストレートで菊池に2秒043の差を広げ、逆に前を行く4番手の安村との差を0秒683に縮める。その勢いで6周目のスプーンカーブで安村をかわして4番手に浮上する。安村も宇井と同じラップタイムでピタリとつきこちらも接近戦を展開する。
さらにその後方、8番手争いは、関野、大澤恒貴、岡崎、21番グリッドスタートの山本恭裕、高杉の5台が数珠つなぎとなって激しいバトルを展開する。この中から岡崎が次第に順位を上げ7周目のホームストレートではこの集団の先頭、8番手に浮上する。さらにこの8番手争い集団が前方の6番手争いグループ菊池/古市に近づいて7台の列となる。高杉が徐々に遅れ始め6番手争いは1秒の中に6台がひしめく集団となり順位を入れ替えながら周回を続ける。
トップ争いは相変わらず抜きつ抜かれつの接近戦を繰り返す。伊達は最終シケインでアウトからインから、自在に前に出る。栗原はストレートの伸びを生かして1コーナーで前に出る。徳留は前の二人のバトルの様子を見ながら揺さぶりをかける。5周目伊達→栗原→徳留、6周目栗原→伊達→徳留、7周目栗原→徳留→伊達、8周目徳留→栗原→伊達、と毎周順位を変えなが三つ巴の激しいバトルを展開する。
レースも残すところ2周となった10周目のコントロールラインを徳留、栗原、伊達の順に通過、11周目の1コーナーで栗原が徳留のインをこじ開けてパスするも、S字で徳留が抜き返す。ヘアピンで徳留をかわして栗原がトップ浮上、しかしバックストレートで徳留が前に出る。130Rからのシケイン進入で栗原が徳留のインを刺す、わずかにアウトに膨らんだ徳留のインに伊達が入り、栗原、伊達、徳留の順にコントロールラインを通過し、ファイナルラップに突入して行く。1コーナーで徳留が伊達をパス、2番手浮上。デグナーひとつめで徳留がトップに浮上、しかしデグナー二つ目で栗原がギリギリのインを突くと、立ち上がりでわずかにアウトにふられた徳留のインに伊達が飛び込み2輪シケイン進入で徳留をかわす。栗原、伊達、徳留の順にヘアピンを立ち上がり、いよいよ最後のバックストレート。伊達のすぐ背後に徳留がつきスリップストリームを使うも抜けない。伊達はシケイン進入でアウト側にラインを変えて栗原にかぶせてくるが栗原が前、そのままトップチェッカーを受ける。一方、シケイン二つ目の立ち上がりで伊達が僅かに振られ失速、そのほんの一瞬を突いて立ち上がり加速に乗った徳留が最終コーナーで伊達をパスして2位でフィニッシュ! 伊達は3位チェッカーとなった。注目のチャンピオン争いは、徳留117ポイント(92+25ポイント)、栗原116ポイント(88+28ポイント)となり、僅か1ポイント差で徳留が4年振りのシリーズチャンピオンを決めた。
宇井と安村の4位争いは、安村が制した。最後まで6台で争っていた6位争いは菊池が制し、7位関野、8位大澤、9位岡崎、10位古市、11位山本の順でチェッカーを受けた。 |