シリーズ第8戦を迎えた全日本ロードレース選手権。JSB1000クラスは、最終戦が2レース制で行われるため、今回の岡山ラウンドを含め残りは、2戦3レースとなる。今シーズンは5戦を終え、中須賀克行が抜群の速さと安定感で3勝をマークし、2位2回というリザルトでランキングトップをひた走っている。事前テストから好タイムをマークしており、今回も中須賀がセッションをリードしていくかと思われたが、その前評判通り全セッションでトップタイムをマークし、4戦連続のポールポジションを獲得した。 「4戦連続のポールポジションなんて、今まで一度もなかったですから、うれしいですね。今日は、昨日に比べてかなり気温、路面温度も下がったので、セッティングのアジャストが必要かと思ったのですが、意外とそのままでも乗ることができましたし、アベレージも悪くないです。最後のセッションでは、28秒台に入れたかったのですがギリギリポールポジションを獲れましたね。決勝は、間違いなく秋吉さんとの一騎打ちになるので、勝てるように頑張ります」と自信満々。 この中須賀を止め、今シーズン初優勝が欲しいのがゼッケン1をつける秋吉耕佑だ。開幕戦の練習走行で転倒し負傷、前半戦を欠場していた秋吉だったが、第6戦SUGOから復帰。ここ2戦は、レースを引っ張る速さを見せるものの、どちらのレースもコースアウトを喫し4位という不本意な結果に終わっている。Q3では、セッション序盤をリードしたものの4/1000秒という僅差で2番手となった。 「"前回は惜しいレースだったね"と多くの方に言われたのですが実は厳しい状態でした。今回は、事前テストから順調にきていますし、マシンがようやくいい状態になってきました。予選は28秒台に入ると思ったのですが、少し届きませんでしたね。レースは、29秒台の戦いになると思います。中須賀くんとの一騎打ちですね」 3番手につけたのがカワサキのエース柳川明だった。 「事前テストから、なかなかいいフィーリングが得られず、金曜日まで引きずってしまった。今日はガラリとセットを変えたのですが、Q1からようやくいいフィーリングになってきました。それでも30秒台の頭でしたから、そのままでは上にはいけないので、もう一つ上にいきたいところでした。岡山は序盤に離されると厳しいのでスタートを決めて、粘れるだけ粘ります。今回は、(加賀山)就臣も(高橋)巧もいないので、こういうときこそイキたいよね」と虎視眈々と表彰台の中央を見据える。 この柳川のテールを捕らえつつあるのが、市販キット車を駆る山口辰也だ。「すべりやすい路面だった事前テストの状態にマシンを合わせてきたら、レースウイークに入って路面コンディションがよくなってきたので、マシンをアジャストしたのですが、思ったよりタイムを出せませんでした。ただ、原因はハッキリしているので、決勝は、もっと速く走ることができると思います。岡山は、チームのホームコースなので、いいレースにしたいですね」と今季2度目の表彰台を狙っている。 5番手の今野由寛も1分30秒台に入れ、今シーズン一番の仕上がり。以下、東村伊佐三、清水郁己、武田雄一、藤田拓哉、片平亮輔など1分31秒台をマークしたライダーたちのバトルも熾烈になりそうだ。 前戦のオートポリスで負傷した加賀山就臣と高橋巧は、ケガが癒えないことから今回は残念ながら欠場。公式予選までの結果を見ると、レースは中須賀と秋吉の一騎打ちになる可能性が高いが、トップ2のペースに柳川がついていくことができれば、三つ巴のトップ争いとなるかもしれない。柳川のペースが上がらなければ、その背後に山口が迫る展開となるだろう。いずれにせよ中須賀か秋吉のどちらかがレースをリードしていくことは間違いない。イニシアチブを握っているのはどちらだ!?