今年もSUGOラウンドは、120マイル(約194km)で争われる。1周3737.5mのスポーツランドSUGOを52周することになり、必ず1度はピットインしなければならないレギュレーションとなった。昨年は、大雨のためにレースがディレイ。40周に短縮され、ピットイン義務がなくなり波乱の展開となったが、今年は、どんなレースとなるのか!? セミ耐久レースとなるだけにライダーは1人でも2人でもOKという、このレースだけの特別なルール。ほとんどが1人で走るが、Team GREENの柳川明/渡辺一樹、au&テルル・Kohara RTの秋吉耕佑/渡辺一樹、YAMALUBE RACING TEAMの野左根航汰/藤田拓哉、CONFIA Flex Motorrad39の酒井大作/武石伸也組など7チームが2人でエントリーしている。2人だと体力的な部分では有利となるが、同じマシンを同じ速さで走らせることができるとは限らない。マシンセットの相性など様々な要因が絡んでくるが、ピタリとハマったときは強いだろう。 金曜日の走行はドライコンディションとなり事前テストから速さを見せている中須賀克行が、さらにセッティングを詰めながら午後の走行でロングランを敢行。その中で1分26秒741というコースレコードを上回るタイムを出していた。事前テストでは1分26秒669を記録しており一発タイムならば、もっと出すことができると語り、あくまでも決勝を見据えてマシンをセットアップしてきていた。しかし、この日の夜から雨が降り始め東北地方は観測史上最も遅く梅雨入り宣言が出されていた。雨は、そのまま降り続き土曜日のスポーツランドSUGOは一日中雨模様となった。 JSB1000クラスは、1時間の計時予選で争われたが2度、赤旗中断があるなど波乱含みのセッションとなった。その中で光る走りを見せたのは秋吉耕佑だった。Honda CBR1000RRのキット車ながら水を得た魚のようにウエット路面を積極的に攻めリーダーボードのトップに立つ。秋吉は、セッション終盤に、さらにタイムを更新し1分36秒160をマーク。他のライダーは1分37秒を切ることができないでいただけに、このまま秋吉がポールポジションを獲得するかと思われた。しかしゼッケン1をつける男が、それを許さなかった。中須賀は1分36秒台に入れると、1分35秒710までタイムを上げ3戦連続ポールポジションを獲得する。 「今年は、マシンがフルモデルチェンジしただけに、各サーキットで初めて走らせる状態が続いていますが、レースをこなしていく度にマシンはまとまってきています。ただ、ドライのセットでウエットを走ることができていないので、もしウエットからドライに変わっていくような路面コンディションだと難しいレースになるかもしれません。ドライならドライ、ウエットならウエットで走りたいですし、いいレースができる自信があります」と中須賀。 2番手につけた秋吉は、「雨はいい状態にありますね。タイムも一発ではないですし、1分36秒台で周回できると思うのでレースはウエットコンディションになって欲しいですね。ウエットならば、まず序盤は、様子を見てレースメイクしていきたいと思っています」とウエットならば自信があると語る。 3番手にはウエットが苦手だと言っていた高橋巧がつけた。「トップとはタイム差があるけれど、方向性は見えて来ました。まだ秋吉選手が普通に入っていけるコーナーを躊躇してしまうところがあります。レースは長いので川になっている部分など路面コンディションを見ながら走って行こうと思っています」と冷静に自分自身の状況を把握していた。 昨年、このレースで劇的な優勝を果たしている加賀山就臣も、ウエットコンディションで気を吐き4番手につけた。「昨年の経験もありますし、あくまで決勝を見据えて予選を走りました。ロスしているポイントもハッキリしていますし、そこを解決できればいいレースができると思います」と2年連続優勝を虎視眈々と狙っている。 山口辰也、渡辺、今回がYAMALUBE RACING TEAMで初レースとなる藤田、津田、酒井、浦本修充と、どのライダーも上位に食い込んでもおかしくない実力の持ち主。スタートはマシンにライダーが駆け寄るル・マン式。レース序盤は、各ライダーがけん制しながらペースをつくっていくことになる可能性が高いが、逃げることができるならば序盤からペースを上げて来るだろう。ウエットならば中須賀と秋吉、そして加賀山が仕掛けてくる可能性がある。ピット作業でバックアップするチームワークも見どころの一つ。果たして120マイル先のチェッカーフラッグを真っ先に受けるのは?