霧雨が降るツインリンクもてぎは気温も低下、春とは思えない寒さのなか、路面温度も上がらず難しいコンディションで、J-GP3の決勝が行われた。ウエット宣言が出されたため、レースは2周減算され、14周で争われることになった。
ホールショットを奪ったのは2列目、5番グリッドからスタートした山田誓己。徳留真紀、山本剛大、國峰琢磨らが続いていく。山田はオープニングラップで後続に約1秒の差を付けコントロールラインに戻ってくる。2番手には、一つポジションを挽回したポールシッターの國峰。これに徳留が僅差で続き、山本、大久保光、宇井陽一、長尾健吾、菊池寛幸、亀井雄大の順でコントロールラインを通過していく。
トップを行く山田に追いつきたい國峰だったが、その思いとは裏腹に2周目の90度コーナー先で縁石に乗りスリップダウン。セカンドアンダーブリッジ下で転倒してしまう。再び2番手となった徳留と、トップの山田との間には2秒以上の差がついていた。徳留の後方には集団から抜けだした菊池が迫る。大久保、宇井、山本、デニー・トリューゴ、亀井、栗原佳祐、長尾の7台が4番手を争うグループを形成。
菊池は3周目には徳留に追いつき、4周目の5コーナーで2番手に浮上すると、さらにペースを上げ、山田との差を詰めていく。5周目にはその差をコンマ6秒まで縮めていた。そして、6周目のヘアピンカーブで、菊池は山田を捕らえトップに立つ。山田の後方は徳留、大久保、亀井の順に単独走行となっていた。さらに後方では、宇井、長尾、山本が6番手を争っていたが、ここから山本が抜けだし、一時は約2秒あった差を詰め8周目には亀井の背後に迫る。
11周目までトップの菊池と2番手の山田にポジションの変化はなく、1秒3離れて徳留が3番手を走行。さらに2秒1の差で大久保が4番手。山本はこの周に亀井を抜き、5番手に浮上する。12周目、山田が1コーナーで菊池のインに飛び込みトップに返り咲く。これまで一騎打ちだったトップ争いに、徳留が追いつき、3台によるバトルへと変わる。この争いに追いつこうと、ペースを上げて11周目に、このレースのファステストラップとなる2分10秒547をマークしていた大久保は、90度コーナーで痛恨の転倒を喫してしまう。これにより、トップ争いから約7秒離れて4番手につけたのは山本。亀井が僅差で続く。
13周目、S字カーブの2つめで菊池が山田をかわし再びトップに立つ。しかしその後、90度コーナーでは、またも山田がトップを奪い返し、菊池、徳留の順で最終ラップを迎える。
1コーナーで徳留が菊池の前に出て2番手に浮上。菊池はS字カーブで、そのポジションを奪い返すと、ヘアピンカーブで山田もかわしトップに立つ。菊池、山田、徳留の順にヘアピンを立ち上がると、ダウンヒルストレートでのスリップストリームを利用して徳留が2台のインから真っ先に90度コーナーに進入しトップに立つ。山田はアウトにラインを振るが、菊池も負けじとレイトブレーキングをしていたため、両者のラインが交錯し軽く接触。菊池はバランスを崩しながらも90度コーナーを2番手でクリアするが、その先のセカンドアンダーブリッジ下でも再び山田と接触し菊池は転倒を喫してしまう。これで徳留が優勝かと思われたが、ビクトリーコーナー立ち上がったところで徳留がハイサイド転倒。山田がトップでチェッカーを受け念願の全日本初優勝を達成した。
それまで4番手争いをしていた亀井が2位に上がり、全日本初の表彰台を獲得。事前テストで左親指の付け根を骨折している山本がコンマ5秒差の3位でチェッカーを受けた。以下、宇井、長尾、小室旭、藤井謙汰(章典外)、岩戸亮介、栗原、水野涼、鳥羽海渡の順でチェッカーを受けている。 |