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【2010.9.12】 トライアル デ ナシオン
2010年トライアル・デ・ナシオンは、ポーランドのミシュレンス(Myslenice)で開催された。旧都クラコワ(Krakow)から30分ほどの距離にある小さな町。
日本の代表選手は、世界選手権ランキング3位を獲得した藤波貴久(モンテッサ・三重県)を筆頭に、デ・ナシオン参加は2回目となる小川毅士(ベータ・京都府)、斉藤晶夫(フューチャー・長野県)、野本佳章(ベータ・群馬県)の4名。今回は、男子チームのみの参戦。斉藤と野本は、海外での世界選手権参戦はこれが初めて。野本は海外旅行も初めてという。
日本チームは、昨年不参加だったため、スタート順は世界選手権クラスのトップで10時28分。アメリカやチェコ、ポーランドなど、いつもは世界選手権の下位を走るチームがインターナショナルクラスを走ることになったため、世界選手権クラスへの参戦は日本を含んで5カ国のみ。日本、フランス、イタリア、イギリス、そしてスペインだ。
セクショントライは、藤波が真っ先に見本となる格好でおこなった。しかしセクションが厳しく、見本が的確でもそれを反映するのがむずかしいため、序盤で作戦変更。斉藤と野本を先に走らせ、小川と藤波の走るコンディションを向上させてスコアを上げようという作戦とした。日本はこのクラスのトップスタートなので、ラインができておらず、藤波といえど細かい減点をすることがあったのだ。セクション内に入っての下見はできないので、足でラインを固めることもできない。
4人の中で、小川は3位に入った経験を持っているが、借り物のマシンが完調ではなく、なかなか本領は発揮できない。もちろんそれは斉藤も野本も同様だが、彼らの場合はまず舞台慣れ、セクション慣れが最初の関門だ。第2セクションでは、野本が川に真っ逆さまに落ちて水没するというハプニングも経験した。しかしチームが、テキパキと対処して試合を進めていく。
藤波には、いつものとおりスペイン人のジョセップさんがつく。小川には、小川のイタリア留学時にコンビを組んだセルジオさん。斉藤はお父さんが、野本にはベータ・ジャパンの門永さんがアシストについた。ほかに、三谷知明さんがマネージャーとしてコースにはいった。
日本の苦戦は、誰の目にも明らかだった。イタリアは全員が世界選手権でポイントを獲得したことがあるライダー。フランスは、1名が現役、1名が元世界選手権全戦参加ライダー、2名がジュニアクラスのトップを走る実力の持ち主だ。日本の実力がどんなものか、興味のあるところだったが、その結論はあっという間に導かれた。
1ラップ目、スペインの減点はたったの4点。対して日本は132点だった。総合では、スペイン14点、イギリス52点。1位と2位は予想通りで、3位争いはイタリアとフランスが熾烈に戦った。結果、イタリアが底力を見せ123点で3位、フランスが147点で4位。日本はフランスと約90点差の232点だった。
収穫は大きかった。4人のうち、3人がクリーンしないと得られないチームのクリーンがふたつあったこと、4人のうち4人とも5点だったセクションがひとつもなかったこと。藤波はこの日二つの5点をとっているが、そこでもほかの3人がよくリカバリーをしていたということになる。
チームリーダーたる藤波は、自分のライディングもそこそこに、他のメンバーにラインの指示をし、叱咤激励し、大活躍だった。しかしそれでも世界の壁は厚かったというのが、新生日本チームの持ち帰った収穫と課題だった。
Hiroshi Nishimak!
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