天候の悪化により、J-GP2クラスは当初の予定より約2時間遅れ、この日のレーススケジュールの最後に開催された。周回数も7周減算、超スプリントの8周で争われた。レースがスタートする頃には雨は小降りになっていたものの、コースは完全なウエットコンディションだった。 3番グリッドから好スタートを決めた野田弘樹がホールショットを奪うが、1コーナーのアウト側から渡辺一樹が野田をパス。高橋英倫が続き、2コーナーで野左根航汰の前に出た生形秀之が4番手につける。S字コーナーの進入で高橋が野田を抜き2番手に浮上。野左根もヘアピンカーブで生形をパス、スプーンカーブの進入で野田も抜き3番手までポジションアップ。130Rでは生形が野田を抜くなど、ポジションが激しく入れ替わる。 オープニングラップを終え、トップは渡辺。1秒あまりの差を開け、高橋、野左根、生形、野田、岩田悟がグループになって渡辺を追う。2周目、ダンロップコーナーで岩田が野田を抜き5番手につける。スプーンカーブの進入では野左根が高橋を抜き2番手に浮上すると、渡辺との差を詰めていく。 野左根は3周目の1コーナーで渡辺を捕らえ、トップを奪うと、渡辺を引き離し、1周で1秒以上の差を付ける。また、スプーンカーブの進入では生形が高橋を抜き3番手につけると、翌周のヘアピンカーブでは渡辺をも抜き2番手に浮上する。渡辺はスプーンカーブで岩田にもかわされてしまう。4周を終えた時点で、野左根は約3秒のマージンを築き、2位争いは生形、岩田、渡辺、高橋の順にコントロールラインを通過していく。 5周目に入り、S字コーナーの進入で渡辺は高橋にもかわされてしまうが、130Rでポジションを奪い返す。6周目にも高橋は同じS字コーナーで渡辺に仕掛けるが、今度は渡辺が抑えきる。2位争いの4台のなかでは、生形と岩田、渡辺と高橋の、ふたつのバトルが展開されていた。残り1周となった7周目、岩田が逆バンクで生形のインを挿し2番手を奪う。しかし西ストレートでは生形のスピードが伸び130R手前で生形がポジションを取り戻す。 トップを独走したまま、野左根が今季2度目の優勝を決めた。最終ラップでファステストラップをマークした生形が、一時は約4秒あった野左根との差を約2秒まで詰め、2位でゴール。3位の岩田とも0.8秒あまりの差を広げた。渡辺と高橋のバトルは、最終ラップのヘアピンカーブで高橋が渡辺を抜くも、最終コーナーの立ち上がりで渡辺が僅かに前に出て4位でチェッカー。高橋はおよそ100分の5秒という僅差で5位となった。 渡辺はポイントリーダーの座を死守し、全日本で初めてのチャンピオンを獲得。生形は僅か2ポイント差のランキング2位。優勝した野左根が2つポジションを上げ、ランキング3位でシーズンを締めくくった。
2012年各クラス新チャンピオン(写真左から) JSB1000/中須賀克行(ヤマハYSPレーシングチーム) ST600/DECHA KRAISART(Yamaha Thailand Racing Team) J-GP2/渡辺一樹(RS-ITOH&ASIA) -GP3/徳留真紀(MuSASHi RTハルクプロ)