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世界選手権参戦を終えてMFJ GPに
出場し、見事勝利を飾った熱田孝高

大量リードを築いていた小池田猛が
ヤマハに久々のタイトルをもたらした

ヒート2で優勝を飾った世界チャンプ
エバーツを従えスタートした成田 亮

IA1

 全日本モトクロス選手権シリーズ第10戦 第43回MFJグランプリモトクロス大会は、山の木々が紅葉し始めた宮城県のスポーツランドSUGO・インターナショナルモトクロスコースで開催された。今年4月に全日本選手権の第2戦、5月にはモトクロス世界選手権日本グランプリの会場となったSUGO。国際格式で行われる今大会には、世界チャンピオンのステファン・エバーツら3名の外人選手の他に、日本人でただ一人世界選手権のレギュラーライダーとして活躍してきた熱田孝高、今シーズンアメリカで活動してきたIA1クラスのディフェンディングチャンピオン成田 亮らが参戦し、伝統の一戦に華を添えた。また、コースにはスタート直後に急斜面を一気に昇り降りする「大坂」が復活し、来年も世界選手会開催が決定したコースに新たな見どころが加えられた。大会期間中は、予選が曇り時々雨の曇天模様。決勝日は土曜日の夕方から降り始めた雨が、時折強い雨足で昼過ぎまで降ったり止んだりし、決勝レースは完全なマディコンディションになってしまう。そのため決勝時間を短縮したり、クラスによっては大坂をショートカットするなどしてレースは進行した。


 出走30台にシード権で決勝進出を果たした小島太久摩の計31台で行われたIA1クラス。注目のスタートは熱田がイン側グリッドから鮮やかなホールショットを決めて主導権を握ると、序盤ミスで一旦は加賀真一の先行を許すもののすぐに抜き返し、完全にレースをコントロール。後半、ミスで脱落していくライダーが続出するなかリードし続けた熱田は、1周目5番手から追い上げてきた成田を従えトップでフィニッシュ。「4年間世界選手権で戦ってきたが、SUGOは相性が悪くてあまりいい結果を残せたことがない。」という汚名を返上し、地元での凱旋レースで嬉しい勝利を飾った。

 一方チャンピオン争いに王手をかけて臨んだ小池田猛は、泥々のコースに苦戦しながらも着実に周回を重6位でフィニッシュ。高濱龍一郎はスタート直後にエバーツと絡んで転倒、増田一将は自らのミスで22位に終わったため、大量リードを築いていた小池田、第2ヒートを待たずに念願の初タイトルを決定した。エバーツは再スタートしたもののマシンにマイナートラブルが出て早々にリタイア。海外勢では、アメリカからの帰国参戦となった02〜03全日本チャンピオン成田が2位。タネル・レオクが3位、スティーブン・ソードが4でフィニッシュしている。


 午前中降り続いた雨も午後には一段落。分厚い雲の隙間から青空が顔を見せるほど天候は回復したが、大量の水を含んだコースは乾き始めると重い泥となりライダーを苦しめる。そんな中、抜群のスタートを見せたのは釘村太一。しかし釘村はすぐに転倒で後退。代わって出原 忍が1周トップでコントロールラインを通過するが、2周目に出原はミスで後退。代わってエバーツがトップに躍り出る。2番手に加賀、3番手に熱田、4番手に成田というオーダーは、熱田がミスで後退し、5周目には成田が加賀をパスし2番手に浮上。さらにトップのエバーツを追った成田だが、逆にミスを犯して差は開いてしまい、転倒やスタック、オーバーヒートさせるライダーが相次いだヘビィーマディのコンディションを苦もなく走りきったエバーツが優勝。成田が2位。一旦は5番手までポジションを下げながら、そこから再び追い上げてきた出原が3位表彰台を獲得。加賀が4位、高濱龍一郎が5位、熱田は大河原功次に次いで6位でフィニッシュした。


  「みんなに応援されながら、なかなか期待に応えることができずにいたのでチャンピオン獲得は本当に嬉しい。第2ヒートはみっともないレースをしてしまったが、シーズン全体では安定して自分の力を出せたと思う。支えてくれたヤマハやチーム、家族とファンに感謝したい。」とヤマハにクラス26年ぶりとなるタイトルをもたらした小池田はコメント。「第1ヒートはスタートでアウト側を選んだら上手く抜け出せず、トラブルもあってリタイアとなってしまった。第2ヒートもスタートは決してよくなかったが、スムーズな走りで優勝できることができた。来年が自分のキャリア最後のシーズンとなるが、5月の世界選手権でまた日本に来るのが楽しみ。またいいレースを見せたいと思う。」とエバーツ。成田は「世界チャンピオンはやっぱり速かった。でもアメリカで学んだことを思い出し、いいレースができたと思う。」とコメントした。


 

中国大会に続き、マディレースを
完全に攻略してみせた福留善秀

厳しい条件の下パーフェクト優勝で
三つ巴のタイトル争いを制した福留

IA2

 ポイントランキングトップの溝口哲也とランキング2番手の福留善秀の差が僅かに4ポイント。さらに5ポイントの僅差に小島庸平が付けるという過去例のない三つ巴の接戦で最終戦を迎えたIA2クラスは、福留が鮮やかなホールショットを決めてレースをスタート。後続には新井宏彰と平田優が続き、溝口は中堀敏宏に続き6番手で1周目のコントロールラインを通過。スタートからトップを快走する福留に対し、積極的な攻めの走りでトップを伺う勢いを見せた新井だが、新井は2度の転倒でポジションを落し代わって平田が2番手に浮上。一方の溝口は確実にラップを刻むのが精一杯で、後半は平田と新井2位争いを繰り広げ平田が2位。新井が3位で溝口は4位、スタートで出遅れた小島は8位でフィニッシュした。

 第2ヒートは、ヒート1で優勝してランキングトップに立った福留がホールショットを決めると、溝口が2位、小島が3番手で1周目のコントロールラインを通過。タイトル争いを繰り広げる3名の激突は、小島が一旦はトップに出るが転倒で大きくポジションを下げタイトル争いからまず脱落。小島の転倒で再びトップを取り戻した福留に対して、再逆転を狙う溝口も必至の追撃を試みるが、溝口は逆に中堀敏宏にパスされ3番手に後退。最終戦でパーフェクトウィンを達成した福留が、溝口を再逆転して初のタイトルに輝いた。


 「ケガをしてから勝ちを狙うのではなく確実に走りきることを心がけてきたが、それが今日のようなコンディションでの好結果に繋がったのだと思う。まだ実感はないが、全日本のチャンピオンが目標ではないので、もっともっと上を目指したい。」と福留はコメントした。

 


  

 

マディをノーミスで走りきり、最終戦
で全日本初優勝を飾った唐牛 一

IB OPEN    
 
 今シーズン4勝を挙げた片倉久斗がすでにタイトルを確定しているこのクラス。迎えた最終戦は斉木達也がスタートから序盤トップを走行するが、エンジンに異常を来しペースの上がらない斉木はポジションを下げ、代わって矢野がトップに立つが、矢野はミスでポジションを落としてしまう。スタックするライダーが続出し、コーナーごとにイエローフラッグが出る完全なサバイバルレースを制したのは、「1度もストップしなかった。やった。本当に勝てたんですよね。嬉しいです。」という唐牛。

 「最後前に二人いたんで行くしかないと思った。」という太田幸仁が2位で、唐牛とともに初表彰台をゲット。黒沢良太が3位表彰台を獲得した。

 

 

ライバルが次々にミスで脱落する中、
最後まで 力強く走りきった矢野昇平

IB2    
 
 シーズン5勝をマークし斉木達也が早々とタイトルを決めたこのクラスは、その斉木がホールショットを奪った黒沢良太をパスし序盤をリードするが、3番手から追い上げてきた矢野昇平がトップ斉木に追いつくと一気に逆転。その後リードを広げた矢野が、完全に後続を振り切る独走で優勝。2位斉木、黒沢が3位。

 「コース上にはスタックするライダーがたくさん出ていたので、とにかく確実に走りきることだけを考えた」と矢野。「トップ走っていたのに途中からエンジンの調子が悪くなって、上手く走りきることができなかった。」と斉木。「マディでただでさえマシンが重くなるから、2ストの軽さが生かせたと思う。」という高橋崇浩が3位表彰台を獲得した。
 

 

トライアルからモトクロスへの挑戦
2年目で初優勝を飾った萩原真理子

レディース
  
 サイティングラップに出たライダーの多くがスタートゲートに戻って来られないほどのコース状況の悪化により、レディスクラスはタイムスケジュールを変更、最終レースとして行われた。夕闇が迫る中、コースにブルドーザーを入れて走行ラインを確保して再開されたレースは、益春菜がホールショットを決めて前半をリード。しかし5周目、「腕のケガがまだ完全に治ってなくて、本当は今大会も欠場する予定だった。」という益はハードなレース展開にトップのペースを維持できず、その隙をついた萩原真理子が逆転。萩原は追い上げてきた沖幸子のミスにも助けられ、後半を逃げ切って初優勝をマーク。トライアル国際A級のライセンスを持つ萩原が、モトクロスへのチャレンジを開始して2年目で、ついに優勝を勝ち取った。


 「まだまだスピードはないし、今日はこのコンディションに助けられての優勝。これからもっと頑張ります。」と萩原。「マディが苦手で今日は完敗でした。もっと練習して克服しないとダメですね。」とすでにタイトルを決めながら、4位に終わった鈴木沙耶はコメントした。


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