写真&レポート

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地元の開幕戦で完全優勝
世界の実力を見せつけた熱田

レベルアップした走りで、
全日本を盛り上げたいと語る熱田

IA1

 全日本モトクロス選手権の開幕戦は、ここ数年キックオフの舞台として定着していた奈良県の名阪スポーツランドから会場を北へ移し、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。通年4〜5月に春の大会、また10月に最終戦MFJグランプリを開催してきたスポーツランドSUGO。春まだ浅い東北地方は朝夕の冷え込みが厳しく、彼方に見渡す蔵王連山にはたくさんの雪が残る。しかし、大会期間中は好天に恵まれ、予選が行われた土曜日は強い日差しが降り注ぎ気温も上昇。日曜日は午前中薄曇りで肌寒さを感じたものの、午後には雲の隙間から太陽が顔を出すまずまずの観戦日和となった。

 5月には昨年に引き続き世界選手権の開催が決まっており、その前哨戦ともなるレース。得に今シーズンは4年間世界選手権に参戦していた熱田孝高、昨年アメリカで活動してきた成田 亮の二人が全日本に復帰。また、昨年IA2クラスのタイトルを獲得した福留善秀らトップライダーの多くがIA1クラスに集中することとなったため、ファンの注目が集まり、公式発表で10,980人の観客が集まった。

 IA1第1ヒートは、仙台市出身でここSUGOが地元でもある熱田のホールショットでレースがスタート。直後に高濱龍一郎、増田一将、福留善秀とホンダ勢が上位を独占し、5番手に成田が続く。2周目、2番手を走っていた高濱が後退し増田が2番手に浮上。3周目には成田が福留をパスし、トップ争いは熱田、増田、成田のオーダーとなる。6周目、成田は増田を捉え2番手に浮上。成田はそのままの勢いで熱田の背後を捉え、両者は3番手の増田以下を置き去りにし、マッチレースを展開する。後半、約1秒差で追う成田に対し、熱田も応戦。結局最終ラップまでもつれ込んだトップ争いは、最終ラップに成田がミスを犯したこともあり熱田が逃げ切って優勝。2位成田、単独走行を続けていた増田が3位でフィニッシュし、表彰台を獲得した。

 続く第2ヒートは中山 裕のホールショットでレースがスタート。しかし直後に熱田がトップに浮上。すかさず成田が2番手にポジションを上げ、中村友則が3番手に続く。1周目、最終ストレートに向かう下りの後の左コーナーで成田が強引に熱田のインに割って入ろうとするが、熱田はこれをブロック。2周目の1コーナー進入で、今度は中村がイン側にマシンをこじ入れ、熱田、成田の間に割ってはいる。熱田の背後に中村が迫り、それを成田が追う展開が4周目まで続くが、5周目に成田がコースの奥手でミスを犯し7番手まで後退してしまう。一方の中村は熱田に対し猛チャージを見せ、ついに熱田をパスすることに成功。勢いに乗った中村は、後半8周に渡ってトップをキープするが、中村の背後でペースを整え終盤勝負をしかけた熱田は、ラスト2周、一気に中村に並びかけると連続コーナーでラインを入れ換えてトップに再浮上。両者のバトルは最後まで熱田に食らいつこうとした中村がラストラップ、コーナーでエンストさせてしまい万事休す。鮮やかな逆転で開幕戦をパーフェクト優勝で飾った熱田が世界選手権で培った実力を見せつける形となった。



 

鮮やかな逆転&逃げきりで
開幕戦初優勝を飾った新井

新井との一騎討ちを制して
総合優勝を飾った小島

IA2

 ディフェンディングチャンピオンの福留善秀がIA1にスイッチしたため、今シーズンもチャンピオン不在となったこのクラス。第1ヒートのホールショットを決めたのは平田 優。新井宏彰、池谷優太、深田卓哉、小島庸平がこれに続く。
  スタートで上位に食い込んだ池谷は徐々にポジションを下げ、トップグループは平田、新井とこれを追う小島の3台に絞られる。動きがあったのは4周目。ペースが上がらない平田を新井がパスしトップに浮上。平田は小島にも抜かれ3番手に後退する。
  後半、逃げる新井を必至で追う小島だが、新井のペースが速く、徐々に小島を突き放した新井は、10秒近いリードを保ったまま最後まで走りきり、開幕戦でA級初優勝をマークした。2位は小島、平田が3位。1周目8番手から追い上げた尾崎友哉が4位でフィニッシュした。

 第2ヒート、優勝で勢いづいた新井が鮮やかなホールショットを決め、小島、井上眞一、平田がこれに続く。2周目、早めに勝負に出た小島が新井をパスしトップに浮上。新井も小島に食い下がり、両者は3番手移行を置き去りしながら、ラストラップまで延々30分以上続くトップ争いを展開。
  息つく暇さえ与えないような緊張したトップ争いは、最後の最後まで新井の追撃を抑えきった小島がガッツポーズでチェッカーを受け、開幕戦で今季初優勝と総合優勝をマークした。

 
  

 

初優勝の表彰台で、ライバルから
シャンパンの祝福を受ける岡田

IB OPEN    
 
 ホールショットを決めた岡田 涼と2番手に付けた井上洋昭のトップ争いが、激しく順位を入れ換える3番手以降を置き去りにし、序盤から終盤まで続く。
 「スタートが決まって上手く前に出れたので、前半から自分のペースで走ることができた。後半は疲れも出たが、後ろも追いついては来なかった。」という岡田に対し井上は、スタートで他のマシンと接触しリアブレーキペダルが曲がってしまうトラブルでペースが上がらず、岡田に付いていくのが精一杯。「あのトラブルがなければ。」と悔しがる井上を振り切ってチェッカーに駆け込んだ岡田がクラス初優勝をマーク。
  混戦となった後続の争いは、1周目12番手から追い上げてきた押川雅政が、3位争いの集団に追いつくとラストラップに外間大地をパスしIB2に続きこの日2度目の3位表彰台をゲットした。

 

 

後半勝負という狙い通りの作戦で
見事初優勝を飾った矢野

IB2    
 
 好スタートを決めた冨田俊樹と大薮亮人、矢野和都のトップ争いは、3周目に矢野が大薮をパス。2番手に浮上した矢野は冨田の背後に迫ると7周目に冨田もパスしトップに浮上する。

 レースは「後半かならずタレると思って待った。周遅れが間に入って離されたときはちょっと焦ったけど、後半追い上げて勝つことができました。」という矢野が、7周目に冨田をパスしトップを奪うとそのまま逃げ切って初優勝。2位に甘んじた冨田は「予選のスタートが悪かったので、スタートで出れただけでもよかった。1周目は抜かれても抜き返すことができたが、後半は疲れが出てダメでした。そこが課題ですね。」とコメント。3位争いは、大薮が後半遅れ出し、終盤には転倒を喫してリタイア。変わって周目9番手から追い上げてきた押川雅政が、「初めてでなにがなんだかわからない。」と言いながら、中盤に3番手に浮上すると後続を振り切って初の表彰台を獲得した。


 

 

レース時間、ライバルが変わっても
変わらぬ強さを見せた鈴木

レディース
  
 レース時間が15分+1周と5分間延長されたレディスクラスは、昨シーズまで表彰台の常連だった根本めぐみや奥野歩希、選手会長の鈴木恵美ら数名のトップライダーがレース活動の休止を宣言。一方で新規参入のライダーが増えるなど、予選から上位の顔ぶれにも変化が見られた。
 注目の決勝は、連覇を続けてきた鈴木沙耶のホールショットでレースがスタート。益春菜が2番手に付けるが、益はギャップを通過する際に古傷の膝を痛めペースダウンを強いられ、代わって萩原真理子が2番手に浮上する。結局鈴木は1度もトップを許さぬ独走のままチェッカー。2位は萩原。益が3位。沖幸子が4位でフィニッシュした。
 開幕戦を優勝で飾った鈴木は「ホールショットなんて初めてで、あれで楽な展開になりましたね。レース時間が伸びて後半はさすがに大変でしたが、その分トレーニングしてきたので頑張ることができました。」とコメントした。

 


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