レース1は、フロントロウイン側の3番手グリッドから好スタートを見せた秋吉耕佑がホールショットを奪い、そのままレースをリードしていく。これをポールポジションの中須賀克行がピタリとマークし、3番手以下をやや引き離す。セカンドグループは、津田拓也を先頭に高橋巧、柳川明の3台が形成。3周目のスプーンカーブ進入では、高橋が、バックストレート柳川が、それぞれ津田をかわしてポジションを上げると2人とも2分06秒台に入れ、一気にトップグループに接近していく。5周目には、5台にトップグループがふくれ上がる。柳川は、圧倒的なストレートスピードを武器に3番手に上がると、7周目のホームストレートで中須賀の前に出ていく。しかし、それも束の間だった。直後のS字コーナーから逆バンクへの切り返しで中須賀と接触し、柳川は、5番手に後退してしまう。そこから柳川は、バックストレートで高橋を、ホームストレートで津田をかわし再び3番手に浮上する。その後も柳川、津田、高橋は、バックストレートでスリーワイドになるほどの激戦を繰り広げる。
そのバトルを尻目に中須賀は、10周目の逆バンクで秋吉をかわしてトップに浮上すると、そのままスパートをかける。このペースに秋吉はついていけず逆に後方から来た津田に11周目の逆バンクでかわされてしまう。柳川も、これに続き12周目に秋吉をかわして3番手に上がると、バックストレートで津田をもかわし2番手に浮上する。その後も柳川と津田のバトルは、続き最終ラップの勝負になるかと思われた。しかし、逆バンクで出口修が転倒し、コース上にライダーが残ってしまったため赤旗が提示される。レース結果は、14周終了時点で成立となり、中須賀が鈴鹿フルコースで初優勝を飾る。柳川が2位、津田が3位、秋吉が4位、高橋が5位と続いた。6位争いは、山口辰也が渡辺一樹とのバトルを制す結果となった。レース1終了時点のランキングは、柳川が141ポイントでトップ、中須賀が2ポイント差、高橋が4ポイント差、津田が11ポイント差で続き、運命のレース2を迎えることになった。
タイトル防衛を目指す中須賀がスタートダッシュを見せホールショットを奪うが、秋吉もアウトから並びかけていきS字コーナー進入でインに入りトップに立つ。以下、高橋、柳川、渡辺、山口、酒井大作と続き、津田は8番手と大きく出遅れてしまう。勝ってチャンピオンを獲りたい柳川は、バックストレートで中須賀と高橋を一気にパス。中須賀も負けてはなくシケインで柳川を抜き返す。オープニングラップは、秋吉が制し、中須賀、柳川、渡辺、高橋と続く。高橋は、2周目のデグナーカーブ進入で渡辺をかわすと3周目のスプーンカーブで柳川をかわす。バックストレートで柳川に抜き返されるもののシケインで再び高橋が前に出る。高橋は、3周目にファステストラップをマークする積極的な走りを見せ、さらに前を走る中須賀のテールを捕らえると4周目のヘアピンでインを突き2番手に浮上する。 だが中須賀は、すぐに高橋を抜き返し、5周目は、秋吉、中須賀、高橋、柳川のオーダーで突入する。この頃から雨が落ち始めレッドクロスフラッグが提示される。ここで秋吉が手を上げ、これにトップグループを走るライダーが呼応するが、後方から来た渡辺が追い越し一気にトップに立つ。レースは中断されることなく進行し、スローダウンしていたライダーもあわててペースアップする。6周目には、渡辺をトップに3秒650差で中須賀が追い、高橋、山口、秋吉、柳川と続いていく。真っ先にリカバーした中須賀は、7周目の逆バンクで渡辺を捕らえトップに浮上すると、そのまま独走態勢を築いていく。その後方では、渡辺のテールに高橋、柳川が迫り、8周目に高橋が2番手に浮上。渡辺は、柳川に前を譲ると、バックストレートで柳川が高橋をかわす。9周目には、高橋がダンロップコーナーで、10周目には、柳川が1コーナーで前に出ると、このバトルも決着。高橋の背後には、ペースを上げてきた渡辺が迫り11周目のシケインで前に出ると、12周目に自己ベストをマーク。高橋は、ペースが上がらず渡辺に置いていかれてしまう。 中須賀は、危なげない走りでトップのままゴール。最終戦をダブルウインで制し、今シーズン5勝をマーク。大逆転で2年連続4度目のJSB1000チャンピオンを獲得した。柳川は、2位でゴールし、僅か1ポイント差のランキング2位と悔しい最終戦となった。3位に渡辺が入り、JSB1000クラス初表彰台を獲得。以下、高橋、秋吉、山口、津田、酒井、今野由寛、藤田拓哉と続くトップ10となった。