この日、最初の決勝レースとなったST600クラス。レース開始直後から雨足が強くなりヘビーレインとなっていく。ホールショットは、セカンドグリッドからスタートした井筒仁康が奪う、大崎誠之、岩崎哲朗、デチャ・クライサー、稲垣誠、中冨伸一と続いていく。S字コーナーでは、稲垣がデチャをかわして4番手に浮上。トップを走る井筒は、ハイペースで飛ばし、2番手以下を引き離しにかかる。大崎、岩崎と続くが、岩崎は最終コーナーで痛恨のクラッシュ。早くも戦列を離れてしまう。井筒、大崎、稲垣と続き、アズラン・シャー・カマルザマンが4番手に浮上してくる。逆転チャンピオンの可能性をただ一人残していた中冨伸一は、12番手でオープニングラップを通過。さらに追い上げていきたいところだったが、3周目のS字コーナーで國川浩道と藤島翔太が転倒したアクシデントの影響を受けコースアウト。グラベルにはまってしまい最後尾まで順位を下げてしまう。この時点で、ほぼデチャのタイトルは決まっていたのだが、5周目の130Rで9番手を走っていたデチャがまさかの転倒。再スタートするものの、マシンのダメージが大きくピットイン。そのままリタイアとなってしまう。 トップをいく井筒は、完全に独走態勢を築いていたが、残り5周を切った辺りから電機系のトラブルが発生してしまいスローダウン。残り2周を切ったバックストレートから130Rで大崎が井筒をかわしてトップに浮上。そのままゴールし優勝を飾った。2位には最終ラップに井筒をかわした稲垣が入り、井筒は何とか3位でゴールした。4位にアズランが走り、5位には最終ラップに手島雄介が浮上、6位に西嶋修が入った。以下、渡辺一馬、小林、チャランポン・ポラマイ、清水直樹と続くトップ10となった。 中冨は、最後尾から19位まで追い上げたが、デチャには届かず。デチャが、タイ人ライダーとして初めて全日本チャンピオンに輝いた。また、ST600クラスが始まった2001年以来、Hondaがタイトルを独占していたが、初めてヤマハが、その栄冠を手にした。
3位:井筒仁康/RS-ITOH&ASIA 『最後は電機系のトラブルが出てしまい、シフターも入らなくなってしまっていました。シフトアップでギアが入らなくなっていましたし、回転の失火も多かったので、なるべくごまかしながら何とかゴールを目指していました。後ろから大崎選手が来ているのが分かっていましたので、このまま走っていても危なかったですし、後ろ見て譲るしことしかできなかった。稲垣選手が来たのも分かっていたので譲って、何とか3位でゴールできました。今回は、3周ぐらい本気で雨を走ろうと思って飛ばしたら、うまくリードできたのですが、勝てなくて悔しいですね。ただ、速さは証明できたと思っています』