全日本ロードレース選手権は、シリーズ第7戦を迎えた。今回の九州大会は、タイトルを争う上でのターニングポイントとなるレースとなりそうだ。事前テストをレースウイークに組み込まれたため、水曜日から走行を開始。さらにアジア選手権と併催ということで、金曜日から1セッションのみの走行で行われた。レースウイーク初日となった水曜日にアクシデントが発生した。ハルク・プロのエース高橋巧が、アンダーブリッジ下の手前で転倒、右鎖骨外側を骨折してしまい欠場を余儀なくされてしまう。急遽、アジア選手権SS600クラスにエントリーしている清成龍一が代役として参戦することになり、清成はダブルエントリーすることになった。木曜日から走り始め、すぐに1分50秒台をマークする非凡な才能を見せていた。 土曜日の天気予報は下り坂だったが、晴れ間も見えるほど予報は外れ、ドライコンディションで公式予選が行われた。ただ、Q1が始まったときは、雲が広がり、いつ雨が降ってきてもおかしくない天候だったため、各ライダーは早めにタイムアタックに入っていった。このQ1で1分49秒096という新しいコースレコードをたたき出したのは、秋吉耕佑だった。2番手に加賀山就臣、3番手に中須賀克行と続き、トップ3がコースレコードをブレイク。Q2では、加賀山、中須賀、清成、秋吉、柳川明と1分49秒台で続いた。 そして上位12台が進出できるQ3が始まるが、開始直後の最終コーナーで加賀山が激しくクラッシュ! このアクシデントのため赤旗が提示され、加賀山はメディカルセンターに運ばれる。加賀山は、その後、ヘリコプターで福岡の病院に運ばれ右股関節脱臼と左足頸骨骨折という診断。今回はグリッドに並ぶことは難しそうだ。 この中断をはさみ、セッションは再開される。まず秋吉が、真っ先に1分48秒台に突入。これを見た中須賀もタイムアタックに入ると1分48秒794という驚速タイムをマーク! 前回に続きコースレコードを更新する走りでポールポジションを獲得した。「ベストタイムを出した周は、1コーナーで突っ込みすぎてしまったのですが、他が決まったので、いいタイムを出すことができました。今シーズンは、タイヤがブリヂストンさんに変わって、毎回初めて走るコースばかりですが、いい感じに集中できています。前回のSUGOも、ポールポジションでしたが、決勝で負けているので、今回は、しっかりレース後半で勝負できる車体に仕上がっていると思います。天候が気になるところですが、ドライでもウエットでもいいレースをしたいですね」と中須賀。 惜しくも2番手に終わった秋吉は「コンマ1秒足りませんでしたが、出せないタイムではないと思います。決勝では1分49秒台前半で走れればいいですね。前回のような問題も出ないと思いますし、全日本ではしばらく気持ちのいいレースをしていないので、九州でいい走りをお見せしたいと思っています。応援よろしくお願いします」とマシンの仕上がりは上々と自信のコメント。 そして3番手に高橋の代役の清成がつけた。「マシンは巧のセットを少しアジャストしたぐらいで乗っています。ただ、パッと出て勝てるほど甘いクラスではないので、トップ争いをすることは難しいかもしれませんがベストを尽くします。ボクが走ることで、喜んでもらえれば幸いですし、ボク自身もプラスになっているので頑張ります」と清成。高橋のためにも必ずチェッカーを受けると語っていた。 カワサキのエース柳川もコースレコードをブレイクし予選4番手につけた。「予選はちょっとタイミングが悪かった部分がありましたね。アベレージも悪くないので、前に出て抑えられれば勝機が見えてくると思います。 5番手に市販キット車ながら1分49秒台に入れた山口辰也がつけ、6番手にドゥカティを駆る須貝義行が続いた。以下、芹沢太麻樹、徳留和樹、今野由寛と1分50秒台で続いている。今回も、まずは秋吉がレースをリードする可能性が高いが、中須賀、清成、柳川も簡単に逃がしはしないだろう。天気が雨となれば、大判狂わせがあるかもしれない。1周約4.6kmのオートポリスを18周で争われるJSB1000クラス決勝。果たして今年は、どんなドラマが待っているのだろうか!?