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全日本モトクロスの新たなエースへ
初戦でライバルを圧倒した増田一将

ホンダに移籍し開幕戦で自身初の
パーフェクト優勝を飾った増田一将

IA1

 今年も奈良県の名阪スポーツランドで開幕した全日本モトクロス選手シリーズ。会場の名阪スポーツランドがある山辺郡山添村は三重との県境に位置し、名古屋や東海地方、大阪、神戸などの関西主要都市からのアクセスがよいため、毎回多数の観客が詰めかける。
 2日間の大会が行われた週末は低気圧の通過でかなり荒れ模様の天気予報が出されていたが、土曜日の夜に降った雨が日曜の朝には上がり、決勝中は時折小雨がぱらついた程度で午後は時折日差しが差すほどまでに回復。夜半の雨でホコリが抑えられ春らしい穏やかな陽気が大会終了まで続いたために開幕戦に相応しいモトクロス日和となり、大勢のファンが久しぶりのレースを楽しんだ。

 今シーズンの全日本モトクロス選手権には大きな変革があった。そのひとつがクラス名称について。これはまで125ccと250ccに区分けされていたクラス設定だが、排気量上限が異なる4サイクルマシンが主流になってきたため、今年からはIA1(旧国際A級250ccクラス)、IA2(旧国際A級125ccクラス)、IB2(旧国B級125ccクラス)、IB Open(旧国B級オープンクラス)に変更された。また、このオフはかつてないほどにトップライダーの移籍が相次ぎ、主要チームのメンバーも刷新されたことから、いろいろな意味でリニューアルされた全日本の始まりとなった。

 注目のIA1は、昨年V3を達成したチャンピオン成田 亮が活動の場を海外に移したため、チャンピオン不在のシーズンとなる。新たな王座をめぐる戦いは、30台のマシンがきれいに1コーナーを走り抜け、その中から抜け出した小池田猛の好スタートで幕を開けた。
 ところが、昨年の開幕戦を制している小池田のリードは2周目に早くも入れ代わる。スズキからホンダに移籍した増田一将が2周目に小池田をパスすると、一気にリードを広げ始める。スムーズなライディングで後続を引き離しにかかる増田は、レース中盤には十分なアドバンテージを保ち独走態勢に持ち込むかと思われたが、後半自らのミスで再び2番手小池田が接近。しかし、再スタートしてすぐにペースを取り戻した増田は、小池田に付け入る隙を与えず、最後はガッツポーズで開幕戦の勝者に名乗りを上げた。単独走行が続いた小池田が2位。辻健二郎、中村友則、高濱龍一朗、田中教世らによる激しい後続のバトルは、辻が制して表彰台の一角を手に入れた。

 開幕ヒート優勝で勢いに乗った増田は、続く第2ヒートでも見事なホールショットを決めて1周目からリードを築く。2番手には今シーズンからチームメイトとなった辻が付け、序盤はホンダの1-2走行。しかし、明らかに周回ペースの速い増田に辻は後半付いていくことができず、両者の距離は徐々に広がりだす。レースは増田が逃げきり辻が追う形でそのままフィニッシュ。後続では、田島 久と中村が激しいバトルを展開。昨年のIA125チャンピオン中村は、カワサキがデビューさせたアルミフレームの新型ワークスマシンを駆ってハイペースな走りを維持し、IA1初レースでいきなり3位表彰台を獲得してみせた。

 

ホンダに移籍し、優勝でシーズン
の好スタートを切った福留善秀

執念の追い上げで優勝をもぎ取った
釘村 忠とヤマハのニューマシン

IA2

 チャンピオン中村がIA1にスイッチし、こちらもゼッケン1が不在となったA2。その最初のレースは小島庸平、平田 優ら若手の好スタートで幕を開けた。1周目トップで戻ってきた小島は、序盤一気にスパート。積極果敢に攻めた小島だが、中盤やや疲れが見え始めると、昨年まで同じチームに在籍し今季ホンダワークスに移籍した福留善秀の追撃を受け逆転を許してしまう。レースはトップを奪った福留が、昨年のランキング2位の実力を見せつけ優勝。1周目7番手のポジションから追い上げた溝口哲也が2位。後半疲れ隠しきれなくなった小島はそれでも最後地元の意地を見せてチームメイトの北居を押さえ込み、開幕ヒートの表彰台を手に入れた。

 マシン開発の実験室でもある全日本。今シーズンはカワサキとヤマハがIA1、IA2にそれぞれ2台のアルミフレームマシンを投入。カワサキのニューマシンを第1ヒートで表彰台へと導いた溝口に対し、ヤマハの開発車をデビューされることになった釘村 忠は、予選でエンジントラブルに見舞われてしまい、辛うじてシード権での決勝進出は果たしたものの、2列目スタートというハンデを背負わされてしまう。

 その第2ヒート。スタートはまたも小島がホールショット。須田 順、尾崎友哉がこれに続くが、須田はトップのペースを維持できずに徐々に後退。一方尾崎は8周目に転倒でリタイアとなってしまう。また第1ヒート優勝の福留はスタート1コーナー先のジャンプセクションでバランスを崩しコースアウト、再スタートに手間取り大きく出遅れる。これで楽になった小島が独走でリードを広げるかと思われたが、後方から追い上げてきた釘村が終盤、疲れの見え始めた小島に急接近。完全に射程内に小島をとらえた釘村は、ついに小島をパスすると逆転でチェッカー、2列目スタートというハンデを乗り越えて、執念を見せた釘村が、ヤマハのニューマシンのデビューウィンを達成した。2位は小島、北居が3位。釘村同様2列目スタートとなった深谷広一が4位でフィニッシュした。
 
  

 

「地元で負けるわけにはいかない」
開幕完全優勝を飾った矢野昇平

IB OPEN    
 
 新たに昇格してきた若手とA級昇格を果たせぬまま2年目、3年目のシーズンを戦ってきた残留組がぶつかり合う国際B級。今シーズンからはIB2、IBオープンふたつのクラスで憧れのIA昇格をめざしシーズンを戦うことになる。
 IBオープンの開幕戦では関東の若手注目株、片倉久斗が前半をリード。しかし、先にIB2を制してこのコースに自信を持つ矢野昇平は、1周目6番手のポジションから追撃を開始するとレース中盤にはトップの片倉を捉え一気にこれをパス。4スト250ccのマシン1台でIB2、IBオープンに参戦する矢野は「まさか両方か勝てるとは思ってもみなかった。」と言いながらも、「A級の先輩についてトレーニングしてきた甲斐があった」と表情をほころばせた。
一方、前半のペースを維持できず、終盤地元の岡田涼にも逆転され3位となった片倉は、「スタミナ不足です。体力をつけて負けないようになりたい。」とシーズンへの目標を語っていた。

 

 

4スト250でダブルエントリーし
1台で2度勝った矢野昇平

IB2    
 
 今シーズン初の全日本決勝レースとなったIB2。序盤は全日本初レースとなる黒澤良太がリードするが、ペース配分やB級特有の当たりの強さに戸惑う黒澤はトップ走行中にも細かなミスを連発。一方、B級3年目の矢野昇平は「地元のコースで負けるわけにはいかない。予選からタイムが出ていたので、スタートさえ失敗しなければ絶対に勝つ自信があった。」とトップとの差を一気に詰め寄り逆転。山梨の斉木達也、静岡の太田満、栃木の黒澤という遠征組を、兵庫の矢野が地元の意地で押さえ込み、全日本開幕戦のファーストウィナーに名乗りを上げた。2位は斉木、太田が3位。

 

 

常勝の鈴木沙耶がいない表彰台に
トライアル界から仲間が加わった

レディース
  
 毎年確実にレベルアップし、上位のライダーは国際B級でも十分通用する実力を持つようになったレディスクラス。中でも5年連続チャンピオンの鈴木沙耶の実力は桁違いだが、何がおこるかわからないのがモトクロスだ。「あまりスタートが得意ではない」鈴木は、抜群のコーナーワークと男顔負けのジャンプで一気にポジションを上げ、後半逆転するというスタイルで連勝を重ねてきたが、開幕戦でよもやのスタートミス、ほぼ最後尾からの追い上げを強いられてしまう。
 全体にハイスピードの名阪スポーツランドだけにスタートのミスは致命的とも言えた。鈴木がようやく集団を抜け出したとき、トップを走る根本めぐみははるか先を走っており、必至で追い上げた鈴木の挽回も3位の沖に並びかけての4位が限界。その隙に森居沙也実、沖幸子、萩原真理子らとのバトルを制してリードを広げた根本が、「初戦で勝てるなんてすごく嬉しい」と鈴木の指定席だった表彰台の頂点で笑顔を見せた。
 このレースで2位入賞を果たした萩原は、トライアル界ではA級昇格を果たした実力の持ち主。モトクロスに本格的に取り組み始めた去年はケガでシーズンの大半を棒に振ったが、まだ2度目の全日本参戦で2位表彰台をゲットするなど、その実力の片鱗を見せつけた。
 
 


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