天気予報通り、雨模様となった鈴鹿サーキット。レース1は、ヘビーウエットの戦いとなった。ポールポジションからスタートした秋吉耕佑がホールショットを奪い中須賀克行、山口辰也、高橋巧、柳川明と続いていく。秋吉は、オープニングラップからハイペースで飛ばし中須賀との差を開いていく。そのまま独走態勢を築くかと思われたが、中須賀もペースを上げ、5周目には、このレースのファステストラップをマークすると、秋吉の背後につける。一方、3番手には、山口をかわした高橋が上がり、単独走行になっていく。山口の背後には柳川がいたが、柳川が遅れ、それぞれ単独走行となる。 秋吉と中須賀のトップ争いは、10周目に入った時点で0.353秒差だったが、秋吉が再びペースアップすると、その差は一気に2秒、4秒と広がっていく。この時点で、中須賀は2位でゴールすればチャンピオン決定という場面。雨足が強くなってきており、慎重に走っていたという中須賀だったが、最終ラップの1コーナーでハイドロプレーニング状態になってしまい痛恨のクラッシュ。そのまま再スタートはできずリタイアとなってしまう。秋吉はウイリーゴールを決め、待望の今シーズン初優勝を飾り、2位に高橋、3位に山口が入り今季2度目の表彰台に上がった。中須賀は、完走扱いになったが21位とノーポイント。柳川が4位となったため、その差は、7ポイントに縮まりレース2を迎えることになった。 悪天候のため周回数が15周から12周に減算して行われたレース2。今度はセカンドグリッドの高橋が好スタートを切り、ホールショットを奪うが、秋吉が2コーナーでインから前に出てトップに立つと、異次元の走りでレースをリード。オープニングラップだけに、2番手の高橋に2秒845もの差をつけてホームストレートを通過していく。中須賀は、スタートで山口にも前に行かれたが、オープニングラップのシケインで前に出て3番手に浮上。高橋の背後につける。レース序盤は、秋吉が早くもトップを独走し、高橋、中須賀、山口、柳川の4台がセカンドグループを形成。4周目のバックストレートでは、柳川が山口をかわし4番手に浮上。山口も必死についていっていたが、7周目にマシントラブルが発生し、リタイアを余儀なくされる。これに呼応するように、高橋も同じく7周目にスローダウン。ピットインし、再スタートするものの大きく遅れてしまう。一方、トップを走る秋吉は、毎周ペースを上げ、この7周目にファステストラップをマーク。8周目に入る時点で、2番手の中須賀に18秒以上の大量リードを築いていた。 レース終盤になり、中須賀の背後につけていた柳川がヘアピンの立ち上がりで並びかけると、2輪シケインで前に出ていく。秋吉は、ぶっちぎりの独走で、またもウイリーでチェッカーを受け、ダブルウインで2012年シーズンを締めくくった。柳川は2位でゴールし、5ポイント差のランキング2位となった。中須賀は3位でフィニッシュし、3年振りにJSB1000チャンピオンとなった。4位に芹沢太麻樹、5位に安田毅史と続き、レース終盤にトップと変わらないペースで走った藤田拓哉が6位に入賞した。以下、今野由寛、須貝義行、徳留和樹、出口修、武田雄一、東村伊佐三、清水郁己、片平亮輔、吉田光弘と続いた。
2012年各クラス新チャンピオン(写真左から) JSB1000/中須賀克行(ヤマハYSPレーシングチーム) ST600/DECHA KRAISART(Yamaha Thailand Racing Team) J-GP2/渡辺一樹(RS-ITOH&ASIA) -GP3/徳留真紀(MuSASHi RTハルクプロ)