全日本モトクロス選手権シリーズ第9戦中国大会は、今シーズン2度目の開催となる広島県世羅郡世羅町のグリーンパーク弘楽園で開催された。日本有数の規模を誇るダイナミックなレイアウトが特徴の同コースは、スタート1コーナーを右に回り込んでコース後半部分にショートカットするのが特徴。大会期間中は、予選が行われた土曜日が秋晴れの好天で、散水が追いつかずホコリが舞うほどだったが、決勝が行われた日曜日は朝から曇りで午後から時折強い雨となり、コースコンディションもドライからマディの難しい条件下でレースが行われた。 出走31台で行われたIA1クラスは、ドライコンディションで行われた第1ヒートのスタート直後に先頭を切って飛び出した戸田蔵人と辻健二郎が接触し転倒、そこに後続が突っ込むマルチクラッシュが発生。負傷した戸田、辻両選手の救護のためすぐにレッドフラッグが提示され、レースは仕切り直しとなる。 昼から本格的に降り始めた前の影響で、第2ヒートは完全なマディコンディションの中でレースがスタート。泥のしぶきを巻き上げながら1コーナーを真っ先に駆け抜けたのは増田で、大河原、加賀真一、高濱、小島、田島
久、小川裕紀、小池田がこれに続き1周目のコントロールラインを通過。2周目に加賀が大河原をパスし2番手に浮上。後半に入るとマディコンディションをただ一人快調なペースで飛ばす増田のリードが広がり、増田を追う加賀、大河原、高濱もそれぞれ単独走行でこのままレースが終了するかと思われたが、終盤に入って増田のマシンにエンジントラブルが発生。異常を察知し一旦ピットに入った増田は、15番手までポジションを下げて完走を狙い再びコースに戻るが、症状はどんどん悪化し、14周目にはついにコース上でストップしてしまう。このトラブルでトップを譲り受ける形になった加賀が、ラスト4周を確実に走りきって今季3勝目をマーク。「増田君のトラブルで転がり込んだラッキーな勝利だが、最終戦の結果に繋げたい。」と加賀。「スタート直前までケアしてくれたトレーナーのおかげで完走できた。」という大河原が2位。同様に繰り上がりでポジションを上げた高濱が3位表彰台を獲得した。
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第2ヒート、スタートでホールショットを決めたのは井上眞一。小島、中堀、福留、北居、平田 優がこれに続き1周目をクリア。2周目、小島が井上をパスしトップに浮上。前半はトップ小島、井上が2番手、中堀をパスした福留が3番手、北居が4番手、福留、北居にパスされた中堀が5番手で推移するが、後半、コンディションからさらに悪化すると、上位のライダーにもミスが出始め大荒れのレースとなっていく。まず井上が9周目に転倒で6番手に後退。北居も12周目に転倒し大きくポジションを落とす。同じ周回、マディコンディションをものともせず、ヒート1の鬱憤を晴らすかのようなアグレッシブな走りでリードを築いていた小島も転倒。小島がなんとかマシンを建て直し再スタートしようとしたところに井上に代わって2番手を走行していた福留が突っ込み、福留はすり抜けたものの小島は再度転倒を喫してしまう。これで上位が入れ代わり福留がトップ。ラストラップ、トップ福留も転倒するが、なんとかポジションを落とさずに再スタートし福留はパーフェクトウィンを達成。2番手に平田が浮上、井上が3番手でチェッカー、中堀、須田がこれに続き、転倒で勝利を逃した小島は8位でフィニッシュした。 「雨のレースが苦手で、これまでことごとく失敗してきたから、とにかく確実に走りきることだけを心がけた。」と福留。一方ランキングトップの溝口はスタートで出遅れ追い上げ途中に3度も転倒を喫するなどこのヒートはノーポイント。この結果、以前溝口がランキングトップをキープしているが、福留、小島が僅差でこれを追う展開となり、チャンピオン争いは最終戦にもつれ込むことになった。
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有効ポイント制でタイトルが争われる国際B級、ポイントの総合計では片倉と2位前田の差は僅かに6ポイントだが、優勝4回と3位1回4位が2回の成績を残している片倉をライバルが逆転することは不可能で、片倉が最終戦を待たずにチャンピオンをほぼ確定したことになる。 |
「このコースすごく苦手で結果を残せたことがなかったんです。バトルになった不利になると思って最初から飛ばしました。最後タレましたが前半のリードで勝つことができました。」と4勝目をマークした矢野。「スタート前にエンジンがかからなくて、ギリギリ間に合ったんです。頑張って追い上げてなんとか表彰台に立つことができました。」と2位の太田。3位の黒沢は「自分の走りができずトップを逃がしてしまったが、3位に入れて嬉しいです。」とコメントした。 |
逃げる沖を鈴木が追う展開が1周目からフィニッシュまで続いたが、「泥で前が見えなくなって、ゴーグルを外したら今度は泥の固まりが目に直撃しちゃって痛くて…。」と沖の背後で苦しいレース展開を強いられた鈴木はついに沖の捉えることができず、鮮やかなスタートから逃げ切った沖がシーズン3勝目をマーク。 |
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