4サイクル450cc以下のマシンで戦われる、MOTO1のトップカテゴリーがmoto1クラスである。全国を転戦するシリーズ戦となって3シーズン目となる今季は、ディフェンディングチャンピオンの松本康、昨年のランキング2位で一昨年の覇者佐合潔、昨年はランキング3位で一昨年は2位だった熱田高輝ら、ホンダのマシンを駆るトップ3に対し、ヤマハの重鎮増田智義、ハスクバーナのエース井原健らがどう迫るかが注目であった。
土曜日の練習はドライコンディションで始まったが、時折雨によって赤旗が入り、コースレイアウトが変更されるなど、ライダー、チームともに慌ただしく、満足なセットアップができない状況であった。そして迎えた決勝日は、朝からの雨で完全なウェットとなり、著しくコンディションが劣化した第2ダートがキャンセル。第1ダートにクラッシュアスファルトを敷き、ターマックセクションに木のジャンプ台を設置して、スーパーモタードコースとしての体裁が整えられた。
タイムアタックでトップタイムをマークし、予選でも一位通過を果たしたのはゼッケン1をつける松本康。セカンドグリッドは予選第2組をトップ通過した星野優位。全日本モトクロスIA2との二足の草鞋を履く18歳の若手だ。3番手にはKTMの大樂竜也。昨季はmoto2でランキング2位、ギリシアで行われたジュニアユーロカップで総合3位入るなど、進境著しい20歳である。セカンドローにはロードレース出身でベテランの中島将登、雨に強い熱田高輝、オールマイティな強さを誇る佐合潔らが並び、ほとんど嵐ともいえる激しい雨の降りしきるなか、15周のレースがスタートを迎えた。
絶好のスタートでホールショットを奪ったのは星野。これに松本、熱田、中島、森田一輝が続く。森田は予選ヒートではミスで順位を落として8番手スタートに甘んじていたが、タイムでは松本を上回るラップをマークしており、好調をアピールしていた。大樂は転倒で1周目から最後尾に落ち、苦しい追い上げとなる。
先頭で快調に逃げるかと思われた星野だったが、3周目には背後に松本が迫り、パッシングチャンスをうかがう。3番手争いは中島、熱田、森田。こちらは3台三つ巴のバトルとなるも、先頭2台からは徐々に離されていく。
レース中盤に入ってからはトップ2台による、まれに見る超接近戦が繰り広げられた。連続する高速の1〜2コーナーで、松本が1コーナーのインから抜き、2コーナーではアウトから星野が被せて抑えきる。インに、アウトに、お互いのマシンを入れ替え、水たまりのしぶきを上げながら、サイドバイサイドの死闘を演じる両者。勝負がついたのは13周目。1コーナーで松本がインを突いて前に出て、食い下がる星野をダートでようやく引き離し、そのままの順位でゴールを迎えた。
3番手は中島がキープしていたが、11周目に熱田が浮上し、中島は最終ラップに転倒してしまう。3位熱田、4位森田の順。終始安定したペースで6番手を守っていた佐合が5位に入り、11番手スタートの大塚忠和は着々と順位を上げながら6位入賞を果たした。また、公道仕様車DR-Z400SMを433ccに改造したマシンで参戦した三苫進が7位に入ったことは、450ccのモトクロッサーが圧倒的優位なmoto1クラスにあって、特筆すべき快挙だといえるだろう。
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決勝ヒート中盤は星野と松本の一騎討ちに観客が沸いた。ダート出口は極端にスリッピーになっていたが、構わずスロットルを引き絞り、インを奪い合う両者。 |
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13周目、1コーナーで星野のインを襲って先頭に立った松本。深い水たまりができ、ここで転倒するマシンも相次いだが、数少ない抜きどころでもあった。 |
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ターマックではトップクラスの速さを誇る中島。予選ヒート4位、決勝は中盤まで3番手につけた。優勝した05年鈴鹿以来の表彰台が見えたが、惜しくも転倒。 |
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雨の降った05年岡山国際、06年SUGOで優勝し「雨は大好き」と語る熱田。中島と森田に挟まれる展開で苦戦を強いられたが、着実に走りきって3位を獲得した。 |
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ヘアピンで誰よりも激しいドリフトを披露する松本。リスクの大きなウェットでのスライドだが、そのコントロールの上手さが勝負に大きな影響を与えた。 |
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