写真&レポート
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小川友幸
2連勝
1点差で2位に甘んじた
黒山健一
田中太一が
苦しみながら表彰台
国際A級スーパークラス

新潟大会から半月を置き、世界選手権日本大会を1週間前に控えた5月28日、全日本選手権トライアル第3戦は近畿大会。ここ数年おなじみの兵庫県猪名川サーキットでの開催だ。天気予報はあまり芳しくなかったが、当日は朝から晴れ間も見え、少し汗ばむくらいの、観戦にはちょうどいい気候。シリーズ一番にきついと評判の大会だけに、ライダーにとっては厳しい戦いとなった。

今回は、全日本チャンピオン黒山健一(スコルパ)と前回優勝の小川友幸(ホンダ)の一騎打ちとなった。小川は昨シーズンは4ストロークマシンへの乗り換えにてこずったが、今年はマシンとのコンビネーションも板について、本来の調子を取りもどしている。そこへきて黒山は、前回の戦いで初めて4ストロークマシンへと乗り換えた。できたてのマシンゆえに、まだまだ人車ともに本調子とはいいがたい。これで一挙に戦況が入り乱れてきた。

黒山と同じく4ストロークに乗り換えた野崎史高(ヤマハ)は、同じように苦戦をしている。思わぬところで後輪を滑らせたりと、5点も多い。1ラップ目は、成田匠(ヤマハ)に次いで6位。成田もまた今回から4ストロークでの出場となったが、成田はSSDT(スコットランドの6日間トライアル)に出場していたから、あるいはマシン慣れには一日の長があったのかもしれない。昨年の段階では、今シーズンは黒山と野崎のタイトル争いが予想されたが、野崎はまずマシンに慣れ、本来の実力を発揮できる素地を整えるのが急務だ。

渋谷勲(シェルコ)も、練習なしで試合に挑むサンデーライダーで、厳しい猪名川のセクションによく立ち向かっているが、苦しさは否めない。それでもスコルパ・ヤマハの4ストローク勢を抑えて4位につけたのはさすがだった。

田中太一(ホンダ)もまた、今年から4ストロークへのスイッチをして、まだまだマシンが自分のものになっていない。渋谷には5点差で3位表彰台を獲得したものの、トップとは20点以上の点差をつけられてしまった。

こんな中、もっともマシンや体制面で安定しているのが小川で、これに必死で食いついている黒山というのが、この2戦の戦況だ。今回は、序盤から小川が勝利に近い存在として、減点を最小限に抑えて試合をリードした。黒山は序盤から5点を喫している。さらにはセクションの制限時間が気になり、入り口で失敗して5点になるという、黒山らしからぬミスもあった。黒山は、やや形成が悪い。

ところが試合の流れが小川に傾いたかという頃になって、今度は小川がミスしはじめた。3ラップ目、一時は黒山が小川を抜いてトップに立つという接戦となり、6時間の制限時間ぎりぎりというあわただしさもあって、最後の最後まで予断を許さない展開となった。

結局、わずか1点差にして、小川が2連勝。小川、黒山ともに2分のタイムオーバーがあった。このタイムオーバーがなければ、あるいはあの5点が3点だったらなど、終わってみれば逆転の可能性がそこここにあった好取り組みだった。小川は、これが国際A級はじめての連勝となる。

【優勝した小川のコメント】
「疲れた大会でした。体力的にもつらかったし、精神的にもきつかった。時間もぎりぎりで、1ラップ目もぎりぎり、3ラップ目は2分のタイムオーバー減点をとってしまいました。一時は逆転されるなど、内容的にはまだまだ課題も多いのですが、2連勝は素直にうれしいので、ここからなにかをつかみとって、こんごにつなげていきたいと思います。もう残りの試合は、勝っていく以外にありません」

【2位の黒山のコメント】
「新潟ではトラブルも出てあんな結果でしたが、今回はだいぶよくなりました。ライダーの慣れは、まだまだです。そんな状況で2位というのは悪くはないとも思うのですが、結果が1点差ですから、終わってみれば、勝てた試合を落としたわけで、くやしいですね。1ラップ目の9セクションはほんとうにちょっとしたミスですから、あれがなければと考えると、悔いがあります」

【3位の田中のコメント】
「まだまだですね。実は4ストロークに早くなじもうと思って、マシンの仕様をずいぶん大人しめにしてあります。だから岩の上での安定感などはとてもよくて気に入っているんですが、難セクションに挑むときには、あまり向いていない。そろそろ難セクション用の仕様に切り替えたいところなんです。3位は悪くないですが、内容はあんまりというところです」
 

初優勝の竹屋健二

国際A級



竹屋健二(ホンダ)が、初優勝。竹屋は九州出身だが、第2戦九州大会であと一歩で勝利という闘いっぷりを見せたが、このときは勝利ならず。今回は、1ラップ目から3ラップ目まで、コンスタントにトップを守って、終わってみたら2位の三谷英明(ホンダ)にダブルスコア近い点差をつけて勝利した。1ラップ目は竹屋と三谷は同点だったが、2ラップ以降、減点を増やした三谷に対し、竹屋はコンスタントに3ラップを走りきった。

今シーズン2勝をあげている小森文彦(ホンダ)は、1ラップ目に8位と出遅れたが、最終的には3位まで盛り返してランキングトップを堅持した。小森と竹屋はポイント差にして8点差まで縮まってきた。タイトル争いもおもしろくなってきた。

今回は2004年国際B級チャンピオンの川村義仁(スコルパ)が14位となって、A級初ポイントを獲得した。

【優勝した竹屋のコメント】
「いつもと同じ感じで走っていて、いつもとおんなじくらいの、6位以内には入れるかなぁという感じでした。三谷さんと同じくらいのタイミングでは知っていたので、三谷さんと同じくらいという感触はあったのですが、勝てるとはぜんぜん思ってなかった。3ラップ目に9セクションまで降りてきたときに1ラップ2ラップの結果を聞かされて、へー、と思いました。でも九州のときとはちがって、今回はそんなことを聞いても走りが乱れることなく、勝てました。三谷さんとは、最後はけっこうな点差になってて、これもびっくりです。関東に来て練習量が増えたのと、ヨメが妊娠して勝負強くなったって、言われてます」


荒法師和田弘行、復活

国際B級

伏兵というか本命というか、和田弘行(ガスガス)がぶっちぎりで優勝した。和田はなんと1983年国際B級チャンピオン。その後長く選手権から離れていて、4年前に近畿大会に限って全日本に復帰した。チャンピオンをとった当時はぶっちぎりの強さを誇っていて、本人も勝つ気での参戦だったが、ここまではあと一歩で勝利はならず。ようやくの勝利となった。

思わぬ強敵の前に2位となったものの、千種有綱(モンテッサ)は新潟大会でノーポイントに終わった雪辱を、地元の大会で晴らすことができた。今回は志津野佑介(ホンダ)が3位に入ったものの、兼松誠司(ホンダ)、藤原慎也(ホンダ)ら、トップ争いの常連の若手ライダーがノーポイントとなり、表彰台はベテラン勢が占めた。

ランキングトップの平田雅裕(スコルパ)は、それでも7位に入って、ランキングポイントのリードを守っている。ベテラン、若手入り乱れてのポイント争いは、国際A級昇格の8つの席をめぐって、今後し烈なものとなりそうだ。

【優勝した和田のコメント】
「ぼく、46歳ですわ。優勝したのは、23年ぶりやな。ここは家から近いから出ている。今日も優勝するぞっ言うたやろ。毎回勝つ気まんまんなんやけど、やっと勝ったわな。今日は途中で2位にいるって聞いたから、こりゃいけそうって思った。今回も出られるかどうかわからんかったけど、エントリーだけしておいた。そしたら勤務の都合がついて、出場できた。ヨメさんも喜んでくれるやろうけど、娘が喜んでくれるわ、きっと。小学生やけど、お父さん勝ったで、と報告したら、黒山健一に勝ったと思いよる。黒山健一のことは、おれがビデオとか見てるんでよく知ってる。けどA級とかB級の区別はつかんからな。さぁ、明日も朝早よから仕事や。また来年出れたらでるわ」



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