|
|
2009全日本トライアル選手権シリーズ第5戦中国大会
2009年全日本選手権も、3戦目の戦いにして終盤戦を迎えることになった。岡山県原瀧山トライアルパークでの中国大会は、午前8時に国際B級がスタートし、12時10分から国際A級がスタートするという変則的スケジュール。スムーズな大会運営と観客対策などを考えての実験的運用となっているが、実験も2年目を迎えて、スケジュールを若干改善しての開催となった。
2勝1敗でさらに勝ち星を増やしたい黒山健一(ヤマハ)と、ここで黒山の勢いを食い止めたい小川友幸(ホンダ)、二人に割って入りたい野崎史高(ヤマハ)の三強による全日本選手権。しかし今回は、小川友幸が土曜日に負傷し、その影響で苦しい戦いを強いられることになった。三強の一角が崩れ、代わって表彰台に登るのは誰かという戦いが展開。一方トップ争いは、これもきわどい接戦が展開された。
第2セクションで5点となった黒山を尻目に、クリーンを連発する野崎。野崎は昨年のこの大会で勝利を飾っている。相性がいいのか、今回も野崎の好調ぶりは光っていた。
野崎のリードが消え、黒山が逆転に成功したのは、1ラップ目の10セクションだった。複雑な岩を超えていくこのセクションで、野崎は時間との戦いに破れ、5点となった。これでトータル8点。黒山はこの時点で減点6点だったから、わずか2点差ながらトップは黒山の手に渡った。
しかし黒山の鬼門は第2セクション。1ラップ目に続いて、またもここを通過できない。野崎はここを再びクリーンして、再逆転に成功する。黒山は、3セクション以降をひたすらクリーンして野崎が減点するのを待つという試合展開となった。
第7セクション。野崎が5点となった。これで三たび逆転。さらに第8セクションでも野崎は5点。黒山の作戦は的中。これで勝負は決まった。黒山は、第2セクションでの二つの5点以外は、たった1点の減点があっただけだった。
3位争いはいつもとちがって、なかなかしれつだった。小川毅士は2ラップ目に調子を崩し、1ラップ目に減点の多かった渋谷勲が調子を上げてきた。さらにコンディションに好転しないながら、なんとか試合をまとめるべく努力を重ねた小川友幸も、2ラップ目に減点をつめてきた。
結果、渋谷が小川友幸をわずかに抑えて3位表彰台。小川は表彰台は逃したものの、渋谷に4点差まで詰め寄って4位。1ラップ目に3位だった小川毅士は5位にまでポジションを落として試合を終えた。
【黒山健一のコメント】
土曜日に下見をした時点でオールクリーンも不可能ではない神経戦と読んでいたので、第2セクションで5点となった時点から、がまんの戦いになりました。幸い、それ以外はクリーンできたので、土曜日の予想はほぼあたってはいたのですが、2ラップ目の第2でまた5点となって、苦しい戦いとなりました。でもがまんのしがいがありました。
【野崎史高のコメント】
いい戦いができたとは思います。でも最後に疲れが出てしまったか、5点が連発してしまい、黒山選手に逃げられてしまいました。黒山選手はまったく崩れなかったですね。
【渋谷勲のコメント】
1ラップ目が悪かったですね。2ラップ目に一桁減点で抑えるつもりで走ったんですが、それもできなかった。結果的に3位となって表彰台に登れたのはよかったです。今年全日本に復帰して、4ストロークに乗ることになって、ようやくマシンも決まって乗り方も慣れてきました。今回はいけそうだという実感がありました。次はもっといい結果を目指します。
|
国際A級はたいへんな神経戦だった。1位から6位までが、全員一桁減点で試合を終えている。5点を一つ取ったら、もう優勝はないという厳しい戦いとなった。
3位となった小野貴史(ホンダ)は、前回北海道大会で勝利している。2連覇は逃したが「勝てなかったが、トータル5点は悪い結果ではなかったと思っている。試合内容には満足しているから、これで勝てなかったのは仕方がない」と納得顔だ。勝利は、それ以上に調子の良かったライダーが奪っていったことになる。
本多元治(ホンダ)。去年の最終戦で勝利して以来の優勝となった。減点はなんとたったの1点。2ラップ目はオールクリーン。減点の1点は、比較的クリーンが多かった最終12セクションでついたものだった。
ランキングトップの藤巻耕太(ガスガス)はひとつの5点がきいて5位。ベテラン勢にランキングで追いつかれつつあるが、未だランキングトップを守っている。
【本多元治のコメント】
土曜日にセクション見た時点でオールクリーンに近い戦いになると思ったので、あまりバイクには乗らずに体を休めて集中するようにして戦いに挑みました。その結果が、いい結果につながりました。いい集中力で戦えたのがよかったと思います。
|
国際A級より約4時間早くスタートした国際B級。若いライダーのトライをじっくり見るチャンス。熱心な観客や国際A級の先輩たちがトライを見守る中での戦いとなった。
連戦連勝の山本直樹(ホンダ)は、第4セクションで痛恨のエンストで5点。B級もかなりの神経戦が予想されたから、この5点は致命傷かと思われたが、残るセクションをよくまとめて、トータル10点でこの大会も勝利した。
2位は山本のチームメイトでもある松岡一樹。3位に、近畿選手権で山本を破った宮本竜馬(ホンダ)が入っている。宮本は全日本選手権初参加だ。
【山本直樹のコメント】
エンストで5点となってしまって苦しい戦いとなりましたが勝ててよかったです。
|
|
|
|