チャンピオン小川友幸は、2位
2011全日本トライアル選手権シリーズ第2戦北海道大会 東日本大震災の影響で、8月にして第2戦となった全日本トライアル北海道大会。開会式では、大震災の犠牲者と、そして昨年末に亡くなられた、この大会と北海道のモータースポーツに多大な尽力をされたオートショップサイトウの斉藤敏弘氏への黙とうがおこなわれた。 今回の大会形式は、昨年同様、国際B級と国際A級は10セクション2ラップ、国際A級スーパーは10セクション2ラップの後、9セクションと10セクションを使ったスペシャルステージがおこなわれる。 ここ数年、お天気に恵まれなかった北海道大会だが、今回はすっきり晴れ上がり、抜群のお天気。晴れすぎて、気温32℃の猛暑となった。ライダーもギャラリーも、暑さ対策に万全を期しながら試合が始まった。 IASの参加ライダーは今回は8人。第1セクションをクリーンしたのは3人だった。黒山健一(ヤマハ)、小川友幸(ホンダ)、そして柴田暁(ホンダ)だった。黒山と小川はその後第4セクションまでクリーンを続け、早くも他のライダーに対して差を開いていく。柴田は第2セクションで5点となるも、この日は好調をアピールしている。対して大きくつまずきながら試合をスタートさせてしまったのが、野崎史高(ヤマハ)と小川毅士(ベータ)だった。野崎は第1セクションを失敗して5点になると、第2セクションではゲートマーカーにさわったという判定で5点を取られている。小川は第1セクションの出口で大前転。顔面から着地し、鼻を強打して手痛いスタートとなった。小川も第2セクションの大岩を登れず5点。ふたりは、序盤2セクションにして10点のハンディをもって優勝争いを追いかけることになった。 流れが変わったのは第5セクションからだ。小川が2点を取ると、黒山が1点。ここではわずか1点の点差だったが、続く第6セクションでは小川が5点、黒山が2点。ふたりの点差がちょっとずつ開き始めてきた。そして第7セクションでは小川が3点をとった川セクションで、黒山が一気にクリーン。このあたりで、黒山のペースができあがりつつあった。 さらに1ラップ目後半、9セクションでは黒山だけがクリーン。最終10セクションでも黒山だけが3点で抜けた。1ラップ目が終わると、黒山の減点は6点で、リードは14点。流れは完全に黒山だった。 2ラップ目、第3セクションで黒山が5点を取った。ここを小川は1点で抜け、小川の追い上げが期待されたのだが、その後は一進一退、小川も第8セクションで5点を撮ってしまって追い上げもここまで。2ラップを終えたところで黒山16点に対して小川32点と、倍の点差となってしまっていた。こうなると、残り2セクションでは勝負をひっくり返すことはできない。スペシャルステージを前に、黒山の2連勝が決まった。小川の2位も、決定だ。 スペシャルステージの興味は、3位争いとなった。1ラップ目で4位だった柴田が、2ラップを終えて3位に浮上している。黒山がクリーンしている以外は、小川が2点で抜けているのみの第9セクションを、柴田はたった1点で抜けてきた。これが3位浮上の決定打だった。4位野崎との点差は2点。柴田は2ラップに抜群のタイミングで走り抜けた第9セクションで野崎をさらに突き放すべく、セクションに入った。 ところが柴田は、その最大の難関にたどりつくはるか手前の、入口の岩で失敗してしまった。5点。野崎が、たとえ3点でもここを抜けられれば、勝負はまだわからない。しかし野崎もまた5点。結局スペシャルステージの第9セクションは、優勝が決まっている黒山一人がクリーンという結果となった。 いよいよ最後の最終セクション。柴田と野崎の勝負はまだ続いている。しかしここにも、最後に高い高いブロックが控えている。柴田5点。ここを2点で抜けられれば、野崎には3位表彰台のチャンスがある。しかし野崎もまた5点。このセクションは、この日はペースをつかめないままに試合を運んでしまった小川毅士が、最後に見事なクリーンを見せてここを走破。結局、スペシャルステージの最終セクションでは小川毅士のクリーン以外は全員が5点ということになった。 柴田は、これが初めてのIASでの表彰台。野崎は2点差でくやしい4位。小川毅士は1ラップ目の7位から、なんとか5位までポジションを浮上させている。 【黒山健一のコメント】 大差と言われますが、大差でも僅差でも勝ちは勝ちなので、うれしいです。去年は序盤2連勝した後に小川選手に逆転されてチャンピオンを逃しているので、ここでもう一度気を引き締めて、残り3戦を目指したいと思います。 【小川友幸のコメント】 去年とまったく同じ、前半2戦で連敗してしまいました。今日の戦いは、1ラップ目の5セクションで、やってはいけないミスをして、それで相手に余裕を与えてしまったのが痛かったです。その後の1ラップ後半が悪すぎました。 【柴田暁のコメント】 3位になっているなんて知らずに、スペシャルステージではすごく緊張してしまいました。世界選手権のイタリア大会にいって、その成果は出ていると思います。今回はスペシャルステージ以外はとても楽しかったです 。
ベテラン、三谷英明(ホンダ)が1ラップ目から2位以下を引き離して勝利。セクションの走破力もさることながら、試合のまとめ方、運び方など、やはり一日の長がある。 2位に入ったのもベテラン、岡村将敏(ガスガス)。1ラップ目は8位と出遅れたが、2ラップ目にベストラップの7点をマークして2位まで浮上した。 3位の小野貴史(ホンダ)も、5位からの追い上げで表彰台を獲得した。仙台出身の小野のヘルメットには「東北魂」の文字がカラーリングされていた。 1ラップ目に2位だった若手の滝口輝(スコルパ)は2ラップ目にミスが出て5位。7位に、セルスターター付マシンを駆った成田匠(ガスガス)が入っている。 【三谷英明のコメント】 体力に自信がなかったので、疲れないように、淡々と走りました。国際A級の試合は、とにかくミスをしたら負け。ぼくにもいくつかミスはあったんですけど、ぼく以上にライバルにミスがあって、それでぼくの勝利となったのだと思います。最後のほうは、足も手もつってしまって、たいへんでした。
小谷一貴 I国際B級初優勝
1点の足つきが順位を変える神経戦となった北海道大会の国際B級。去年の最終戦で初優勝した清水稔久(ホンダ)が8点で1ラップ目のトップ。しかし1点差の9点で小谷一貴(ベータ)、さらに1点差の10点で山口雄治(ベータ)と接戦だ。 2ラップ目、小谷は1ラップ目の減点を2点減らして、トータル16点でゴール。清水は逆に、1ランプ目の減点を2点増やして、トータル18点でゴールした。逆転、小谷の初優勝が決まった。 難セクションの第6セクションを2ラップともに5点となったくやしさをにじませながら、それを引きずらずにていねいなライディングを続けた勝利だった。 【小谷一貴のコメント】 初優勝、感無量です。ことばがありません。今日はセクションが簡単だったので、神経戦になると覚悟していました。本当に勝ててうれしいです。この調子で、チャンピオン、狙います。