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2位に4周差!
F.C.C TSR Honda 秋吉耕佑/J・レイ/岡田忠之組が優勝 |
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11時30分、ル・マン式でスタート。マシンにかけよった選手が一斉にスタート |
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2012年の8耐を制したのは、2年連続となる♯11 F.C.C TSR Honda |
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今年、開場50周年となる鈴鹿サーキットで、第35回目を迎えた2012年の鈴鹿8耐は、予選上位10チームのうち6チームがマシントラブルや転倒などで戦線を離脱してしまうという、波乱の展開となった。 |
気温32℃、路面温度はすでに50℃となっている11時30分。約5万7,000人のファンが見守るなか、恒例のル・マン式で第35回鈴鹿8時間耐久ロードレース決勝がスタート。
ホールショットは♯12 YOSHIMURA SUZUKI RACING TEAMのJ・ウォーターズ選手。そのあとを♯11 F.C.C TSR Honda のJ・レイ選手、♯634 MuSASHi RT HARC-PROの清成龍一選手、♯7 MONSTER ENERGY YAMAHA-YARTの中須賀克行選手と続く。逆バンクで清成選手が、シケインで中須賀選手がレイ選手をパスすると、ウォーターズ選手、清成選手、中須賀選手の三つどもえは後続を大きく引き離していく。 |
9周目に清成選手がウォーターズ選手を捕らえてトップに浮上するものの、10周目には中須賀選手が清成選手をパスしてトップへと踊り出る。しかし18周目。ハイペースで快走していた中須賀選手が130Rにて転倒。中須賀選手に大きな怪我はなかったものの、マシンはフロントホイールが割れ、タイヤはパンクするほどのダメージを受けてしまう。これにより順位は♯634 清成選手、♯12 ウォーター選手、♯11 レイ選手となる。 |
スタートから約1時間が経つと、多くのチームは1回目の給油やライダー交代のためにピットワークへ。トップ3のチームも清成選手から青山博一選手、レイ選手から秋吉耕佑選手、ウォーター選手からL・キャミア選手へとバトンタッチ。また、ダメージを受けたマシンを130Rから約40分押し歩いてきた中須賀選手もピットへと戻ってくる。出迎えたチームメイトの芳賀紀行選手などを見ると大粒の涙を流し、修復に取りかかったマシンのそばをなかなか離れずにいた。 |
3番手を走る秋吉選手はキャミア選手をパスすると、その勢いのままトップの青山選手を猛追。32周目、トップに出た秋吉選手だが、しばらく2人のバトルが展開される。その後、41周目に秋吉選手が青山選手を抜き、そのままトップをキープして周回を重ねていく。
2度目のピットワークが行われたが、首位は依然2分09秒台で走る♯11 F.C.C TSR Honda 。そのあとを♯634の高橋 巧選手、♯12のウォーターズ選手と続くが、ウォーターズ選手に黄旗無視があり、30秒のペナルティを科せられ、♯12はポジションを一つ落とす。これによって3番手は加賀山就臣選手のいる♯1 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMとなる。 |
3度目のピットワーク後、♯634清成選手が2分08〜09秒台で快走して首位に返り咲くと、そのまま2番手の♯11秋吉選手との差を広げていく。後続では4番手を走行していた♯12YOSHIMURA SUZUKI RACING TEAMにマシントラブルが発生。修復のためにピットインをよぎなくされる。順位は♯634、♯11、♯1、♯99 BMW MOTORRAD FRANCE99、♯104 TOHO RACING with MORIWAKI。 |
スタートから約4時間30分が経過した123周目、♯11レイ選手が♯634青山選手の前に出てトップに立つと、約15秒という差を広げていく。そして136周目、レイ選手は秋吉選手へ、青山選手は清成選手へとマシンを渡すが、137ラップ目に猛進する清成選手がデグナーカーブで転倒し、マシンが炎上。清成選手はコースサイドに退避したが、炎に包まれており、やけどを負ってしまう。だがその状況下、マシンをピットへ戻して再スタートすべく、清成選手は必死にマシンを押し始めた。その場に集まった観客たちからは拍手と「清成、がんばれ、がんばれ!!」と声援がいつまでもおくられていた。コースではオフィシャルが懸命の修復作業を行い、その間、しばらくセーフティーカーが導入されることになった。 |
セーフティーカー解除後、順位は♯11、♯1、♯99、♯104、♯32MotoMAP SUPPLYの順。トップのF.C.C TSR Hondaは、2位以下との差を大きく広げていたが、ペースを落とすことなく順調に周回を重ねていく。後続では♯25 Honda Suzuka Racing Teamが♯32MotoMAP SUPPLYをパスして5番手に浮上するも、黄旗無視でのペナルテーを科せられ8番手に後退。セーフティーカー導入によるタイムロスで順位を落としてしまった♯01 EVA RT TEST TYPE-01TRICK☆STARは、井筒選手が追い上げ5番手に浮上。また、2番手を走っていた♯1が転倒を喫し、代わって2番手となった♯99もマシントラブルでピットインと、順位が入れ替わった。 |
ライトオンのサインが掲示され、チェッカーフラッグが振られるまで残り30分。♯94 YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBEと、♯01 EVA RT TEST TYPE-01TRICK☆STARが、
サイドバイサイドのような激しい3位争いをみせる。会場はそれを応援するファンの声援でつつまれ、どちらも引かない展開に緊張は高まっていくが、残り5分。モニターに映し出されたのは、コースサイドで止まっている♯01 EVA RT TEST TYPE-01TRICK☆STARのマシン。冷却系トラブルのため、そのままリタイヤとなってしまう。 |
7時30分のチェッカーフラッグを真っ先に受けたのは、2位と4周もの差をつけた♯11 F.C.C TSR Hondaの秋吉選手。秋吉選手は3度目の8耐勝利となる。2位にはプライベーター、しかもキットパーツ車で臨んだ♯104 TOHO Racing with MORIWAKI。3位には♯94 YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBEが入った。♯7 MONSTER ENERGY YAMAHA-YARTはマシンを修復し復帰するが、完全に修復できない状態でのレースは危険との判断からリタイヤ。♯634 MuSASHi RT HARC-PROはマシンを修復し、高橋選手のライディングでコースへと復帰。41位で完走をはたしている。 |
記者会見上で秋吉選手は「3月に大たい骨を骨折して、復帰レースとのなるのがこの8耐でした。ここにたどり着くまで道のりは厳しかったですが、表彰台に上がれたのは多くの人のサポートがあったおかげです。優勝できて本当によかったです」とコメント。レイ選手は「すごく感動しています。鈴鹿8耐は耐久であり、スプリントでもある、世界で一番タフなレースだと思っています。レースでは燃費に苦しみましたが、2位と約15秒の差をつけて秋吉選手に交代できたのは満足しています。今、レースが終わって嬉しい気持ちがありますが、反面、この感動がずっと続いてほしいと思う気持ちもあります」。 |
2位となり、チームを立ち上げた山口辰也選手は「まさか…、というのが正直な気持ちです。8耐を大きな目標として、チームを作り準備をしてきました。昨年は他メーカーの車両で出場して、この時もまさかの完走(周囲からは完走するは難しいという声が多かった)。スタッフは同じメンバーですし、今回ももしかしたらいけるかもという気持ちはありましたが…。運も実力のうちだと思いますし、高橋裕紀選手と手島雄介選手とともに戦えたことに感謝しています」 |
3位の♯94 YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBE、D・チェカ選手、K・フォレイ選手ともに「まずはヤマハとミシュラン、そしてチームスタッフに感謝します。そして優勝、準優勝のライダー、チームに『おめでとう』を伝えたいです」とコメントした。 |
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4位 ♯32 MotoMAP SUPPLY 今野由寛選手のコメント
「事前に考えられることは、ほぼすべてクリアできていたので、順調に決勝に臨むことができたのですが、一つだけ、路面温度が予想以上に上がったため、事前テストで採用していたタイヤが使えなくなるということが起きてしまいました。今まで一度も試したことのないハードタイプのタイヤを装着しての走行でしたが、蓋を開けてみたらそれほど大きな違いなく走ることができたことに安心しました。また、燃費がきびしかったんですが、セーフティーカーが入ったことで、8回予定していた給油を7回に抑えることができたのも、この結果を残せた一つの要因だと思います。そしてなにより、ライダー・スタッフのチームワークが抜群で、そういった部分がうまくまわると、自然と結果も残るというのを実感したレースでした。8耐で4位は自己ベストということもあり、チームもこの結果には満足しています」 |
5位 ♯25 Suzuka Racing Team 徳留和樹選手のコメント
「予選ではなかなか思うようなタイムを出せずに苦戦していましたが、決勝に近づくにつれ、タイヤの性能を引き出せるようになってきたなど、追い上げていけるという手ごたえがありました。気温の高いなかでの走行に体を慣れさせていましたし、実際レース中は、ペナルティがありましたが順調にレースを進められました。昨年は5位を走ってて、ゴール間近でマシントラブルが発生してしまうということがありました。もちろん、戦う限りは表彰台をねらっていますが、トラブルなく順調に走りきり、トップ10以内の順位だったというのは、自分としてもチームもいい結果だったと思っています」 |